Linuxの絶対パスと相対パスの違い|/からのパス記法を初心者向けに解説


この記事の監修:宮崎智広(Linux教育歴15年以上・受講者3,100名超)
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「cdコマンドを打ったら "No such file or directory" が出た」
「絶対パスと相対パスって何が違うの?」

Linuxを使い始めたころ、パス指定でハマった経験がある方は多いはずです。
ターミナルでコマンドを入力するたびに、どこから数えてパスを書けばいいか迷う
——そのモヤモヤを今日すっきり解消しましょう。

この記事では、Linuxの絶対パスと相対パスの違いを実行例つきで解説します。
cdコマンドの実践的な使い方・pwdで現在地確認・よくあるエラーの対処まで、
RHEL 9.4 / Ubuntu 24.04 LTS で動作確認した内容をお届けします。

この記事のポイント

・絶対パスは / から始まり、現在地に関係なく同じ場所を指す
・相対パスは現在のディレクトリを基点として書く(./、../、~/)
・cd、pwd を組み合わせると迷子にならない
・「No such file or directory」の大半はパスの書き間違いで起きる


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絶対パスと相対パスの基本的な違い

1. 絶対パスとは何か

絶対パスとは、ファイルシステムの最上位である /(ルートディレクトリ)から始まるパスのことです。
どのディレクトリにいても、同じ場所を確実に指せるのが特徴です。

例として、Apache の設定ファイルを絶対パスで指定すると次のようになります。

# 絶対パスは / から始まる /etc/httpd/conf/httpd.conf /var/log/messages /home/tanaka/work/script.sh

絶対パスのポイントは「どこにいても同じ意味」という点です。
シェルスクリプトや cron など、自動化の文脈では絶対パスを使うのが鉄則です。

2. 相対パスとは何か

相対パスとは、現在いるディレクトリ(カレントディレクトリ)を基点として書くパスです。
絶対パスと異なり、自分が今どこにいるかによって意味が変わります。

相対パスで使う記号を覚えておきましょう。

./:カレントディレクトリ自身を指す(省略可能なことも多い)
../:1つ上の親ディレクトリを指す
~/:ホームディレクトリを指す(厳密には絶対パスの別名)

たとえば、現在 /home/tanaka/work にいる場合:

# 現在地: /home/tanaka/work [tanaka@server work]$ pwd /home/tanaka/work # 相対パスで親ディレクトリに移動 [tanaka@server work]$ cd .. [tanaka@server tanaka]$ pwd /home/tanaka # 相対パスでさらに上へ [tanaka@server tanaka]$ cd ../.. [tanaka@server /]$ pwd /

cdコマンドの実践例

1. 絶対パスで移動する

どこにいても確実に目的地に移動したい場合は絶対パスを使います。

# どこにいても /etc に移動できる [tanaka@server ~]$ cd /etc [tanaka@server etc]$ pwd /etc # ホームディレクトリ直下の work に移動 [tanaka@server etc]$ cd /home/tanaka/work [tanaka@server work]$ pwd /home/tanaka/work

2. 相対パスで移動する

現在地からの相対的な位置で移動する方法です。
作業ディレクトリ内を行き来するときは相対パスの方が入力が短くて済みます。

# 現在地: /home/tanaka/work [tanaka@server work]$ pwd /home/tanaka/work # 1つ上へ [tanaka@server work]$ cd .. [tanaka@server tanaka]$ pwd /home/tanaka # サブディレクトリへ移動(./は省略可) [tanaka@server tanaka]$ cd work/scripts [tanaka@server scripts]$ pwd /home/tanaka/work/scripts # 2階層上へ一気に移動 [tanaka@server scripts]$ cd ../.. [tanaka@server tanaka]$ pwd /home/tanaka

3. ホームディレクトリへ移動する

~(チルダ)はホームディレクトリの絶対パスを短く書いたものです。
ユーザー名 tanaka のホームは /home/tanaka ですが、~ と書けば同じ意味になります。

# ~ はホームディレクトリへの近道 [tanaka@server etc]$ cd ~ [tanaka@server ~]$ pwd /home/tanaka # cd だけでも同じ(引数なしはホームに戻る) [tanaka@server etc]$ cd [tanaka@server ~]$ pwd /home/tanaka # ~ を使ってホーム以下のパスを指定 [tanaka@server /var/log]$ cd ~/work/scripts [tanaka@server scripts]$ pwd /home/tanaka/work/scripts

