「UbuntuとRocky Linuxって何が違うの?」
「CentOSが終了したと聞いたけど、代わりに何を使えばいいの?」
Linuxを学ぼうとすると、必ずぶつかるのがこのディストリビューション選びの問題です。
この記事では、2026年現在の主要ディストリビューションを一覧で紹介し、用途別の選び方(サーバー/学習/IoT/クラウド)を解説します。CentOSの終了経緯とRocky Linux・AlmaLinuxへの移行についても取り上げます。
この記事のポイント
・ディストリビューションはLinuxカーネル+ソフト群をまとめたパッケージのこと
・2026年現在の主役はUbuntu 24.04 LTS・Rocky Linux 9・RHEL 10
・CentOSは2024年6月に終了。後継はRocky Linux/AlmaLinux
・用途別に選ぶのが正解。学習用=Ubuntu、本番サーバー=Rocky/RHEL
でも安心してください。プロのエンジニアはコマンドを暗記していません。
「現場で使える型」を効率よく使いこなしているだけです。
そもそもディストリビューションとは何か
Linuxカーネル(OSの本体)だけでは、コンピュータを実際に使うことはできません。シェル・パッケージマネージャー・システムサービス・GUIなど、多くのソフトウェアが揃って初めてOSとして機能します。これらを一まとめにして配布しているものが「ディストリビューション」(distribution、略してdistro)です。
ディストリビューションを作り配布している組織や企業のことを「ディストリビューター」と呼びます。Ubuntuの場合はCanonical社、RHELの場合はRed Hat(IBM)がディストリビューターにあたります。
主要ディストリビューション一覧(2026年現在)
現在のLinuxエコシステムを整理すると、大きく「Red Hat系」「Debian/Ubuntu系」「その他」の3系統に分けられます。| ディストリビューション | 系統 | 主な用途 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| Ubuntu 24.04 LTS | Debian系 | 学習・デスクトップ・クラウド | 最大のコミュニティ、5年LTSサポート |
| Rocky Linux 9 | Red Hat系(RHELクローン) | 企業サーバー・学習 | RHEL完全互換・無料・CentOS後継 |
| RHEL 10 | Red Hat系 | エンタープライズ本番環境 | 有料・IBMが提供する業界標準 |
| AlmaLinux OS | Red Hat系(RHELクローン) | 企業サーバー | Rocky Linuxと並ぶCentOS後継 |
| Debian 12 | Debian系 | サーバー・安定重視 | 歴史が長く安定性が高い。Ubuntu/Raspbianの親 |
| Raspberry Pi OS | Debian系 | IoT・電子工作・教育 | Raspberry Pi専用。Debianベース |
| Fedora 40 | Red Hat系 | 開発者・最新技術検証 | RHELの上流プロジェクト。最新機能が先行導入 |
Red Hat系ディストリビューションの詳細
1. RHEL(Red Hat Enterprise Linux)10
Red Hat(現在はIBM傘下)が提供する、エンタープライズ向けの商用Linuxです。2026年現在の最新バージョンはRHEL 10です。・有料サポート契約が必要:ライセンスは無料ではないが、企業が安心して使えるサポート体制が整っている
・10年間のサポート保証:メジャーバージョンが10年サポートされるため、本番環境での長期運用に向いている
・各種認定資格の試験環境:RHCSA・RHCE資格の試験はRHEL環境で行われる
・クラウドでの利用:AWS・Azure・GCPでもRHELが使える(PAYG型の課金で利用可)
2. Rocky Linux 9(CentOS後継の主力)
Rocky Linuxは、CentOS 8終了後の2021年にCentOSプロジェクトの創設者が立ち上げたRHELクローンです。現在の最新バージョンはRocky Linux 9です。# Rocky Linux 9のバージョン確認 cat /etc/rocky-release # Rocky Linux release 9.3 (Blue Onyx) cat /etc/os-release | grep -E "^NAME|^VERSION" # NAME="Rocky Linux" # VERSION="9.3 (Blue Onyx)"
・無料で利用可能:CentOSと同様にオープンソース
・企業・コミュニティのサポート:Rocky Linux公式フォーラム・Rocky Linux Foundation によるサポート
・本番環境での採用実績:国内外の大手企業がCentOSからの移行先として採用
3. AlmaLinux OS
AlmaLinuxも、RHELクローンとしてCentOSの後継に位置づけられます。CloudLinux社が支援するAlmaLinux OS Foundationが開発しています。Rocky LinuxとAlmaLinuxは機能的にほぼ同等です。選択基準は「どちらのコミュニティやサポート体制が自分たちの組織に合っているか」で判断することが多いです。
4. Fedora
FedoraはRHELの上流(アップストリーム)プロジェクトです。RHELに新機能が取り込まれる前に、まずFedoraで実証されます。・最新技術を素早く取り込む:最新のカーネルやソフトウェアがいち早く使える
・サポート期間が短い:約6ヶ月ごとのリリースサイクル、サポートは約13ヶ月
・用途:開発者のデスクトップ環境・新機能のテストに向いている
Debian/Ubuntu系ディストリビューションの詳細
1. Ubuntu 24.04 LTS(Noble Numbat)
現在Linuxディストリビューションの中で最大のユーザーベースを持つのがUbuntuです。Canonical社が開発・サポートを提供しています。# Ubuntu 24.04のバージョン確認 lsb_release -a # Distributor ID: Ubuntu # Description: Ubuntu 24.04.1 LTS # Release: 24.04 # Codename: noble # または cat /etc/os-release | grep -E "^NAME|^VERSION" # NAME="Ubuntu" # VERSION="24.04.1 LTS (Noble Numbat)"
