tmuxコマンドでターミナルを分割・管理する方法|セッション維持やペイン操作の実践例も


この記事の監修:宮崎智広(Linux教育歴15年以上・受講者3,100名超)
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「SSHでサーバーに接続して作業中に、ネットワークが切れて全部やり直しになった」
「長時間かかるビルドやログ監視を、ターミナルを閉じても裏で動かし続けたい」
サーバー運用の現場でこうした経験があるなら、tmux(ティーマックス/Terminal Multiplexer)を導入する価値があります。

この記事では、tmux の基本的な使い方から、セッション管理、ウィンドウとペインの分割操作、SSH切断後のプロセス維持、そして実務で役立つ応用テクニックまで、現場で必要になるノウハウをまとめて解説します。
RHEL 9.4 / Ubuntu 24.04 LTSで動作確認済みです。

この記事のポイント

・tmux はSSH切断後もプロセスを維持できる
・セッション・ウィンドウ・ペインの3階層で管理する
・Ctrl+b がすべての操作の起点になるプレフィックスキー
・screenより高機能で現在の主流ターミナルマルチプレクサ


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tmuxとは?(ターミナルマルチプレクサの基本)

tmux は「Terminal Multiplexer」の略で、1つのターミナル画面の中に複数の仮想端末を作成・管理できるコマンドです。

たとえば、SSH接続1本で「ログ監視」「設定ファイル編集」「コマンド実行」を同時に行いたい場面は日常的にあります。tmuxを使えば、画面を分割してそれぞれの作業を並行して進められます。

最大のメリットはセッションの永続化です。tmuxのセッション内で動いているプロセスは、SSHが切断されても停止しません。再接続してセッションに戻れば(アタッチすれば)、切断前の画面がそのまま復元されます。

同様の機能を持つ screen コマンドもありますが、tmuxは画面分割(ペイン)の操作性やスクリプタビリティで優れており、現在の主流です。

tmuxのインストールと起動

1. tmuxのインストール

多くのLinuxディストリビューションでは、tmuxは標準リポジトリからインストールできます。

# RHEL系(Rocky Linux / AlmaLinux / RHEL 9) # sudo dnf install tmux # Ubuntu / Debian系 # sudo apt install tmux # インストール確認 # tmux -V tmux 3.3a

2. tmuxを起動する

インストールが完了したら、ターミナルで tmux と入力するだけで起動します。

# tmuxを起動する(新しいセッションが自動作成される) # tmux

画面の下部に緑色のステータスバーが表示されれば、tmuxのセッション内に入っています。ステータスバーには、セッション名、ウィンドウ番号、時刻などが表示されます。

セッションの基本操作(作成・デタッチ・アタッチ)

tmuxの操作は プレフィックスキー(デフォルトは Ctrl+b)を起点にします。Ctrl+b を押してから次のキーを押す、という2段階の操作が基本です。

3. セッションからデタッチする(抜ける)

セッションを終了せずに一時的に抜けるには、デタッチ(detach)します。セッション内のプロセスはバックグラウンドで動き続けます。

# プレフィックスキー + d でデタッチする # Ctrl+b を押してから d を押す [detached (from session 0)]

[detached (from session 0)] と表示されれば、元のターミナルに戻っています。セッションはバックグラウンドで生き続けています。

4. セッション一覧を確認する

# 現在のセッション一覧を表示する # tmux ls 0: 1 windows (created Sat Apr 12 10:30:15 2026) work: 3 windows (created Sat Apr 12 11:00:42 2026)

セッション名(0work)、ウィンドウ数、作成日時が表示されます。

5. セッションにアタッチする(戻る)

# 直近のセッションにアタッチする # tmux attach # 特定のセッション名を指定してアタッチする # tmux attach -t work

SSH接続が切れた後に再接続しても、tmux attach で切断前の画面にそのまま戻れます。これがtmux最大の実務メリットです。

6. 名前付きセッションを作成する

セッションに名前を付けておくと、複数のセッションを使い分ける時に便利です。

# "deploy" という名前のセッションを作成する # tmux new -s deploy

7. セッションを終了する(kill)

