ルートファイルシステムとは|FHS標準と/ディレクトリの構成・パーティション設計

宮崎智広 この記事の監修:宮崎智広(Linux実務・教育歴20年以上・受講者3,100名超)
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「ルートファイルシステムって結局どこのこと?」
「/(ルート)と /root の違いは? どこまでをルートFSに入れていいの?」
Linuxを触り始めると、似た用語が連発して混乱しやすい代表格がここです。

この記事では、Linuxサーバーの土台になる ルートファイルシステム の役割と中身を、FHS(Filesystem Hierarchy Standard)の考え方をベースに解説します。
なぜ「/home」や「/var」だけ別パーティションに切るのか、どこまでをルートに収めるのが安全か、現場での切り分けの基準まで踏み込んでまとめました。

この記事のポイント

・ルートファイルシステムとは /(ルートディレクトリ)を含む最上位のFS
・FHS(Filesystem Hierarchy Standard)でディレクトリ構成が標準化されている
・/bin /sbin /etc /lib /dev は起動に必須 → ルートに残す
・/home /var /tmp は別パーティション化で障害保守性を上げるのが鉄則


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ルートファイルシステムとは何か(背景・原理)

Linuxのファイルシステムは、Windowsのように「Cドライブ・Dドライブ」と独立したツリーを並べる構造ではなく、すべてのファイルが /(ルート)を頂点とした1本の木にぶら下がる構造になっています。

この /(ルートディレクトリ)を格納している最上位のファイルシステムが ルートファイルシステム です。
USB・ネットワーク・他パーティションをマウントするためのマウントポイントもすべて、このルートファイルシステム上のディレクトリとして用意されます。

混同しやすい用語との違いを整理しておきます。

ルートディレクトリ:パス上の「/」そのもの
ルートファイルシステム:「/」と、その直下にあるOS起動必須の領域を含むFS
/root:rootユーザーのホームディレクトリ。ルートFSとは別物

FHS(標準)が定めるディレクトリ構造

ルートファイルシステム配下に置くディレクトリの種類と役割は、FHS(Filesystem Hierarchy Standard) という業界標準で定義されています。
RHEL系・Ubuntu系を問わず、主要なLinuxディストリビューションはこの標準に沿った構造を採用しています。

ルートファイルシステムには、システム起動時に必要となる以下のディレクトリを必ず格納します。
/bin, /sbin システムに必要なコマンドやプログラム
/etc 各種設定ファイル
/lib ライブラリ
/dev デバイスファイル
例えば、ファイルシステムをマウントするmountコマンドは /sbin ディレクトリに格納されています。
これがなければ、起動時に各パーティションをマウントして1つのファイルシステムとして運用することができません。

ルートに残すべき5つのディレクトリの中身を見る

実機で中身を確認してみると、なぜ「起動に必須」と呼ばれるのかが直感的にわかります。

[pakira@Tiger ~]$ ls /sbin | head -10 agetty badblocks blkid blockdev btrfs cfdisk chkconfig chrony clock consoletype # /sbin にはマウント・ファイルシステム・カーネル制御に必要なコマンドが並ぶ

これらは「シングルユーザーモードでの起動」「/home がマウントできなくなった時の復旧」など、最悪のトラブル時に必ず必要になります。だからこそルートファイルシステムに置かれているわけです。

なぜ /home や /var を別パーティションに切るのか

1. ルートが満杯になってもOSは生き残らせる

ルートファイルシステムが100%埋まると、Linuxはログイン処理・systemd・swapの管理すら満足にできなくなります。
ログイン不能・SSH接続不能・最悪は再起動できなくなる、という事故が現場では本当に起きます。

これを防ぐため、データが膨らみやすい以下のディレクトリは別パーティションに切る運用が標準です。

/home:ユーザーのデータが増え続ける
/var:ログ・メール・DBデータが蓄積される
/tmp:アプリの一時ファイルで瞬間的に膨れる

こうしておけば、/var がフルになっても / 自体は健全で、rootログインしてログ整理できます。

2. 復旧の単位を小さくする

ルートファイルシステムが破損した場合、最終手段はOS再インストールです。
ルートを 可能な限り小さくしておく ことで、再インストールが必要になった時の影響範囲を「OS本体だけ」に限定できます。
ユーザーデータが入っている /home や、Webサーバーのデータが入っている /var/www は別パーティションに切っておけば、ルート再構築後にマウントし直すだけで復旧できます。

