RHEL10の主な変更点まとめ|CentOSからの移行で注意すべきポイント

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リナックスマスター.JPの宮崎智広です。
いつもありがとうございます。

2025年5月20日、Red Hat Enterprise Linux 10(RHEL10)が正式にリリースされました。

「CentOSを使っていたけど、サポートが終了してどうしよう」
「RHEL10に移行したいけど、何が変わったのか分からない」

こういう声をよく聞くようになりました。
実際、私のセミナーでも「CentOSとの違いが分からない」という相談が増えています。

そこで今回は、RHEL10の主な変更点と、CentOSから移行する際に注意すべきポイントを
実際にサーバーを触っている現場目線でまとめます。

「とりあえず何が変わったのか、ざっくり把握したい」 という方は、
この記事を読めば全体像がつかめるはずです。
RHEL10の変更点を解説するイメージ

そもそもRHEL10とは?なぜ今注目されているのか

RHEL(Red Hat Enterprise Linux)は、
企業のサーバー用途で最も広く使われているLinuxディストリビューションです。
Red Hat社が開発・サポートしており、
金融・通信・官公庁など、信頼性が求められる現場で採用されています。

RHEL10が注目されている背景には、CentOSのサポート終了があります。

これまで多くの企業やエンジニアが「無料のRHEL互換OS」としてCentOSを使っていましたが、
CentOS 7は2024年6月にサポート終了、CentOS 8はそれ以前に終了しています。
CentOS Streamは性質が異なるOS(ローリングリリース型)になったため、
従来のCentOSの代わりにはなりません。

そのため今、多くの企業が
RHEL、AlmaLinux、Rocky Linuxのいずれかへの移行を進めています。
そしてRHEL10は、この移行先としての最新版OS。
今後5〜10年の企業Linux環境の標準になるOSです。

RHEL10の主な変更点

ここからは、RHEL9からRHEL10で何が変わったのかを具体的に見ていきます。
現場で影響が大きいものから順に紹介しますね。

1.CPU要件が引き上げられた(x86-64-v3以上が必須)

これ、地味ですが現場ではかなり影響が大きいです。

RHEL9ではx86-64-v2以上のCPUで動作しましたが、
RHEL10ではx86-64-v3以上のCPUが必須になりました。

IntelのCPUだと、Haswell世代(2013年〜)以降であればおおむね対応しています。
ただし、組み込み用のAtomプロセッサなど一部は非対応です。

また、仮想環境(VMwareやKVMなど)上にRHEL10をインストールする場合、
仮想マシンのCPU設定をx86-64-v3に対応させる必要があるため、注意してください。

古いサーバーハードウェアを使っている場合は、
インストール前に自分の環境がv3に対応しているか確認することをおすすめします。

2.デフォルトでrootアカウントが無効化

RHEL10では、インストール時にrootアカウントがデフォルトで無効になっています。

これまでは、インストール時にrootパスワードを設定するのが当たり前でしたが、
RHEL10では一般ユーザーを作成し、
そのユーザーにsudo権限を付与する方式がデフォルトです。

セキュリティ的には正しい方向性ですが、
CentOSやRHEL9までの感覚で
「rootでログインして作業する」ということができなくなります。

今まで「su -」でrootに切り替えていた方は、
「sudo」を使った運用に慣れる必要がありますね。


ちなみに、インストール時にrootアカウントを有効にすることは可能です。
ただ、今後のLinux運用はsudoベースが標準になっていくので、
この機会にsudo運用に切り替えることをおすすめします。

3. 主要パッケージのバージョンアップ

RHEL10では、多くのソフトウェアが大幅にバージョンアップしています。
現場でよく使うものをピックアップすると、こんな感じです。
パッケージ RHEL 9 RHEL 10
カーネル 5.14 6.12
Python 3.9 3.12
PHP 8.0〜8.2 8.3〜
MariaDB 10.5〜10.11 10.11〜
PostgreSQL 13〜16 16〜17
Apache (httpd) 2.4 2.4(マイナーアップ)
GCC 11 14
Node.js 18〜20 22
GNOME 40 47
特に影響が大きいのはPythonとカーネルのバージョンアップです。

Pythonが3.9→3.12になったことで、
古いスクリプトの互換性に問題が出る場合があります。
移行前に既存のPythonスクリプトの動作確認は必ず行ってください。

4. 削除・変更されたパッケージに要注意

RHEL10では、いくつかの重要なパッケージが削除または変更されています。
ここは移行時に一番ハマりやすいポイントです。

削除されたもの
・Sendmail → 代替は Postfix
・ISC DHCP → 代替は Kea DHCP(設定ファイルの書式が全く異なる)
・Redis → 代替は Valkey(Redis 7.2.4からフォーク。現時点では互換性あり)
・Berkeley DB (libdb) → 削除(依存していたSpamAssassinも削除)
・SpamAssassin → 削除

変更されたもの
・389 Directory Server のデータベースが Berkeley DB → LMDB に変更

特に気をつけてほしいのは、SendmailとISC DHCPの削除です。

Sendmailは古くからLinuxで使われてきたMTA(メール転送エージェント)ですが、
RHEL10では完全に削除されました。
今後のメールサーバー構築はPostfix一択になります。

ISC DHCPからKea DHCPへの移行は、
設定ファイルの形式が根本的に異なるため、設定の書き直しが必要です。
これは単なるバージョンアップではなく、
別ソフトウェアへの移行なので注意してください。