・クラウドで最も普及:AWS EC2・GCP・AzureのデフォルトイメージにUbuntuが使われることが多い
・WSL2での利用も可能:Windows上のWSL2でも最も利用されているディストリビューション
・学習リソースが豊富:日本語・英語ともにドキュメントやQ&Aが充実している
2. Debian 12(Bookworm)
Debian GNU/LinuxはUbuntuをはじめ多くのディストリビューションのベースになっているオリジナルです。・安定性最優先:パッケージのバージョンは保守的で、枯れた(実績のある)ソフトウェアを採用
・純粋なオープンソース哲学:非フリーのファームウェアはデフォルトで除外されていた(12からは選択可)
・用途:インターネットサービスプロバイダーのサーバーや、安定性重視のシステムに適している
3. Raspberry Pi OS
ラズベリーパイ財団が提供するDebian派生のOSです。Raspberry Piシングルボードコンピュータ専用に最適化されています。・IoT・電子工作に最適:GPIO制御・各種センサー対応のライブラリが充実
・軽量設計:ARMアーキテクチャで動作、リソースの少ないデバイスでも軽快
・教育用途:プログラミング教育向けのツール・IDEが標準で含まれる
CentOS終了の経緯とRocky Linux・AlmaLinuxへの移行
1. CentOSとは何だったのか
CentOSは2000年代から2020年代にかけて、企業のサーバーで最もよく使われていたLinuxディストリビューションの一つです。RHEL互換でありながら無料で使えるため、多くの企業やレンタルサーバーで採用されていました。2. CentOS Streamへの移行とサポート終了
2020年12月、Red Hatは突然「CentOS 8のサポートを2021年末で終了し、CentOS Streamへ移行する」と発表しました。これはコミュニティに大きな衝撃を与えました。CentOS StreamはRHELの「上流開発版」となり、従来のRHELクローンではなくなりました。
・CentOS 8:2021年12月31日にサポート終了(当初の予定より8年早い)
・CentOS 7:2024年6月30日にサポート終了(こちらは予定通り)
現在、CentOS 7/8をまだ使っているシステムはセキュリティパッチが当たらない状態にあり、速やかな移行が推奨されています。
3. 移行先の選択肢
CentOSからの移行先として主に以下が検討されます。・Rocky Linux 9 / AlmaLinux OS:RHELクローンを維持したい場合の最有力候補
・RHEL 10(有償):企業として公式サポートが必要な場合
・Ubuntu 24.04 LTS:Red Hat系に縛られない場合の有力候補
移行時は、パッケージマネージャーの違い(yum/dnf vs apt)や、SELinuxの設定、ファイアウォール管理(firewalld vs ufw)などに注意が必要です。
用途別のディストリビューション選び方
1. Linuxをこれから学ぶ場合
学習用には Ubuntu 24.04 LTS が最もおすすめです。・理由:日本語のドキュメントが多い。WSL2でWindowsから試せる。AWS等クラウドでの利用実績が豊富で実務に直結しやすい
・次のステップ:基本コマンドに慣れたら、Rocky Linux 9を別環境に立てて、Red Hat系の操作も覚えると市場価値が上がる
2. 企業のサーバー構築・運用
Rocky Linux 9 または RHEL 10 が有力です。・無料で運用したい場合:Rocky Linux 9(もしくはAlmaLinux OS)
・有償サポートが必要な場合:RHEL 10(レッドハット社との契約)
・判断基準:24時間365日の有人サポートが必要、またはRed Hat認定資格の受験環境が必要ならRHEL、そうでなければRocky/AlmaLinuxで十分なケースが多い
3. クラウド環境(AWS・GCP・Azure)
Amazon Linux 2023(AWS独自)または Ubuntu 24.04 LTS が実績豊富です。・Amazon Linux 2023:AWSのEC2に最適化。Fedora系のパッケージ管理(dnf)を採用。AWSとの相性が良い
・Ubuntu:GCP・Azureでも標準的に使える。マルチクラウドで統一したい場合に便利
4. IoT・Raspberry Pi・組み込み
Raspberry Pi OS(旧Raspbian)が最適です。・Raspberry Pi専用に最適化:ハードウェア制御のサポートが充実
・Ubuntu for Raspberry Pi:Ubuntuの標準環境で学習しながらIoTも扱いたい場合の選択肢
ディストリビューション間の主な違い(パッケージ管理)
ディストリビューションを切り替えるときに最初に戸惑うのがパッケージ管理コマンドの違いです。| 系統 | パッケージ形式 | 管理コマンド | 主なディストリ |
|---|---|---|---|
| Red Hat系 | .rpm | dnf / yum | RHEL・Rocky・AlmaLinux・Fedora |
| Debian系 | .deb | apt / apt-get | Debian・Ubuntu・Raspberry Pi OS |
例えば、Apacheをインストールするコマンドは次のように違います。
# Red Hat系(RHEL/Rocky Linux/AlmaLinux) sudo dnf install httpd # Debian/Ubuntu系 sudo apt install apache2
本記事のまとめ
| 用途 | おすすめディストリビューション |
|---|---|
| Linux入門・学習 | Ubuntu 24.04 LTS |
| 企業サーバー(無料) | Rocky Linux 9 / AlmaLinux OS |
| エンタープライズ本番(有償サポート必須) | RHEL 10 |
| クラウド(AWS) | Amazon Linux 2023 / Ubuntu 24.04 LTS |
| IoT・Raspberry Pi | Raspberry Pi OS |
| CentOS 7/8からの移行 | Rocky Linux 9 / AlmaLinux OS |
ディストリビューションは「どれが一番良いか」ではなく「何のために使うか」で選ぶのが正解です。学習目的ならUbuntuから始めて、業務要件に合わせてRHEL系を覚えていくと効率的です。
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