HOME > リナックスマスター.JP 公式ブログ > Linux情報・技術・セキュリティ > LinuxがプリインストールされているPC|System76・Tuxedo・ThinkPad認定モデルの選び方
この記事の監修:宮崎智広(Linux実務・教育歴20年以上・受講者3,100名超)
「Windows用PCに入れたら画面が真っ黒、Wi-Fiも掴まない」
こうした「動くはずだったのに動かない」という相談は、私のセミナーでも毎月のように受けます。
この記事では、LinuxがプリインストールされているPC(以下、Linuxプリインストール機)のメリット・選び方・2026年時点の主要メーカーまでを、サーバー管理者の現場目線で解説します。
Windows用PCに無理やりLinuxを入れて消耗するくらいなら、「最初からLinuxが動くPC」を選ぶ方が、学習にも実務にも圧倒的に近道です。
この記事のポイント
・LinuxプリインストールPCは「Wi-Fi・サスペンド・指紋認証」が初日から動く
・代表メーカーはSystem76/Tuxedo/Slimbook/Star Labs/Dell XPS Developer Edition
・国内入手は直販輸入か、Linux認定モデル指定でThinkPadを買う2択
・自作・中古PCでLinuxを動かす場合はLVFSとカーネルバージョンを必ず確認する
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LinuxプリインストールPCを選ぶ理由
一般に販売されているノートPCは、ほぼ全てがWindows用ハードウェア構成で出荷されています。Linuxを後から入れる場合、ドライバの対応・電源管理・Wi-Fiチップの相性など、想像以上に多くの落とし穴があります。中古PCを安く手に入れてLinuxを試そうとしたところ、無線LANが認識されない・サスペンドから復帰しない・タッチパッドが暴走する……といった事例は今でも珍しくありません。私のセミナー受講生の中にも、「ハードを買って2日が無駄になった」という方が定期的に現れます。
LinuxプリインストールPCを選ぶ最大の理由は、この「動くか動かないかわからない」という不確定要素をベンダー側がすべて潰してくれている点にあります。具体的には次の通りです。
・Wi-Fi・Bluetoothドライバ:カーネル組み込み済みのチップを採用しているため、初日からつながる
・電源管理:サスペンド・ハイバネートが標準で動作する(Windows用PCで最も苦戦するポイント)
・指紋認証・Webカメラ:fprintd / v4l2が動く構成で出荷されている
・ファームウェア更新:LVFS(Linux Vendor Firmware Service)対応で、fwupdから自動更新できる
・サポート:Linuxを前提に問い合わせ対応してもらえる(Windows用PCではLinuxトラブルはサポート対象外)
2026年の主要LinuxプリインストールPCメーカー
2012年の本記事公開当時はCentOS搭載BTOミドルタワーが話題になる時代でしたが、2026年現在は様相が大きく変わっています。デスクトップよりも、ノートPCを中心としたLinux認定機のラインナップが充実してきました。| メーカー | 主力モデル | 標準OS | 備考 |
|---|---|---|---|
| System76(米国) | Lemur Pro / Oryx Pro / Thelio | Pop!_OS(Ubuntuベース) | 自社OS搭載、UbuntuもOK、LVFS完全対応 |
| Tuxedo Computers(独) | InfinityBook Pro / Pulse | TUXEDO OS(Ubuntuベース) | 欧州配送中心、AMD Ryzenモデルが豊富 |
| Slimbook(西) | Slimbook Pro / Executive | KDE neon / Ubuntu / Fedora選択可 | KDEプロジェクト公式パートナー |
| Star Labs(英) | StarBook / StarLite | elementary OS / Ubuntu / Manjaro等 | coreboot対応モデルあり、軽量重視 |
| Dell(米) | XPS 13 Developer Edition | Ubuntu LTS | 大手メーカーで唯一の本格Linux認定ライン |
| Lenovo(中/米) | ThinkPad P / X / T Linux認定モデル | Ubuntu LTS / Fedora(一部) | 日本でも入手しやすい、認定モデル指定が必須 |
| HP(米) | ZBook Linux認定モデル | Ubuntu LTS | 業務向けワークステーション中心 |
LinuxプリインストールPCのメリット・デメリット
メリット
・初日から全ハードウェアが動く:Wi-Fi・サスペンド・指紋認証・カメラ全部即使える・ファームウェア更新が自動化される:fwupdmgr update でBIOS・SSDファームまでまとめて更新できる
・Windowsライセンス料が含まれない:同等スペックのWindowsノートより1~2万円安い場合が多い
・Linuxサポートが受けられる:「Wi-Fiが切れる」と問い合わせれば、Linuxを前提に対応してくれる
・カーネルアップデート時の挙動が検証済み:新しいカーネルが配信されてもブートしなくなる事故が少ない
デメリット
・国内入手が難しい:System76/Tuxedo/Slimbook/Star Labsはほぼ直販輸入のみ(送料・関税がかかる)・修理・サポートは英語:国内代理店がないメーカーは、サポート問い合わせも英語メールが基本
