Puppy Linuxとは?超軽量OSをUSBから起動して古いPCを蘇らせる方法【初心者向け】

宮崎智広 この記事の監修:宮崎智広(Linux実務・教育歴20年以上・受講者3,100名超)
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「もう何年も前のパソコンで、メモリも1GBあるかどうか。新しいLinuxを入れようにも、紹介される候補はどれも重そうで動く気がしない」。古いマシンを延命したくてLinuxを調べ始めたものの、自分のPCがあまりに非力で候補から外れてしまう。そんなところで手が止まっている人は少なくありません。

結論から言うと、その極端に古いマシンでも動く可能性が高いのがPuppy Linux(パピー・リナックス)です。Puppy Linuxは、OS全体をメモリ(RAM)の上に丸ごと展開して動かすという独特の設計で、メモリ512MB前後のマシンでもきびきび動く超軽量Linuxです。しかもハードディスクへインストールせず、USBメモリから起動してそのまま使う「ライブ運用」が基本という、ほかのLinuxとはかなり違う使い方をします。

この記事では、Puppy Linuxとは何かという基礎から、ISOの入手・USBメモリでの起動メディア作成・ライブ起動、そしてPuppy最大の特徴である「個人保存ファイル」の作り方、日本語環境の整え方、独自のパッケージ管理(PPM)でのアプリ追加までを、初めての人がそのまま手を動かせる順番で解説します。Puppyは軽さと引き換えにクセもあるディストロなので、正直なところも含めて案内します。どの軽量Linuxにするか迷っている段階なら、最後に比較・選び方のハブ記事も案内します。

この記事のポイント

・Puppy LinuxはRAM上に全体を展開して動く超軽量Linux
・HDDに入れずUSBから起動する「ライブ運用」が基本
・設定やファイルは「個人保存ファイル」に保存する独特の仕組み
・アプリ追加はPPM(Puppy Package Manager)で行う


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Puppy Linuxとは|RAMに展開して動く超軽量Linux

Puppy Linux(パピー・リナックス)は、無償で使えるデスクトップ向けのLinuxディストリビューションです。ディストリビューションとは、Linuxカーネルにアプリや設定をまとめ、インストールすればすぐ使える形に仕上げたものを指します。Puppy Linuxはその中でも、徹底的に軽さを追求した「超軽量」の代表格として、古くから根強い人気があります。

Puppy Linuxの最大の特徴は、OS本体をメモリ(RAM)の上に丸ごと展開して動かすことです。一般的なLinuxやWindowsは、必要なファイルをそのつどハードディスクやSSDから読み込みながら動きます。これに対してPuppyは、起動時に圧縮された本体を一気にメモリへ展開してしまい、以降はそのメモリ上のシステムだけで動きます。ディスクへの読み書きが減るぶん体感が速く、しかも本体自体が数百MBと小さいため、メモリの少ない古いマシンでも軽快に動くわけです。

「ライブ運用」が基本という独特のスタイル

もうひとつ、Puppyを語るうえで欠かせないのが「ライブ運用」が基本というスタイルです。多くのLinuxは、USBメモリから起動して動作を確認したあと、最終的にハードディスクへインストールして使います。ところがPuppy Linuxは、ハードディスクへ本格的にインストールせず、USBメモリやCDから起動してそのまま日常的に使い続ける、という運用が標準的なのです。

この方式には実用的な利点があります。手元のパソコンのハードディスクには一切手を触れないため、中に入っているWindowsをそのまま温存できます。USBメモリを抜けば元のWindowsが起動し、挿して起動すればPuppyが立ち上がる、という共存が自然にできるわけです。ハードディスクが不調なマシンでも、USB側だけで完結するので延命に向きます。私が現場で古いノートを一時的に動かしたいときも、このUSBから起動するだけのPuppyを使うことがあります。ディスクに何も書き込まない安心感は、ほかの方式にはないものです。

個人保存ファイル|Puppy最大の特徴

ここがPuppy Linuxが他のディストロと最も違う、最重要のポイントです。RAM上で動くということは、電源を切ればメモリの内容は消えてしまうということでもあります。では、設定や作成したファイルはどこへ保存されるのか。その答えが「個人保存ファイル(save file)」または「個人保存フォルダ(save folder)」という独自の仕組みです。