3. バックアップ戦略を分けられる

ルートFSは「OS本体+設定」、/home は「ユーザーデータ」、/var は「ログ・DB」と性質が違います。
パーティションが分かれていれば、それぞれに合った頻度・方式(フル/差分/スナップショット)でバックアップを設計できます。

実機でマウント構成を確認する

今動いているサーバーが、どのディレクトリをルートに、どこを別パーティションにしているかは df コマンドで一目瞭然です。

[pakira@Tiger ~]$ df -h Filesystem Size Used Avail Use% Mounted on /dev/mapper/rhel-root 50G 12G 38G 24% / /dev/sda1 497M 170M 327M 35% /boot /dev/mapper/rhel-home 200G 42G 158G 21% /home /dev/mapper/rhel-var 100G 18G 82G 18% /var tmpfs 1.9G 0 1.9G 0% /dev/shm # /, /boot, /home, /var が別パーティションになっている例

出力の「Mounted on」列が「/」になっているものがルートファイルシステムです。
それ以外の /boot /home /var はすべて別パーティションで、起動時にルートにマウントされて1つのツリーとして見える、というのが Linux の構成です。

トラブルシュート・実務Tips

「No space left on device」とルートFSの関係

このエラーが出た時、まず疑うのはルートファイルシステムの満杯です。

# どのパーティションが満杯かを確認する # df -h # inode(ファイル数の上限)が枯渇しているケースもある # df -i

ルートFSが満杯になった時の応急処置として、まず確認すべきは /var/log です。ログローテーションが止まっていて巨大化しているケースが現場では9割を占めます。

「読み取り専用ファイルシステム」と表示された時

ルートファイルシステムが読み取り専用(read-only)に切り替わるのは、ディスク障害をカーネルが検知した時の自己防衛です。
mount コマンドで現状を確認し、ハードウェア障害がないかは dmesg | tail で必ずチェックします。

# mount | grep " / " # dmesg | tail -30

新規構築時のパーティション切りの目安

プロダクション用途で新しくサーバーを構築する時、推奨される配分の目安は以下のとおりです。あくまで目安なので、ワークロードに合わせて調整します。

/:20~50GB(OS本体+アプリ)
/boot:1GB(カーネルイメージ用、独立必須)
/home:用途次第(マルチユーザー機なら全体の30~50%)
/var:50~200GB(ログ・DBが入る場合は大きく)
swap:物理メモリと同等~2倍

本記事のまとめ

確認したいこと コマンド
各パーティションの使用量 df -h
inodeの空きを確認する df -i
マウント状況を確認する mount | grep " / "
ルートが読み取り専用になった原因を見る dmesg | tail -30
ディレクトリ単位で容量を調べる du -sh /var/log/*

パーティション設計を間違えると、本番運用で必ずトラブルが起きます

ルートファイルシステムが満杯になり、SSHログインすらできなくなる事故は、現場では決して珍しくありません。
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宮崎 智広

この記事を書いた人

宮崎 智広(みやざき ともひろ)

株式会社イーネットマーキュリー代表。現役のLinuxサーバー管理者として20年以上の実務経験を持ち、これまでに累計3,100名以上のエンジニアを指導してきたLinux教育のプロフェッショナル。「現場で本当に使える技術」を体系的に伝えることをモットーに、実践型のLinuxセミナーの開催や無料マニュアルの配布を通じてLinux人材の育成に取り組んでいる。

趣味は、キャンプにカメラ、トラウト釣り。好きな食べ物は、ラーメンにお酒。休肝日が作れない、酒量を減らせないのが悩み。最近、ドラマ「フライトエンジェル」を観て涙腺が崩壊しました。