Linux Mintとは?インストールから日本語設定・初期設定まで初心者向けに解説

宮崎智広 この記事の監修:宮崎智広(Linux実務・教育歴20年以上・受講者3,100名超)
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「Windowsの動きが重くなってきたのでLinuxを試したい。でも、ターミナルに黒い画面でコマンドを打つようなイメージがあって、自分には難しそう」。Linuxに乗り換えたいと思ったとき、ここで足が止まる人はとても多いです。

結論から言うと、その心配はLinux Mintを選べば、ほとんど当てはまりません。Linux Mintは、画面の構成がWindowsによく似ていて、マウス操作だけで一通り使えるように作られたLinuxです。Windowsからの乗り換え先として、初心者に最も無難な一本と言ってよい存在です。

この記事では、Linux Mintとは何かという基礎から、ISOのダウンロード・USBメモリでの起動メディア作成・インストール、そして日本語入力の設定や基本の使い方まで、初めての人がそのまま手を動かせる順番で解説します。どのディストリビューションにするか比較中の段階なら、最後に選び方のハブ記事も案内します。

この記事のポイント

・Linux MintはUbuntuベースで、Windowsに近い操作感の初心者向けLinux
・エディションはCinnamon・MATE・Xfceの3つ。迷ったらCinnamonでよい
・インストールはISO入手→USBメモリ作成→お試し起動→インストールの順
・日本語入力はFcitx5+Mozcを入れ、再ログインで有効化する


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Linux Mintとは|Windowsに近い初心者向けLinux

Linux Mint(リナックス・ミント)は、無償で使えるデスクトップ向けのLinuxディストリビューションです。ディストリビューションとは、Linuxカーネルにアプリや設定をまとめ、インストールすればすぐ使える形に仕上げたものを指します。Mintはその中でも、パソコンの操作に慣れている人がWindowsから移ってきても戸惑いにくいことを重視して作られています。

画面の左下にスタートメニューに相当するボタンがあり、そこからアプリを探せます。タスクバーやシステムトレイの位置もWindowsに近く、ファイル操作もマウス中心で完結します。乗り換え初日からコマンドを覚える必要がない、というのがMintの最大の魅力です。

なぜLinux Mintは初心者に人気なのか

Mintが初心者から支持される理由は、大きく3つあります。1つ目は、いま述べたWindowsに近い操作感です。2つ目は、インストール直後から日本語表示に対応し、動画再生などに必要な各種の機能も最初から整っていて、追加の手間が少ないこと。3つ目は、利用者が世界的に多く、トラブルにぶつかっても検索すれば解決策が見つかりやすいことです。

私のセミナーでも「まずデスクトップでLinuxに慣れたい」という受講生にはMintをすすめることが多いです。実際に触ってみると、思っていたよりずっと普通のパソコンとして使えることに驚く方がほとんどです。

UbuntuとLinux Mintの関係

Linux Mintは、Ubuntuをベースに作られています。さらにそのUbuntuは、Debianというディストリビューションをベースにしています。つまりMintは「Debian系」に属し、パッケージ管理(アプリの導入・更新の仕組み)にはaptを使います。Ubuntu向けに書かれた導入手順の多くが、Mintでもほぼそのまま通用するのはこのためです。

UbuntuとMintの違いをざっくり言うと、Mintのほうが標準のデスクトップがWindowsに近く、初期状態で日本語まわりや使い勝手の調整が一歩進んでいる、という点に集約されます。土台は共通なので、Ubuntuの豊富な情報資産をそのまま活用できるのがMintの強みです。系統そのものをもっと深く理解したい方は、Linuxのディストリビューション入門|Ubuntu・Rocky Linux・Debianの違いと選び方を先に読んでおくと、この後の話がすっと入ってきます。

3つのエディション|Cinnamon・MATE・Xfce

Linux Mintには、デスクトップ環境(画面の見た目と操作感を担う部分)が異なる3つのエディションがあります。どれを選んでも中身のMintであることは同じで、見た目と動作の軽さが変わるだけです。

Cinnamon(シナモン):Mintが独自に開発する標準エディション。見た目が最も洗練されており、迷ったらこれ。現代的なPCなら快適
MATE(マテ):従来型のクラシックなデスクトップ。Cinnamonよりやや軽く、安定志向の操作感
Xfce(エックスエフシー):3つの中で最も軽量。メモリの少ない古いマシン向け。動作の軽さを最優先する人に

新しめのパソコンなら、標準のCinnamon版を選んでおけば間違いありません。メモリが2GB前後しかない古いマシンを再生したい場合は、軽量なXfce版が向きます。「とにかく軽さ重視で古いPCを動かしたい」という方は、Mint Xfceを含めた軽量ディストロの比較を軽量Linuxディストリビューションおすすめ比較|古いPCでも軽快に動く選び方でまとめているので、そちらが本命の入口になります。