Puppyを終了するとき、「今回の変更を保存しますか」と尋ねられます。ここで保存を選ぶと、壁紙や日本語設定、追加したアプリ、作成した文書などの「変更ぶん」がひとつの保存領域にまとめて書き出されます。次回の起動時は、Puppy本体をRAMに展開したうえで、この個人保存ファイルを読み込んで前回の状態を復元します。つまり「真っさらなPuppy本体+自分の変更ぶんを記録した個人保存ファイル」という二段構えで、毎回の環境が成り立っているのです。

この仕組みは最初こそ戸惑いますが、慣れると合理的です。本体は常にクリーンなまま、自分の変更だけが別ファイルに積み上がるため、調子が悪くなったら個人保存ファイルを作り直すだけで初期状態に戻せます。USBメモリにPuppy本体と個人保存ファイルを置いておけば、そのUSBがそのまま「持ち運べる自分専用のPC環境」になる、という使い方もできます。この独特の保存方式こそがPuppyの本質で、ここを理解すれば残りの操作はぐっと分かりやすくなります。

系統・ベース|「○○Pup」とWoof-CE

Puppy Linuxには、ベースとなる別のディストロが異なる複数の版(バリエーション)が存在します。これはPuppyが「Woof-CE(ウーフ・シーイー)」というビルドシステムで作られているためで、Woof-CEはUbuntuやDebianなど既存のディストロのパッケージを材料にして、その上にPuppyの仕組みをかぶせる形でPuppyを組み立てます。

そのため、Ubuntuのパッケージを土台にした版や、Debianのパッケージを土台にした版などが生まれ、名前にも「○○Pup(パップ)」のように土台が反映されます。たとえばDebianの安定版を土台にした版が公開されることもあり、どのベースの版を選ぶかで使えるソフトの互換性などが少しずつ変わります。最新の正式版がどれかは時期によって移り変わるため、本記事ではあえて特定の版名を断定しません。導入の際は、後述する公式サイトで「現在の推奨版」を確認するのが確実です。日本語化があらかじめ施された有志による版が出回ることもあります。

パッケージ管理はPPM(独自の道具)

多くのLinuxでは、アプリの導入や更新にaptdnfといったコマンドを使います。Puppy Linuxにも土台ゆずりのパッケージ機構はありますが、初心者が日常的に使うのは「PPM(Puppy Package Manager、パピー・パッケージ・マネージャー)」という独自のGUIツールです。アプリ名で検索し、一覧から選んでインストールできるため、コマンドを打たずにソフトを追加できます。詳しい使い方は後半で解説します。

正直に言うと、Puppyは少しクセが強い

ここまで魅力を述べてきましたが、初心者に手放しでおすすめできるディストロかというと、正直なところそうとは言い切れません。Puppy Linuxは設計が独特で、初めてLinuxに触れる人にとってはクセが強い面があります。

最も大きな違いは、Puppyが基本的に管理者権限(root、ルート)で動作することです。通常のLinuxは、普段は権限の制限された一般ユーザーで操作し、システムに関わる作業のときだけsudoで一時的に管理者権限を借ります。これは、操作ミスやマルウェアの被害がシステム全体に及ぶのを防ぐための仕組みです。ところがPuppyは、軽量化と手軽さを優先して、最初から管理者権限で動く設計になっています。そのぶん操作は手軽ですが、何でもできてしまうため、うっかり重要なファイルを消すといった事故のリスクは高くなります。

このため、Puppyは「とにかく軽く動かしたい」「古いマシンを一時的に蘇らせたい」という用途には抜群に向く一方、Windowsからの本格的な乗り換え先として腰を据えて使うなら、もっと初心者向けに作られた別のディストロのほうが無難な場合もあります。この点は後半の「こんな人におすすめ」で改めて整理します。まずは「Puppyは軽さと引き換えにクセもある」と理解したうえで読み進めてください。