4. pwdで現在地を確認する

迷ったときは pwd(Print Working Directory)で現在地を確認します。
このコマンドは常に絶対パスを返すので、相対パスを使った後の確認に非常に便利です。

# 現在地を確認 [tanaka@server ~]$ pwd /home/tanaka # 移動後に確認 [tanaka@server ~]$ cd /var/log [tanaka@server log]$ pwd /var/log

よくあるエラーと対処法

1. 「No such file or directory」の原因と対処

Linuxのパス指定で最も多いエラーです。主な原因は次の3つです。

タイプミス:大文字/小文字の違いに注意(Linuxはケースセンシティブ)
パスの起点の誤り:相対パスが今いる場所から書かれていない
ファイル/ディレクトリが存在しない:ls で事前確認を

# 現在地: /home/tanaka [tanaka@server tanaka]$ cd work/Scripts bash: cd: work/Scripts: No such file or directory # → 実際のディレクトリ名は「scripts」(小文字) # ls でディレクトリ名を確認してから移動 [tanaka@server tanaka]$ ls work/ scripts docs tmp [tanaka@server tanaka]$ cd work/scripts [tanaka@server scripts]$ pwd /home/tanaka/work/scripts

2. シェルスクリプトでよくあるパスのミス

スクリプト内でパスを書くときは、相対パスではなく絶対パスを使うことを強くお勧めします。
スクリプトが cron や別のユーザーから実行されると、カレントディレクトリが変わるためです。

# NG: 相対パスはスクリプトの実行場所に依存する cat ./config.conf # OK: 絶対パスにすれば実行場所に関係なく動く cat /etc/myapp/config.conf # スクリプト内で自分のディレクトリを取得したい場合 SCRIPT_DIR="$(cd "$(dirname "$0")" && pwd)" CONFIG_FILE="${SCRIPT_DIR}/config.conf"

応用:TabキーでパスをAutoComplete

ディレクトリ名を途中まで入力して Tab キー を押すと、残りが自動補完されます。
タイプミスを防ぎながら入力速度も上がるので、ぜひ習慣にしてください。

# /etc/htt まで入力してTabを押す → /etc/httpd/ と補完される [tanaka@server ~]$ cd /etc/htt[Tab] [tanaka@server ~]$ cd /etc/httpd/ # 候補が複数あるときはTabを2回押すとリストが表示される [tanaka@server ~]$ cd /etc/h[Tab][Tab] host.conf hostname hosts hosts.allow hosts.deny httpd/

本記事のまとめ

絶対パスと相対パスの違いを整理します。
パス表現 起点 使いどころ
絶対パス / (ルート) /etc/httpd/conf/httpd.conf スクリプト・cron・設定ファイル
相対パス(./) カレントディレクトリ ./script.sh カレントディレクトリ内の実行
相対パス(../) 親ディレクトリ cd ../../var/log 近隣ディレクトリへの移動
ホームパス(~/) ホームディレクトリ ~/work/scripts ホーム以下への移動・参照
cd だけ / cd ~ ホームディレクトリ cd どこからでもホームに戻る
pwd - pwd 現在地の絶対パスを確認
迷ったら pwd で現在地確認、ファイルが見当たらなければ ls で中身確認、
この2コマンドの組み合わせで「No such file or directory」は大半解決できます。

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宮崎 智広

この記事を書いた人

宮崎 智広(みやざき ともひろ)

株式会社イーネットマーキュリー代表。現役のLinuxサーバー管理者として15年以上の実務経験を持ち、これまでに累計3,100名以上のエンジニアを指導してきたLinux教育のプロフェッショナル。「現場で本当に使える技術」を体系的に伝えることをモットーに、実践型のLinuxセミナーの開催や無料マニュアルの配布を通じてLinux人材の育成に取り組んでいる。

趣味は、キャンプにカメラ、トラウト釣り。好きな食べ物は、ラーメンにお酒。休肝日が作れない、酒量を減らせないのが悩み。最近、ドラマ「フライトエンジェル」を観て涙腺が崩壊しました。