Linux Mintの動作要件|必要メモリと対応PC

インストール前に、手元のパソコンがMintを動かせるかを確認しておきましょう。Mintの公式が示す最低要件と、現実的な推奨ラインは次の通りです。

項目最低要件快適に使う推奨
メモリ(RAM)2GB4GB以上
ストレージ空き容量20GB100GB以上
画面解像度1024×7681366×768以上

メモリ2GBでも起動はしますが、ブラウザでタブをたくさん開くような使い方だと、標準のCinnamon版では重く感じることがあります。2GB前後のマシンなら、最初から軽量なXfce版を選ぶほうが快適です。手元のメモリ容量は、乗り換え前のWindows上でタスクマネージャーを開けば確認できます。

対応PCについては、ここ10年ほどの一般的なWindowsパソコンであれば、おおむね動作します。ただしWindows 11の要件を満たさず買い替えを迫られたような数年前のマシンこそ、Mintで延命するのに向いています。なお、メモリやスペックを踏まえた踏み込んだディストロ比較は本記事では繰り返しません。スペック軸で選びたい方は前述の軽量比較記事を参照してください。

Linux Mintのインストール手順

ここからが本番です。インストールは「ISOを入手する」「USBメモリで起動メディアを作る」「お試し起動して試す」「インストールする」の4ステップで進みます。順番を飛ばすとデータ消失につながるので、上から順に進めてください。

1. 事前準備|データのバックアップ

最初に、消えて困るデータを必ず別の場所へ逃がします。OSの入れ替えはディスクの初期化を伴う前提で考えてください。写真・文書などの大切なファイルは、外付けドライブやクラウドストレージへ先に退避しておきます。これは実務でも鉄則で、私が現場で最も多く見かけるトラブルが、このバックアップを省いたことによるデータ消失です。

2. ISOファイルをダウンロードする

Linux Mintの公式サイト(linuxmint.com)の「Download」ページから、エディションを選んでISOイメージをダウンロードします。前述の通り、新しめのPCならCinnamon版、軽さ重視ならXfce版を選びます。ファイルサイズは3GB前後あるため、有線または安定したWi-Fi環境でダウンロードしてください。

ダウンロードしたISOファイルが破損していないかは、公式が公開しているチェックサム(ファイルの指紋のような値)で照合できます。Linux環境がある場合は、次のようにsha256sumで確認します。

# ダウンロードしたISOのSHA256ハッシュ値を計算する $ sha256sum linuxmint-22-cinnamon-64bit.iso a1b2c3d4e5f6...(長い英数字の文字列) linuxmint-22-cinnamon-64bit.iso # この値が公式サイトのsha256sum.txtに記載の値と一致すればOK

3. USBメモリで起動メディアを作成する

ダウンロードしたISOを、USBメモリに書き込んで「起動できる状態」にします。容量は8GB以上のUSBメモリを用意してください。書き込むとUSBメモリの中身は消えるので、空のものを使います。

WindowsからならRufus(ルーファス)、Linux/Mac環境ならbalenaEtcherといった専用ツールを使うのが簡単です。すでにLinux環境が手元にある場合は、ddコマンドでも作成できます。次はddでの書き込み例です。書き込み先のデバイス名(/dev/sdX)を間違えると別のディスクを破壊するため、対象の確認は慎重に行ってください。

# 接続中のディスクを一覧表示し、USBメモリのデバイス名を確認する $ lsblk NAME SIZE TYPE MOUNTPOINT sda 476G disk sdb 14G disk ← これがUSBメモリ(/dev/sdb) # ISOをUSBメモリ全体へ書き込む(of= の指定先を間違えないこと) $ sudo dd if=linuxmint-22-cinnamon-64bit.iso of=/dev/sdb bs=4M status=progress oflag=sync

ddでのUSBブート作成の詳しい手順や、bscountといったオプションの意味は、ddコマンドでディスクイメージを作成・書き込みする方法|bs・countの指定やUSBブート作成もで個別に解説しています。コマンドに不慣れなら、まずはRufusなどのGUIツールから始めるのが安全です。

4. USBから起動してインストールする

作成したUSBメモリをパソコンに挿し、そこから起動します。多くのパソコンは、電源投入直後にF12やF2などのキーを押すと、起動デバイスを選ぶメニューが出ます(キーは機種により異なります)。USBメモリを選ぶと、Mintが「お試し起動(ライブ起動)」で立ち上がります。