Puppy Linuxの動作要件|必要メモリと対応PC

起動メディアを作る前に、手元のパソコンでPuppy Linuxが動くかを確認しておきましょう。Puppyは超軽量なので要件はかなり低く、現実的な目安は次の通りです。

項目最低の目安快適に使う目安
メモリ(RAM)512MB1GB以上
ストレージUSBメモリ(4GB以上)USBメモリ(8GB以上)
CPU古い世代でも可デュアルコア前後
起動方法USB/CDブート対応USBブート対応

注目したいのは、メモリ512MBという、ほかのディストロがあきらめる領域でも動作する点です。これはOS全体をRAMに展開する設計と、本体が数百MBと小さいことの賜物です。むしろメモリが多いほどRAM上のシステムに余裕が生まれて速くなるため、1GBもあれば日常使いには十分です。手元のメモリ容量は、乗り換え前のWindows上でタスクマネージャーを開けば確認できます。なお、ほかの軽量ディストロとの必要メモリやデスクトップ環境の細かい比較は本記事では扱いません。スペック軸でじっくり選びたい方は、軽量Linuxディストリビューションおすすめ比較|古いPCでも軽快に動く選び方を入口にしてください。本記事は「Puppyに決めた人が実際に起動して使う」ことに集中します。

対応PCについては、Puppyはハードディスクへ書き込まないライブ運用が基本なので、手元のWindowsを温存したまま「お試し」から始められるのが利点です。USBブートに対応していれば、ここ十数年の幅広い世代のパソコンで起動を試せます。

Puppy LinuxをUSBから起動する手順

ここからが本番です。Puppyの導入は「ISOを入手する」「USBメモリで起動メディアを作る」「USBから起動する(ライブ起動)」「個人保存ファイルを作る」という流れで進みます。一般的なディストロのように「ハードディスクへインストールする」工程が必須ではないのがPuppyらしいところです。順番に進めてください。

1. 事前準備|手元のPCのデータは触らないが念のため確認

Puppyのライブ運用は手元のパソコンのハードディスクへ書き込まないため、原則としてWindows側のデータはそのまま残ります。とはいえ、操作に慣れないうちは万一に備え、消えて困る大切なデータを外付けドライブやクラウドへ退避しておくと安心です。これは実務でも鉄則で、ディスクに触れない方式であっても「念のためのバックアップ」を習慣にしておくとトラブルを未然に防げます。

2. ISOファイルをダウンロードする

Puppy Linuxの公式サイト(puppylinux.com)の配布ページから、ISOイメージをダウンロードします。前述の通りPuppyには複数のベースの版があるため、サイト上で案内されている「現在の推奨版」を選ぶのが確実です。最新の正式版がどれかは時期によって変わるので、本記事で版名を決め打ちせず、配布ページの案内に従ってください。ファイルサイズは数百MBと小さく、ダウンロードはすぐ終わります。

ダウンロードしたISOファイルが破損していないかは、公式が公開しているチェックサム(ファイルの指紋のような値)で照合できます。すでにLinux環境がある場合は、次のようにsha256sumで確認します。

# ダウンロードしたISOのSHA256ハッシュ値を計算する $ sha256sum puppylinux.iso a1b2c3d4e5f6...(長い英数字の文字列) puppylinux.iso # この値が公式サイトに記載のチェックサムと一致すればOK

3. USBメモリで起動メディアを作成する

ダウンロードしたISOを、USBメモリに書き込んで「起動できる状態」にします。Puppy本体は小さいですが、後述する個人保存ファイルの置き場も兼ねるため、4GB以上、できれば8GB以上のUSBメモリを用意してください。書き込むとUSBメモリの中身は消えるので、空のものを使います。

WindowsからならRufus(ルーファス)、Linux/Mac環境ならbalenaEtcherといった専用ツールを使うのが簡単です。すでにLinux環境が手元にある場合は、ddコマンドでも作成できます。次はddでの書き込み例です。書き込み先のデバイス名(/dev/sdX)を間違えると別のディスクを破壊するため、対象の確認は慎重に行ってください。