不要になったセッションは明示的に終了します。

# 特定のセッションを終了する # tmux kill-session -t deploy # 全セッションを終了する # tmux kill-server

kill-server は全セッションが破棄されるため、本番環境では注意して使ってください。

ウィンドウの操作(作成・切り替え・名前変更)

tmuxの構造は セッション > ウィンドウ > ペイン の3階層です。1つのセッション内に複数のウィンドウを作成でき、ウィンドウはターミナルのタブのような存在です。

8. 新しいウィンドウを作成する

# プレフィックスキー + c で新しいウィンドウを作成する # Ctrl+b を押してから c を押す

ステータスバーにウィンドウ番号(0:bash 1:bash のような表示)が増えます。

9. ウィンドウを切り替える

# 次のウィンドウに切り替える # Ctrl+b を押してから n を押す # 前のウィンドウに切り替える # Ctrl+b を押してから p を押す # 番号を指定して切り替える(例:ウィンドウ2へ) # Ctrl+b を押してから 2 を押す

10. ウィンドウに名前を付ける

# 現在のウィンドウの名前を変更する # Ctrl+b を押してから , を押す # ステータスバーに入力欄が表示されるので、名前を入力してEnter

logseditbuild のように作業内容で名前を付けておくと、ウィンドウが増えても迷いません。

ペインの分割と操作

ペインは、1つのウィンドウを複数の領域に分割する機能です。左右や上下に画面を区切って、同時に異なる作業を表示できます。

11. 画面を水平に分割する(上下)

# 水平分割(上下に分かれる) # Ctrl+b を押してから " を押す

12. 画面を垂直に分割する(左右)

# 垂直分割(左右に分かれる) # Ctrl+b を押してから % を押す

13. ペイン間を移動する

# 矢印キーでペインを移動する # Ctrl+b を押してから矢印キー(上下左右) # ペインを順番に切り替える # Ctrl+b を押してから o を押す

14. ペインのサイズを変更する

# プレフィックスキーを押しながら矢印キーでサイズを調整する # Ctrl+b を押したまま矢印キー(上下左右)を繰り返し押す

15. ペインを閉じる

# 現在のペインを閉じる # Ctrl+b を押してから x を押す # 確認メッセージが表示されるので y を入力する # またはペイン内で exit を実行する # exit

実務で使うtmuxの応用例

16. SSH切断後もプロセスを維持する(最も重要な使い方)

本番環境で長時間かかるバッチ処理やビルドを実行する場合、tmuxセッション内で実行しておけば、SSH接続が切断されてもプロセスは停止しません。

# 名前付きセッションでバッチを実行する # tmux new -s batch # セッション内でバッチを開始する # ./long-running-batch.sh # ネットワークが不安定でも、デタッチしておけば安心 # Ctrl+b を押してから d を押す # 再接続後にアタッチする # tmux attach -t batch

nohupscreen でも同様のことは可能ですが、tmuxならペイン分割でログ監視も同時にできるのが強みです。

17. ペアプログラミング(同じセッションを共有する)

複数のユーザーが同じtmuxセッションにアタッチすると、全員が同じ画面をリアルタイムに共有できます。障害対応時にリモートの同僚と同じターミナルを見ながら作業する場面で活用できます。

# ユーザーAがセッションを作成する # tmux new -s debug # ユーザーBが同じセッションにアタッチする(別のSSH接続から) # tmux attach -t debug

18. スクロールバックでログを遡る(コピーモード)

