WSL2の日常的な使い方|インストール後に知っておきたい実践活用術


この記事の監修:宮崎智広(Linux教育歴15年以上・受講者3,100名超)
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「WSL2をインストールしたけど、その後どう使えばいいのかわからない。」
そんな声をよく聞きます。

WSL2のインストール手順は情報が豊富ですが、「入れた後に何をすればいいか」を解説した記事は意外と少ないのが現状です。
せっかくLinux環境が手元にあるのに、ターミナルを開いただけで閉じてしまっていませんか。

この記事では、WSL2をインストールした後の日常的な使い方を解説します。
WindowsとLinux間のファイルのやり取り、VS Codeとの連携、Windowsターミナルの活用、パッケージ管理の基本まで、初心者がすぐに実践できる内容をまとめました。

※動作確認環境: Ubuntu 24.04 LTS / WSL2(Windows 11)

この記事のポイント

・WSL2はインストール後の活用が本番
・/mnt/c/ でWindowsファイルをLinuxから直接操作できる
・VS CodeのRemote WSL拡張でLinux開発が快適になる
・aptコマンドでソフトウェアを追加・管理できる


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WSL2を起動する3つの方法

WSL2をインストールした直後は、「どこからLinuxを開けばいいの?」と迷う方が多いです。
実は起動方法は3つあり、用途に応じて使い分けられます。

1. スタートメニューから起動する

最も基本的な方法です。スタートメニューで「Ubuntu」と入力すると、アプリ一覧に表示されます。
クリックするとターミナル画面が開き、すぐにLinuxコマンドを実行できます。

2. Windowsターミナルから起動する

Windowsターミナル(Microsoft Store から無料でインストール可能)を使うと、タブでPowerShellとLinuxを切り替えられます。

Windowsターミナルを開いたら、タブ横の「+」ボタンの右にある「v」をクリックして「Ubuntu」を選択するだけです。

3. コマンドプロンプトやPowerShellから起動する

コマンドプロンプトやPowerShellで以下を実行すると、そのままLinuxに切り替わります。

# PowerShellからWSL2に切り替える wsl

実行結果の例:

tomohiro@PC-NAME:/mnt/c/Users/tomohiro$

プロンプトが $ に変わったら、Linuxに入れた証拠です。
元のPowerShellに戻るには exit と入力します。

WindowsとLinux間でファイルをやり取りする

WSL2の大きな強みは、WindowsとLinuxの間でファイルを自由にやり取りできることです。
2つのOS間でファイルを扱う方法を覚えておくと、作業効率が格段に上がります。

1. LinuxからWindowsのファイルにアクセスする

WindowsのCドライブは、Linux側から /mnt/c/ というパスで参照できます。

# Windowsのデスクトップに移動する cd /mnt/c/Users/YourName/Desktop/ # デスクトップのファイル一覧を表示する ls -l

実行結果の例:

total 8 -rwxrwxrwx 1 tomohiro tomohiro 1024 Apr 10 09:30 report.xlsx -rwxrwxrwx 1 tomohiro tomohiro 512 Apr 10 10:15 memo.txt drwxrwxrwx 1 tomohiro tomohiro 4096 Apr 9 14:20 project

「YourName」の部分はご自身のWindowsユーザー名に置き換えてください。

注意: /mnt/c/ 経由のファイル操作は、Linux内部のファイル操作と比べると速度がやや遅くなります。大量のファイルを扱う作業は、Linux側のホームディレクトリ(/home/ユーザー名/)で行うのがおすすめです。

2. WindowsからLinuxのファイルにアクセスする

逆方向も簡単です。Windowsのエクスプローラーのアドレスバーに次のパスを入力します。

\\wsl$\Ubuntu

これでLinuxのファイルシステムがフォルダとして表示されます。

もうひとつの方法として、WSL2のターミナルから次のコマンドを実行すると、現在のディレクトリをエクスプローラーで直接開けます。

# 現在のディレクトリをエクスプローラーで開く explorer.exe .

末尾の .(ドット)は「現在のディレクトリ」を意味します。忘れずに入力してください。

3. ファイルをコピーする実践例

WindowsのデスクトップにあるファイルをLinux側にコピーする例です。

# Windowsのデスクトップからホームディレクトリへコピーする cp /mnt/c/Users/YourName/Desktop/memo.txt ~/ # コピーされたことを確認する ls -l ~/memo.txt

実行結果の例:

-rwxrwxrwx 1 tomohiro tomohiro 512 Apr 10 10:15 /home/tomohiro/memo.txt

~/ はLinuxのホームディレクトリ(/home/ユーザー名/)を指す省略記号です。

Windowsターミナルを使いこなす

WSL2を日常的に使うなら、Windowsターミナルの活用が欠かせません。
標準のコマンドプロンプトよりも格段に使いやすく、Microsoft Storeから無料でインストールできます。