# lsblk で接続中のディスクを一覧表示し、USBメモリのデバイス名を確認する $ lsblk NAME SIZE TYPE MOUNTPOINT sda 476G disk sdb 14G disk ← これがUSBメモリ(/dev/sdb) # ISOをUSBメモリ全体へ書き込む(of= の指定先を間違えないこと) $ sudo dd if=puppylinux.iso of=/dev/sdb bs=4M status=progress oflag=sync

ddでのUSBブート作成の詳しい手順や、bscountといったオプションの意味は、ddコマンドでディスクイメージを作成・書き込みする方法|bs・countの指定やUSBブート作成もで個別に解説しています。コマンドに不慣れなら、まずはRufusなどのGUIツールから始めるのが安全です。

4. USBから起動する(ライブ起動)

作成したUSBメモリをパソコンに挿し、そこから起動します。多くのパソコンは、電源投入直後にF12やF2などのキーを押すと、起動デバイスを選ぶメニューが出ます(キーは機種により異なります)。USBメモリを選ぶと、Puppy Linuxがメモリへ展開されて立ち上がります。これがPuppyの「ライブ起動」です。

初回はあっという間にデスクトップが現れます。この時点ではUSBから起動してRAM上で動いているだけで、手元のパソコンのハードディスクには何も書き込まれていません。ここでウェブの閲覧や、無線LANの認識、画面表示などを試してみてください。気に入らなければUSBを抜いて再起動すれば、何事もなかったように元のWindowsが立ち上がります。この「いつでも引き返せる」気軽さがPuppyの魅力です。

5. 個人保存ファイルを作成する(最重要)

ライブ起動で動作に問題がなければ、いよいよPuppyの肝である「個人保存ファイル」を作ります。これを作らないと、終了するたびに設定や作成したファイルがすべて消えてしまいます。逆に言えば、これさえ作れば、次回からは前回の続きから使えるようになります。

個人保存ファイルは、Puppyを終了しようとした際に表示される「変更を保存しますか」という案内から作成するのが基本です。保存を選ぶと、保存先(多くはPuppyを起動しているUSBメモリ自身)と、保存領域のサイズ(あとから少し余裕を見て決められます)を尋ねられます。案内に従って進めると、USBメモリ上に個人保存ファイル(save file)または個人保存フォルダ(save folder)が作られます。次回以降の起動では、Puppyがこの保存領域を自動で読み込み、前回の壁紙・日本語設定・追加アプリ・作成ファイルがそのまま復元されます。

つまりPuppyの環境は「クリーンな本体(毎回RAMに展開)+個人保存ファイル(自分の変更ぶん)」という二段構えで成り立っています。この二段構えを理解しておくと、後述するトラブルの際にも落ち着いて対処できます。なお、いきなり実機で試すのが不安なら、仮想環境で一度Puppyの挙動を確認してから本番に移る手もあります。実機・仮想環境・VPSのどれで練習するのが向いているかは、Linuxの勉強に実機環境は必要か|VM・VPS・実機の選び方で整理しています。

Puppy Linuxの日本語環境を整える

Puppy Linuxには、もともと日本語化が施された有志による版が出回ることがあります。その版を使えば、表示も入力も最初から日本語が使える状態で始められるため、初心者には最も手軽です。公式サイトや日本語コミュニティで「日本語版」が案内されていれば、まずそちらを検討してください。

1. 日本語版を使うのが最も手軽

日本語化済みの版は、メニューの表示が日本語になっているだけでなく、日本語入力の仕組みもあらかじめ組み込まれていることが多く、追加設定の手間が大きく減ります。Puppyは設定がやや独特なため、初めての人ほど、最初から日本語が整った版を選ぶ恩恵が大きいです。

2. 英語版を日本語化する場合の考え方

使いたい版に日本語版が用意されていない場合は、英語版を後から日本語化することになります。Puppyでは「言語パック」の導入や、日本語入力の仕組み(版によって組み込まれている入力メソッドが異なります)の有効化といった作業が必要になります。手順は版ごとに差があるため、本記事で特定のコマンドを断定はしません。利用する版の公式ドキュメントや日本語コミュニティの案内に沿って進めるのが確実です。正直に言えば、英語版からの日本語化はPuppyの中でも難易度が高い部分なので、初心者はまず日本語版を探すことを強くおすすめします。