この段階ではまだインストールされておらず、USB上で動いているだけです。ここでWi-Fiの認識や画面表示に問題がないかを確認できます。問題なければ、デスクトップ上の「Install Linux Mint」アイコンをダブルクリックしてインストーラーを起動します。あとは画面の案内に沿って、言語で「日本語」を選び、タイムゾーンやユーザー名・パスワードを設定していくだけです。ディスクの使い方を選ぶ画面では、内容をよく読んでから進めてください。

「いきなり実機に入れるのは不安」という場合は、仮想環境で一度試してから本番に移る手もあります。実機・仮想環境・VPSのどれで練習するのが向いているかは、Linuxの勉強に実機環境は必要か|VM・VPS・実機の選び方で整理しています。

Linux Mintの日本語化・初期設定

インストール時に言語で日本語を選んでいれば、メニューや表示はすでに日本語になっています。残るは「日本語入力」と「初期アップデート」です。この2つを済ませれば、普段使いの準備は整います。

1. システムを最新の状態に更新する

まず、インストール直後のシステムを最新にします。これはセキュリティ上も重要な最初の一手です。画面右下のアップデートマネージャーのアイコンから更新できますが、ターミナルからまとめて実行することもできます。

# パッケージ一覧を最新化し、インストール済みソフトをまとめて更新する $ sudo apt update $ sudo apt upgrade -y

2. 日本語入力(Fcitx5+Mozc)を設定する

Linux Mintは表示は日本語でも、初期状態では日本語の「入力」までは有効になっていないことがあります。日本語を打てるようにするには、入力メソッド(Fcitx5)と日本語変換エンジン(Mozc)を導入します。Mozcは、Googleが開発した日本語入力の仕組みをベースにしたもので、変換精度に定評があります。

# 入力メソッドFcitx5と日本語変換エンジンMozcを導入する $ sudo apt install -y fcitx5 fcitx5-mozc # 入力メソッドフレームワークをFcitx5に切り替える $ im-config -n fcitx5 # 設定を反映させるため、一度ログアウトして再ログインする

導入後は、一度ログアウトして再ログインしてください。これで設定が反映されます。再ログイン後、画面右下のキーボードアイコンや「入力メソッド」の設定でMozcが選ばれていれば準備完了です。日本語と英語の切り替えは、Windowsと同じ「半角/全角」キーで行えます。切り替わらない場合は、Fcitx5の設定で切り替えキーを確認してください。

3. 基本アプリを確認・追加する

Mintには、最初からウェブブラウザ(Firefox)、オフィスソフト(LibreOffice)、メールソフト、画像ビューアなど、日常作業に必要なものが一通りそろっています。Windowsで使っていたソフトがそのまま動くわけではありませんが、ブラウザとオフィス文書中心の使い方なら、同等の無償ソフトで困ることはほとんどありません。足りないアプリは、次に紹介するソフトウェアマネージャーから追加します。

Linux Mintの使い方の基本

初期設定が終われば、あとは普通のパソコンとして使えます。最初に押さえておくと迷わない、2つの基本操作を紹介します。

デスクトップの基本操作

画面左下のメニューボタン(Mintのロゴ)をクリックすると、Windowsのスタートメニューに近い形でアプリの一覧が開きます。よく使うアプリは右クリックからタスクバーやデスクトップに固定でき、この感覚もWindowsとほぼ同じです。ファイルの管理は「ファイルマネージャー(Nemo)」で行い、フォルダをダブルクリックして開く操作も変わりません。設定の変更は「システム設定」に集約されており、画面の見た目・電源・ネットワークなどをここから調整できます。

ソフトウェアマネージャでアプリを追加する

新しいアプリを入れたいときは、「ソフトウェアマネージャ」を使うのが最も簡単です。スマートフォンのアプリストアのように、アプリを検索して「インストール」ボタンを押すだけで導入できます。コマンドを使わずに済むため、初心者はまずこちらに慣れるとよいでしょう。

コマンドに慣れてきたら、ターミナルからaptで直接導入することもできます。例えば画像編集ソフトのGIMPを入れるなら、次のようにします。

# ソフトウェアマネージャと同じことをコマンドで行う例(GIMPを導入) $ sudo apt install -y gimp

ソフトウェアマネージャでもコマンドでも、導入されるアプリは同じです。最初はGUIで、慣れてきたらコマンドで、と段階を踏めば無理なくLinuxの操作に馴染めます。

こんな人におすすめ|別の選択肢も知りたいときは

Linux Mintは、次のような人に特に向いています。Windowsの動作が重くなってきた、あるいはサポート終了で買い替えを迫られたが、できれば今のパソコンを使い続けたい人。そして、コマンドよりまずマウス操作で普通にパソコンとして使いたい、という人です。乗り換えの最初の一台として、これ以上に無難な選択肢はそう多くありません。