1. 便利な基本操作

Windowsターミナルで覚えておきたい操作は次の3つです。

タブの追加: Ctrl + Shift + T で新しいタブを開く
画面の分割: Alt + Shift + D でペイン(画面分割)を追加
フォントサイズの変更: Ctrl + マウスホイール で拡大・縮小

画面分割は、片方でコマンドを実行しながら、もう片方でファイルの中身を確認するといった使い方に便利です。

2. デフォルトプロファイルをUbuntuに変更する

Windowsターミナルを開いたときに、毎回Ubuntuが起動するように設定できます。

・Windowsターミナルの設定画面を開く(Ctrl + ,
・「スタートアップ」の「既定のプロファイル」を「Ubuntu」に変更する
・「保存」をクリックする

これで、ターミナルを開くたびにLinux環境がすぐに使えます。

VS Code と WSL2 を連携させる

VS Code(Visual Studio Code)は、Microsoftが提供する無料のエディタです。
WSL2との連携機能が標準で用意されており、WindowsのVS Codeから直接Linux上のファイルを編集できます。

1. 拡張機能をインストールする

VS Codeを起動したら、左側の拡張機能アイコン(四角が4つ並んだマーク)をクリックして、検索ボックスに「WSL」と入力します。
「WSL」という拡張機能(提供元: Microsoft)が表示されるので、「インストール」をクリックしてください。

2. WSL2のターミナルからVS Codeを開く

拡張機能のインストール後、WSL2のターミナルから次のコマンドを実行します。

# ホームディレクトリに移動する cd ~ # 練習用のディレクトリを作成する mkdir -p practice # 練習用ディレクトリをVS Codeで開く code practice

初回実行時はVS Code Serverのインストールが自動で行われるため、数十秒ほどかかります。

完了するとWindowsのVS Codeが起動し、左下に「WSL: Ubuntu」と表示されます。
この状態でファイルを編集・保存すると、Linux側のファイルが直接更新されます。

3. VS Code内のターミナルを使う

VS Codeの上部メニューから「ターミナル」→「新しいターミナル」を選択すると、エディタの下部にLinuxのターミナルが開きます。

これにより、ファイルの編集とコマンドの実行を一つの画面で同時にできます。

# VS Code内のターミナルでファイルを作成する echo "Hello from WSL2" > hello.txt # ファイルの内容を確認する cat hello.txt

実行結果の例:

Hello from WSL2

VS Codeのエディタ部分にも hello.txt がすぐに表示されます。

aptコマンドでソフトウェアを管理する

Linuxでは、ソフトウェアのインストールや更新を「パッケージマネージャー」で行います。
Ubuntu(WSL2のデフォルト)では apt コマンドを使います。Windowsでいえば「Microsoft Storeからアプリを入れる」のに似た仕組みです。

1. パッケージ一覧を更新する

ソフトウェアをインストールする前に、まずパッケージの一覧情報を最新にします。

# パッケージ一覧を最新にする sudo apt update

実行結果の例:

Hit:1 http://archive.ubuntu.com/ubuntu noble InRelease Get:2 http://archive.ubuntu.com/ubuntu noble-updates InRelease [126 kB] Get:3 http://security.ubuntu.com/ubuntu noble-security InRelease [126 kB] Fetched 252 kB in 2s (126 kB/s) Reading package lists... Done Building dependency tree... Done 12 packages can be upgraded. Run 'apt list --upgradable' to see them.

sudo は管理者権限でコマンドを実行するためのものです。パスワードを求められたら、WSL2のセットアップ時に設定したパスワードを入力してください。

2. ソフトウェアをインストールする

例として、テキストファイルの中身を色分け表示してくれるツール bat をインストールしてみましょう。

# batをインストールする sudo apt install -y bat

-y は確認メッセージに自動で「Yes」と答えるオプションです。

3. インストール済みのパッケージを確認する

# インストール済みパッケージを検索する apt list --installed 2>/dev/null | grep bat

実行結果の例:

bat/noble,now 0.24.0-1build1 amd64 [installed]

日常的に使えるコマンド操作

WSL2で毎日のように使う実践的なコマンドを紹介します。
覚える必要はありません。必要なときにこのページを見返して、実際に手を動かしてみてください。

1. ファイルを検索する

# ホームディレクトリ以下で .txt ファイルを探す find ~/ -name "*.txt" -type f

実行結果の例:

/home/tomohiro/memo.txt /home/tomohiro/practice/hello.txt

2. ファイルの中身からキーワードを探す

# カレントディレクトリ以下で "error" を含む行を探す grep -r "error" ./ --include="*.txt"

実行結果の例:

./log/app.txt:2026-04-10 09:15:32 error: connection timeout

3. ディスク使用量を確認する

# WSL2のディスク使用量を確認する df -h /

実行結果の例:

Filesystem Size Used Avail Use% Mounted on /dev/sdc 1007G 2.1G 954G 1% /

WSL2はWindowsのディスク領域を共有しているため、Windowsの空き容量がそのまま反映されます。

WSL2の停止と再起動

WSL2はバックグラウンドで動作し続けるため、PCのメモリを消費します。
使い終わったら停止する習慣をつけましょう。

# WSL2を停止する(PowerShellで実行) wsl --shutdown # WSL2の状態を確認する(PowerShellで実行) wsl --list --verbose

実行結果の例:

NAME STATE VERSION * Ubuntu Stopped 2

STATEが「Stopped」になっていれば停止完了です。
再びスタートメニューやWindowsターミナルからUbuntuを開けば、自動で再起動します。

トラブル対処:WSL2が動かない場合の解決策

「WSL2のターミナルが開かない」場合

Windowsの更新後にWSL2が起動しなくなることがあります。PowerShellで次のコマンドを試してください。

# WSL2を最新に更新する(PowerShellで実行) wsl --update

更新後にもう一度Ubuntuを起動してみてください。

「sudo apt update でエラーが出る」場合

ネットワーク接続の問題が原因であることが多いです。まずインターネットに接続されているか確認しましょう。

# インターネット接続を確認する ping -c 3 google.com

実行結果の例(正常な場合):

PING google.com (142.250.xxx.xxx) 56(84) bytes of data. 64 bytes from nrt12s51-in-f14.1e100.net: icmp_seq=1 ttl=117 time=3.45 ms 64 bytes from nrt12s51-in-f14.1e100.net: icmp_seq=2 ttl=117 time=3.21 ms 64 bytes from nrt12s51-in-f14.1e100.net: icmp_seq=3 ttl=117 time=3.33 ms --- google.com ping statistics --- 3 packets transmitted, 3 received, 0% packet loss, time 2003ms

応答がない場合は、VPN(仮想プライベートネットワーク)やファイアウォールの設定を確認してください。
それでも解決しない場合は、wsl --shutdown で一度停止してから再起動すると改善することがあります。

「日本語が文字化けする」場合

WSL2で日本語を正しく表示するには、ロケール(言語設定)を確認します。

# 現在のロケール設定を確認する locale

実行結果の例:

LANG=C.UTF-8 LANGUAGE= LC_CTYPE="C.UTF-8" LC_NUMERIC="C.UTF-8"

LANG が C.UTF-8 または ja_JP.UTF-8 であれば問題ありません。
Windowsターミナルを使うとフォントが自動で対応するため、日本語表示が安定します。

関連記事 ~ 次のステップへ進む

WSL2の日常的な使い方が身についたら、Linuxの各分野をさらに深掘りしましょう。

Linux入門シリーズ
Linuxとは何か?WindowsやMacとの違いを初心者向けに解説
Linuxを学ぶメリットとは|初心者が今から始めるべき5つの理由
WSL2でLinuxを始める手順|インストールから基本コマンドまで
Linuxのコマンドライン入門|ターミナルの開き方から基本操作まで
Linuxのファイル操作入門|コピー・移動・削除の基本コマンドを初心者向けに解説

実務で使うLinuxスキル 7テーマ
tmuxコマンドでターミナルを分割・管理する方法(シェルスクリプト)
chmodコマンドで権限を変更する方法(セキュリティ)
Apacheのタイムアウト設定を変更・確認する方法(サーバー構築)
straceコマンドでプロセスのシステムコールを追跡する方法(トラブルシューティング)
ncコマンドでネットワーク接続をテストする方法(ネットワーク)
rsyncコマンドでファイルを同期・転送する方法(ファイルシステム・ストレージ)
Linuxでポート番号の状態を確認するコマンド(現場コラム)

本記事のまとめ

この記事では、WSL2をインストールした後の日常的な使い方を解説しました。

やりたいこと 方法
WSL2を起動する スタートメニュー、Windowsターミナル、またはPowerShellで wsl
LinuxからWindowsのファイルを開く ls /mnt/c/Users/ユーザー名/
WindowsからLinuxのファイルを開く エクスプローラーで \\wsl$\Ubuntu
VS CodeでLinuxのファイルを編集する WSL拡張を入れて code ディレクトリ名
ソフトウェアをインストールする sudo apt install -y パッケージ名
WSL2を停止する PowerShellで wsl --shutdown
WSL2は「インストールして終わり」ではなく、日々使うことで真価を発揮します。
VS Codeとの連携やファイルのやり取りを覚えれば、Windowsの画面を離れることなくLinuxの操作を練習できます。

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宮崎 智広

この記事を書いた人

宮崎 智広(みやざき ともひろ)

株式会社イーネットマーキュリー代表。現役のLinuxサーバー管理者として15年以上の実務経験を持ち、これまでに累計3,100名以上のエンジニアを指導してきたLinux教育のプロフェッショナル。「現場で本当に使える技術」を体系的に伝えることをモットーに、実践型のLinuxセミナーの開催や無料マニュアルの配布を通じてLinux人材の育成に取り組んでいる。

趣味は、キャンプにカメラ、トラウト釣り。好きな食べ物は、ラーメンにお酒。休肝日が作れない、酒量を減らせないのが悩み。最近、ドラマ「フライトエンジェル」を観て涙腺が崩壊しました。