日本語化まで含めて手間なく始めたい、あるいは日本語入力で確実につまずきたくないという場合は、そもそも日本語対応が手厚い別の軽量ディストロを選ぶほうが近道なこともあります。その判断材料は後半の「こんな人におすすめ」で触れます。

Puppy Linuxの基本の使い方|PPMと保存のコツ

日本語環境まで整えば、あとは普通のパソコンとして使えます。ここでは、Puppyを使ううえで欠かせない「アプリの追加(PPM)」と「保存の作法」という2点に絞って解説します。この2つを押さえれば、日常使いで困ることはほとんどなくなります。

PPMでアプリを追加する

新しいアプリを入れたいときは、PPM(Puppy Package Manager)を使うのが基本です。メニューから「Puppy Package Manager」を開くと、導入できるソフトの一覧が表示されます。検索欄にアプリ名を入れて目的のソフトを探し、選んでインストールを実行するだけです。コマンドを打つ必要がないため、初心者でも扱いやすいのが利点です。

Puppyは本体を小さく保つ思想なので、最初から入っているアプリは必要最小限です。ウェブブラウザや軽量なテキストエディタ、画像ビューアなどは備わっていますが、オフィスソフトなど大きめのアプリは、必要に応じてPPMから足していく形になります。ここで追加したアプリは、前述の個人保存ファイルに記録されるため、次回起動時もそのまま使えます。

保存の作法|こまめに「保存」を選ぶ

Puppyを使ううえで最も大切な習慣が、変更をこまめに保存することです。RAM上で動いている以上、保存していない変更は電源を切れば消えます。Puppyには、終了時だけでなく、使用中に手動で現在の状態を個人保存ファイルへ書き出す機能(版によって「保存」アイコンやメニューが用意されています)があります。大事な作業をしたあとは、終了を待たずにこまめに保存しておくと、不意の電源断でも被害を最小限にできます。

この「明示的に保存する」という作法は、保存が自動で行われるWindowsや一般的なLinuxに慣れた人ほど忘れがちです。Puppyを使い始めの頃に「設定したはずなのに次回消えていた」という多くは、この保存を選び忘れたことが原因です。まずは終了時の「変更を保存しますか」で必ず保存を選ぶ、という一点だけでも徹底してください。

こんな人におすすめ|別の選択肢も知りたいときは

Puppy Linuxは、次のような人に特に向いています。メモリ512MB~1GBといった、ほかのディストロでは厳しい極端に古いマシンを動かしたい人。ハードディスクが不調で、ディスクに書き込まずUSBだけで完結させたい人。そして、USBを挿せばPuppy、抜けばWindowsという気軽な「お試し・持ち運び」環境がほしい人です。これらの用途では、Puppyの軽さとライブ運用が大きな武器になります。

一方で、Windowsからの本格的な乗り換え先として腰を据えて使いたい、日本語環境で確実につまずきたくない、管理者権限で動く設計に不安がある、という場合は、もっと初心者向けに作られた別のディストロのほうが無難です。実績と情報量で選ぶならLinux Mintとは?インストールから日本語設定・初期設定まで初心者向けに解説、見た目をWindowsそっくりにそろえたいならZorin OSとは?WindowsそっくりのLinuxをインストールして使う方法、Debian安定版ゆずりの堅牢さで腰を据えて使いたいならMX Linuxとは?軽量で安定したDebian系ディストロのインストールと使い方を、それぞれ導入手順としてまとめています。

どの軽量ディストロが自分のPCと用途に合うかを、必要メモリやデスクトップ環境から見比べたい場合は、軽量Linuxディストリビューションおすすめ比較|古いPCでも軽快に動く選び方が比較の入口になります。さらに、軽さに限らず「自分の目的にどのディストロが合うか」を整理したい方は、おすすめLinuxディストリビューション完全ガイド|目的別の選び方もで用途別の選び方をまとめています。本記事はあくまで「Puppy Linuxを実際に起動して使い始める」ことに絞っているので、比較で迷っている段階ならこれらのハブ記事から戻ってくるのがおすすめです。