一方で、用途によってはMint以外が向く場合もあります。サーバー構築や開発の検証機がほしい、企業のシステムを見据えて学びたい、といった目的なら、Ubuntu ServerやRed Hat系のほうが適しています。自分の目的にどのディストロが合うかを整理したい方は、おすすめLinuxディストリビューション完全ガイド|目的別の選び方もで、用途別の選び方をまとめています。

また、メモリが極端に少ない古いマシンを動かしたい場合は、Mint Xfce以外にもLubuntuやPuppy Linuxといった軽量特化の選択肢があります。軽さを最優先にした比較は、前述の軽量Linuxディストリビューションおすすめ比較を入口にしてください。本記事はあくまで「Mintを実際に導入して使い始める」ことに絞っているので、比較で迷っている段階ならこれらのハブ記事から戻ってくるのがおすすめです。

「日本語入力できない」など、つまずいたときの対処法

初心者がMintの導入直後によくつまずくポイントと、その対処をまとめます。多くは設定の反映漏れが原因で、落ち着いて確認すれば解決します。

日本語入力ができない・切り替わらない

最も多いのが、Fcitx5とMozcを入れたのに日本語が打てないケースです。原因のほとんどは、導入後の再ログインを忘れていることです。一度ログアウトして再ログインすれば反映されます。それでも切り替わらない場合は、入力メソッドがFcitx5になっているか、Fcitx5の設定でMozcが追加されているかを確認してください。切り替えキー(半角/全角)が別のキーに割り当てられていることもあるため、設定画面で実際の割り当てを見ておくと確実です。

USBから起動しない・お試し起動の画面が出ない

USBメモリから起動できないときは、まず起動デバイスの選択がUSBになっているかを確認します。パソコンによっては、設定(UEFI/BIOS)でセキュアブートを一時的に無効にしないとUSB起動できないことがあります。また、書き込み自体が失敗している可能性もあるので、別のツール(RufusやbalenaEtcher)で作り直すと解決する場合があります。

Wi-Fiが認識されない

お試し起動の段階で無線LANが見えないことがあります。これは無線アダプタのドライバが標準で含まれていない機種で起こりがちです。応急処置として有線LANでインターネットにつなぎ、システム更新(sudo apt updatesudo apt upgrade)を済ませると、ドライバが追加されて認識されることがあります。それでも難しい場合は、その機種でのMintの動作実績を事前に調べておくのが、遠回りに見えて最も確実です。

本記事のまとめ

Linux Mintは、UbuntuベースでWindowsに近い操作感を持つ、初心者の乗り換えに最も向いたLinuxです。導入は、ISOを入手し、USBメモリで起動メディアを作り、お試し起動で確認してからインストールする、という流れで進めます。インストール後は、システム更新と日本語入力(Fcitx5+Mozc)の設定を済ませれば、普段使いの準備が整います。最後に、要点を一覧で振り返っておきます。

やりたいこと方法・コマンド
エディションを選ぶ新しいPCはCinnamon、古いPCはXfce
ISOの破損を確認するsha256sum linuxmint-22-cinnamon-64bit.iso
USB起動メディアを作る(CUI)sudo dd if=mint.iso of=/dev/sdb bs=4M status=progress
システムを最新化するsudo apt update && sudo apt upgrade -y
日本語入力を導入するsudo apt install -y fcitx5 fcitx5-mozc
アプリを追加するソフトウェアマネージャ または sudo apt install パッケージ名

Mintを入れてしまえば、Linuxは「黒い画面でコマンドを打つ難しいもの」というイメージが、いい意味で裏切られるはずです。まずは古いPCや手元のマシンで、お試し起動から一歩を踏み出してみてください。デスクトップに慣れたら、次はコマンドやサーバーの世界へ少しずつ広げていけます。

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宮崎 智広

この記事を書いた人

宮崎 智広(みやざき ともひろ)

株式会社イーネットマーキュリー代表。現役のLinuxサーバー管理者として20年以上の実務経験を持ち、これまでに累計3,100名以上のエンジニアを指導してきたLinux教育のプロフェッショナル。「現場で本当に使える技術」を体系的に伝えることをモットーに、実践型のLinuxセミナーの開催や無料マニュアルの配布を通じてLinux人材の育成に取り組んでいる。

趣味は、キャンプにカメラ、トラウト釣り。好きな食べ物は、ラーメンにお酒。休肝日が作れない、酒量を減らせないのが悩み。最近、ドラマ「フライトエンジェル」を観て涙腺が崩壊しました。