5. モジュール形式の廃止

RHEL9では、同じソフトウェアの複数バージョンを
「モジュール」という仕組みで管理していました。
たとえば、PostgreSQL 16をインストールする場合:
RHEL9の場合

dnf module enable postgresql:16 dnf install postgresql-server


RHEL10では、このモジュール形式が廃止されました。
代わりに、パッケージ名にバージョンを指定するシンプルな方式になっています。

RHEL10の場合

dnf install postgresql17-server


操作としてはむしろ簡単になりましたが、
RHEL9で書いた手順書やスクリプトは書き直しが必要です。

6. インストーラのリモートアクセスがVNC→RDPに変更

リモートでインストール作業を行う場合、
RHEL9まではVNC(Virtual Network Computing)が使われていましたが、
RHEL10ではRDP(Remote Desktop Protocol)に変更されています。

VNCクライアントを使って遠隔インストールしていた方は、
RDPクライアント(WindowsならリモートデスクトップでOK)
に切り替える必要があります。

7. 新機能:Cockpit Filesとイメージモード

RHEL10では、便利な新機能も追加されています。

Cockpit Files
Webブラウザからサーバーにアクセスして、
ファイルの編集や管理ができる新パッケージです。
管理者権限での操作も可能で、
コマンドラインに不慣れな方でも設定ファイルの編集がしやすくなりました。

イメージモード
従来のdnf(パッケージモード)に加えて、
コンテナイメージベースでOSをデプロイ・管理する「イメージモード」が導入されました。
コンテナレジストリ経由でイメージを更新する方式で、
イミュータブル(変更不可)な環境構築のニーズに対応しています。

RHEL Lightspeed
AIを活用したLinux管理支援機能です。
コマンドラインから 「SSHDが起動しない問題のトラブルシューティングを手伝ってください」のように
平易な言葉で質問するだけで、実用的なアドバイスを得られます。
ただし、この機能はRHELサブスクリプション契約者のみ利用可能で、
AlmaLinuxやRocky Linuxなどの互換OSでは使えません。

CentOSからの移行で注意すべきポイント

ここまでの変更点を踏まえて、
CentOSからRHEL10(またはAlmaLinux 10 / Rocky Linux 10)
に移行する際に気をつけるべきことをまとめます。

1. 移行先のOS選び

CentOSからの移行先は、大きく3つの選択肢があります。
OS 特徴 費用
RHEL 10 Red Hat公式。手厚いサポートと保証。Lightspeed等の独自機能あり 有償(サブスクリプション)
AlmaLinux 10 RHEL互換。リリースが最速(RHEL 10の7日後)。サイバートラスト連携あり 無償
Rocky Linux 10 RHEL互換。CentOS創設者が開発。RISC-V対応 無償
個人学習であればAlmaLinuxやRocky Linuxで十分ですが、
業務で使うならRHELのサブスクリプションを検討する価値は十分あります。
特にセキュリティパッチの提供速度や、サポート対応の面で差があります。

2. 設定ファイルの書き直しチェック

以下を使っている場合、RHEL10では設定の書き直しが必要です。

・Sendmail → Postfixへの移行(main.cf、master.cfの再構成)
・ISC DHCP → Kea DHCPへの移行(JSON形式の設定ファイルに書き換え)
・Redis → Valkeyへの移行(現時点では互換性ありだが、設定ファイル名等が異なる場合あり)
・dnf module を使ったインストールスクリプト → パッケージ名指定に書き換え

特にISC DHCPからKea DHCPへの移行は設定ファイルの書式が完全に異なるため、
既存のdhcpd.confをそのまま使うことはできません。
計画的な移行作業が必要です。

3. Pythonスクリプトの互換性確認

Python 3.9→3.12で非推奨になった機能や、
動作が変わったモジュールがあります。
既存のPythonスクリプトは、RHEL10環境で動作テストを行ってから本番移行してください。

4. ハードウェアの対応確認

先述の通り、RHEL10はx86-64-v3以上のCPUが必須です。
古いサーバーでは動作しない可能性があるため、
移行前にCPUのマイクロアーキテクチャレベルを確認してください。

確認方法は、既存のLinux環境で以下を実行します:

/lib64/ld-linux-x86-64.so.2 --help | grep supported

「x86-64-v3」が表示されればRHEL10に対応しています。

RHEL10のサポート期間

RHELのサポートは長期にわたります。
フェーズ 期間
フルサポート リリースから約5年
メンテナンスサポート 約5年(計10年)
延長ライフサイクルサポート(ELS) 追加で最大4年
つまり、RHEL10は最長で2039年頃までサポートされる可能性があります。

これだけ長期間サポートされるOSですから、
今RHEL10で技術を身につけておけば、
この先10年以上、現場で通用する知識の土台になるというわけです。

RHEL10の主な変更点のまとめ

RHEL10の主な変更点をまとめると、
・CPU要件がx86-64-v3以上に引き上げ(古いハードウェアは非対応)
・rootアカウントがデフォルト無効(sudo運用が標準に)
・カーネル6.12、Python 3.12など主要パッケージが大幅アップ
・Sendmail、ISC DHCP、Redis、SpamAssassinが削除(代替ソフトへの移行が必要)
・モジュール形式の廃止(パッケージ名指定のシンプルな方式に)
・Cockpit Files、イメージモード、Lightspeedなどの新機能追加

CentOSから移行する方にとっては、
設定ファイルの書き直しやパッケージの変更確認が必要ですが、
基本的な操作(dnf、systemctl、firewall-cmd等)は変わりません。

「CentOSで培ったスキルが無駄になる」ということは全くないので、安心してください。
むしろ、RHEL10で最新の技術にアップデートすることで、
あなたの市場価値はさらに高まります。

とはいえ、これだけの変更点を独学でキャッチアップするのは大変ですよね。
「実際にRHEL10を触りながら、現場で使えるスキルを効率よく身につけたい」 という方は、
私たちのセミナーがお役に立てるかもしれません。

P.S.
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