「保存できない」「日本語が出ない」などトラブル時の対処法

初心者がPuppy Linuxの導入直後によくつまずくポイントと、そのトラブルの対処をまとめます。Puppyならではの「保存」や「ライブ起動」に関わるものが中心です。落ち着いて確認すれば多くは解決します。

設定が次回に引き継がれない・保存できない

最も多いのが、設定したはずの変更が次回起動時に消えているケースです。原因のほとんどは、個人保存ファイルがまだ作られていないか、終了時に「保存」を選んでいないことです。まずは終了時の「変更を保存しますか」で必ず保存を選び、個人保存ファイルを作成してください。すでに作成済みなら、こまめな手動保存を習慣にすると取りこぼしが減ります。USBメモリの空き容量が不足していると保存に失敗することもあるため、容量にも余裕を持たせてください。

USBから起動しない・ライブ起動の画面が出ない

USBメモリから起動できないときは、まず起動デバイスの選択がUSBになっているかを確認します。パソコンによっては、設定(UEFI/BIOS)でセキュアブートを一時的に無効にしないとUSB起動できないことがあります。また、書き込み自体が失敗している可能性もあるので、別のツール(RufusやbalenaEtcher)で作り直すと解決する場合があります。古い機種ではUSB起動に対応せず、CDからの起動が必要なこともあります。

日本語が表示・入力できない

英語版をそのまま使っていると、日本語の表示や入力ができません。前述の通り、Puppyの日本語化は版による差が大きく、初心者には難しい部分です。確実なのは、最初から日本語化済みの版を選び直すことです。どうしても英語版を使う必要がある場合は、その版の公式ドキュメントや日本語コミュニティの案内に沿って、言語パックと日本語入力の仕組みを導入してください。日本語入力で時間を取られたくないなら、日本語対応が手厚いMintやZorin OSへ切り替える判断も現実的です。

本記事のまとめ

Puppy Linuxは、OS全体をRAMに展開して動かす超軽量Linuxです。ハードディスクへインストールせずUSBから起動する「ライブ運用」が基本で、設定や作成ファイルは「個人保存ファイル」という独特の仕組みに保存します。導入は、ISOを入手し、USBメモリで起動メディアを作り、ライブ起動で動作を確認してから個人保存ファイルを作る、という流れで進みます。アプリ追加はPPMで行い、終了時にはこまめに保存を選ぶのが作法です。軽さは抜群な一方、管理者権限で動く設計や日本語化の難しさといったクセもあるため、用途次第で別のディストロが向くこともあります。最後に、要点を一覧で振り返っておきます。

やりたいこと方法・コマンド
ISOの破損を確認するsha256sum puppylinux.iso
USBのデバイス名を確認するlsblk
USB起動メディアを作る(CUI)sudo dd if=puppylinux.iso of=/dev/sdb bs=4M status=progress
前回の状態を引き継ぐ終了時に「変更を保存」を選び個人保存ファイルを作る
アプリを追加するメニューから「Puppy Package Manager」を開く
日本語で手早く始める日本語化済みの版を選ぶ

Puppy Linuxを動かしてみると、「もう使えない」とあきらめていた古いマシンが、まだ十分に現役だと気づくはずです。まずはUSBから起動するライブ起動で、手元のWindowsを温存したまま一歩を踏み出してみてください。Puppyの軽さとライブ運用の気軽さに慣れたら、より腰を据えて使える別のディストロや、コマンド・サーバーの世界へ少しずつ広げていけます。

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宮崎 智広

この記事を書いた人

宮崎 智広(みやざき ともひろ)

株式会社イーネットマーキュリー代表。現役のLinuxサーバー管理者として20年以上の実務経験を持ち、これまでに累計3,100名以上のエンジニアを指導してきたLinux教育のプロフェッショナル。「現場で本当に使える技術」を体系的に伝えることをモットーに、実践型のLinuxセミナーの開催や無料マニュアルの配布を通じてLinux人材の育成に取り組んでいる。

趣味は、キャンプにカメラ、トラウト釣り。好きな食べ物は、ラーメンにお酒。休肝日が作れない、酒量を減らせないのが悩み。最近、ドラマ「フライトエンジェル」を観て涙腺が崩壊しました。