tmuxにはコピーモードがあり、画面を上にスクロールして過去の出力を確認できます。

# コピーモードに入る # Ctrl+b を押してから [ を押す # 矢印キーまたは Page Up / Page Down でスクロールする # q を押すとコピーモードを抜ける

通常のターミナルでは流れてしまった出力も、tmuxのコピーモードなら遡って確認できます。ログが大量に流れる障害対応時に重宝します。

19. .tmux.conf でカスタマイズする

tmuxの設定ファイルは ~/.tmux.conf です。よく使うカスタマイズ例を紹介します。

# ~/.tmux.conf の設定例 # プレフィックスキーを Ctrl+b から Ctrl+a に変更する set -g prefix C-a unbind C-b bind C-a send-prefix # ペイン分割のキーバインドを直感的にする bind | split-window -h bind - split-window -v # マウス操作を有効にする(ペイン選択・リサイズ・スクロール) set -g mouse on # ステータスバーの色を変更する set -g status-bg colour235 set -g status-fg colour136 # 設定を反映する(tmux内で実行) # tmux source-file ~/.tmux.conf

※設定を変更したら、tmuxセッション内で tmux source-file ~/.tmux.conf を実行するか、tmuxを再起動すると反映されます。

トラブルシュート:tmuxで困った時の対処法

20. 「no server running」と表示される場合

tmuxサーバーが起動していない状態で tmux attach を実行した場合に出るエラーです。

# tmux attach no server running on /tmp/tmux-1000/default

これはセッションが存在しないだけなので、tmux で新しいセッションを作成すれば解決します。

21. 「sessions should be nested with care」と警告が出る場合

tmuxセッション内でさらに tmux を実行しようとした場合に出る警告です。tmuxのネスト(入れ子)は混乱のもとなので、通常は避けてください。

新しいセッションが必要な場合は、一度デタッチしてから別のセッションを作成するか、ウィンドウやペインで分割してください。

22. ペイン内の表示がおかしくなった場合

ターミナルのリサイズ後や、大量の出力後に表示が崩れることがあります。

# 画面を再描画する # Ctrl+b を押してから r を押す # またはペイン内で clear コマンドを実行する # clear

23. screenとtmuxのどちらを使うべきか

結論から言うと、新規にセットアップするなら tmuxを推奨 します。

ペイン分割:tmuxはネイティブで縦横分割に対応。screenは後付けの分割機能で操作性が劣る
ステータスバー:tmuxは標準で見やすいステータスバーを表示。screenはデフォルトでは非表示
スクリプタビリティ:tmuxはコマンドラインから全操作を制御でき、自動化しやすい
メンテナンス:screenは長年メンテナンスが停滞気味。tmuxは積極的に開発が続いている

既存の環境でscreenが使われている場合は無理に移行する必要はありませんが、新しいサーバーにはtmuxを入れる、という運用が現場では定着しつつあります。

本記事のまとめ(tmuxコマンド早見表)

やりたいこと コマンド / キーバインド
tmuxを起動する tmux
名前付きセッションを作成する tmux new -s セッション名
セッション一覧を表示する tmux ls
セッションにアタッチする tmux attach -t セッション名
セッションからデタッチする Ctrl+b を押してから d
セッションを終了する tmux kill-session -t セッション名
新しいウィンドウを作成する Ctrl+b を押してから c
次/前のウィンドウに切り替える Ctrl+b を押してから n / p
画面を水平分割する(上下) Ctrl+b を押してから "
画面を垂直分割する(左右) Ctrl+b を押してから %
ペイン間を移動する Ctrl+b を押してから矢印キー
ペインを閉じる Ctrl+b を押してから x
コピーモードに入る Ctrl+b を押してから [
設定ファイルを再読み込みする tmux source-file ~/.tmux.conf

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宮崎 智広

この記事を書いた人

宮崎 智広(みやざき ともひろ)

株式会社イーネットマーキュリー代表。現役のLinuxサーバー管理者として15年以上の実務経験を持ち、これまでに累計3,100名以上のエンジニアを指導してきたLinux教育のプロフェッショナル。「現場で本当に使える技術」を体系的に伝えることをモットーに、実践型のLinuxセミナーの開催や無料マニュアルの配布を通じてLinux人材の育成に取り組んでいる。

趣味は、キャンプにカメラ、トラウト釣り。好きな食べ物は、ラーメンにお酒。休肝日が作れない、酒量を減らせないのが悩み。最近、ドラマ「フライトエンジェル」を観て涙腺が崩壊しました。