・選択肢が限られる:Windowsノートのような無数の選択肢はない
・納期が長い:受注生産モデルが多く、2~4週間待ちは普通
国内でLinuxプリインストールPCを入手する方法
日本国内に住んでいて、できるだけ早く・トラブルなくLinux機を入手したい場合、現実的な選択肢は次の3つになります。1. Lenovo ThinkPad Linux認定モデル
最も無難な選択です。Lenovo公式サイトで「Ubuntu認定(Ubuntu Certified Hardware)」のThinkPad P/X/Tシリーズを選びます。出荷時OSはWindowsの場合もありますが、認定モデルなのでUbuntuを上書きインストールしても全ハードが動作することがLenovoから保証されています。2. Dell XPS 13 Developer Edition(並行輸入)
米国Dell公式で販売されているUbuntuプリインストール機です。日本Dellでは直販していないため、並行輸入業者経由か、米国Dellからの直送になります。電源プラグ・キーボード配列(US)に注意が必要です。3. System76・Tuxedo・Slimbookの直販輸入
本格的なLinux専用機が欲しい場合の選択肢です。各社の公式サイトから日本宛配送が可能で、Pop!_OSやTUXEDO OS、KDE neonがプリインストール済みで届きます。配送はFedExやUPSが中心で、関税・消費税が別途請求されます。自作・中古PCにLinuxを入れる場合のチェックポイント
予算や入手性の都合で、結局Windows用PC(または中古PC)にLinuxを入れる場合もあります。その際、後悔しないために最低限確認すべきポイントを挙げます。・Wi-Fiチップ:Intel AX2xx・AX4xx系は基本動く、Broadcom/Realtekはモデルによっては要out-of-treeドライバ
・LVFS対応:
fwupdmgr get-devices でBIOS・SSDがLVFS経由で更新できるかを確認・サスペンド:レビューサイトで「Linux suspend」「s2idle」を検索し、復帰問題が報告されていないか確認
・カーネルバージョン:新しいハードの場合、Ubuntu 24.04 LTS(カーネル6.8)以上が必須なケースが多い
・Secure Boot:有効のままだとDKMSドライバが読み込めない場合がある(無効化を推奨)
・NVIDIA GPU:ハイブリッドグラフィックは依然として鬼門。Intel/AMD内蔵GPUの方が安全
# LVFS経由でファームウェア更新できるかを確認 $ fwupdmgr get-devices # 利用可能な更新を一覧表示 $ fwupdmgr get-updates # 一括適用(要再起動) $ sudo fwupdmgr update
トラブルシュート・よくある質問
Q. Windowsプリインストール機にLinuxを入れたらWi-Fiが認識されない
Broadcom/Realtek系チップで多い症状です。lspci -nnk | grep -A 3 Network でチップ型番を確認し、out-of-treeドライバ(broadcom-stak/rtl88x2bu-dkms等)を入れる必要があります。Intel系チップに換装するのが最も安定する選択肢です。Q. サスペンドから復帰しない、復帰直後に再起動になる
2020年以降のIntel機で頻発する「s2idle」問題です。/sys/power/mem_sleepの設定や、BIOSのS3 sleep有効化を確認してください。それでも改善しない場合は、ハードウェア起因と判断してハイバネートに切り替えるのが現実的です。Q. Dell XPS Developer Editionは日本でも修理できますか
購入元(米国Dell)に発送して修理する形になります。国内Dellのサポート窓口では「並行輸入品は受付不可」と案内されるケースが多いため、長期保証は購入元で延長加入することを推奨します。Q. System76のPop!_OSは日本語環境で使えますか
使えます。インストール時に日本語を選択できますし、Mozc(日本語入力)も標準リポジトリから導入可能です。ただし、システムメッセージが一部英語のまま残るので、英語に抵抗がない方向きです。本記事のまとめ
| 用途 | 推奨マシン |
|---|---|
| 無難に国内で買いたい | Lenovo ThinkPad Ubuntu認定モデル |
| Ubuntu開発機が欲しい | Dell XPS 13 Developer Edition |
| 本格Linux専用機が欲しい | System76 Lemur Pro(Pop!_OS) |
| KDEで使いたい | Slimbook(KDE neon / Kubuntu) |
| 軽量・コア重視 | Star Labs StarBook(coreboot) |
| 業務用ワークステーション | HP ZBook Linux認定モデル |
| とにかく安く試したい | Intel CPU + Intel Wi-Fiの中古ThinkPad |
Linuxプリインストール機は2012年当時よりも選択肢が大幅に増え、現場で本気で使える品質のラインナップが揃っています。「Windows用PCにLinuxを入れて消耗する時間」を、本来のLinuxの学習や実務に回すために、最初の1台にLinux認定機を選ぶ判断は十分に合理的です。
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