WSL2の初期設定入門|Windowsターミナルを見やすくしてzshに切り替える方法を初心者向けに解説

宮崎智広 この記事の監修:宮崎智広(Linux実務・教育歴20年以上・受講者3,100名超)
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「WSL2を入れたはいいけど、黒い画面に白い文字で見にくい…」
「ターミナルを開くたびにPowerShellが起動して毎回切り替えるのが面倒…」

WSL2をインストールした直後、多くの人がこうした不満を感じます。デフォルトの状態では確かに地味で、入力補完も最低限しか効きません。しかし少しだけ設定を変えると、驚くほど使いやすい環境に変わります。

この記事では、WSL2インストール後に最初にやっておくべき初期設定を順番に解説します。Windowsターミナルの見た目の改善から、zshへの切り替えとOh My Zshのセットアップまで、初心者でも迷わずに進められる手順を丁寧にカバーします。

実行環境: Windows 11 / WSL2(Ubuntu 24.04 LTS)で動作確認済み

この記事のポイント

・Windowsターミナルのテーマとフォントを変えるだけでWSL2が格段に見やすくなる
・zshとOh My Zshを入れるとタブ補完が賢くなりコマンドミスが激減する
・.zshrcにaliasを追加すると毎日の繰り返し作業が大幅に減る
・設定はすべて無料で、Windows再起動不要で即時反映される


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なぜWSL2のデフォルト設定は地味に見えるのか

Linuxのターミナルは、機能最優先で設計されています。余計なビジュアル効果はなく、できるだけ少ないリソースで動くことが重視されています。これはサーバー管理の現場では正しい設計ですが、初学者には「見にくい」と感じる原因にもなります。

Windows上のWSL2でLinuxを学ぶときは、「Windowsターミナル」というアプリを使うのが標準的です。Windowsターミナルは、コマンドプロンプト・PowerShell・WSL2などを1つのアプリにまとめて使えるツールです。このWindowsターミナルには豊富なカスタマイズ機能が用意されています。

Windows 11にはWindowsターミナルが最初からインストールされています。もし入っていない場合は、Microsoft Storeから無料で取得できます。

Windowsターミナルの設定を変えると、WSL2の見た目が大きく改善されます。次のセクションで具体的な手順を解説します。

Windowsターミナルを見やすく設定する

Windowsターミナルを開いてください。スタートメニューで「ターミナル」または「Windows Terminal」と検索すると見つかります。

1. カラーテーマ(配色)を変える

Windowsターミナルには、最初から複数のカラーテーマが用意されています。

設定の開き方:
・Windowsターミナルの上部にあるタブ横の「∨」ボタンをクリック
・「設定」を選択(または Ctrl + , )

設定画面が開いたら、左側のメニューから「Ubuntu」(WSL2のプロファイル)を選択し、「外観」タブを開きます。「配色」というドロップダウンからテーマを選べます。

おすすめのカラーテーマ:
One Half Dark: コントラストが高く長時間作業でも疲れにくい定番テーマ
Solarized Dark: 目に優しいダークテーマ。プロのエンジニアに人気が高い
Campbell: Windowsターミナルのデフォルト。シンプルで安定している

「保存」ボタンを押すと即時反映されます。実際に試しながら自分に合ったテーマを見つけてください。

2. フォントをプログラミング向けに変える

デフォルトのフォントでは、コードの表示が見にくく、矢印やチェックマークなどの特殊な記号が文字化けすることがあります。プログラミング向けのフォントに変えると、これらの問題が解消されます。

おすすめフォント: Cascadia Code PL

Cascadia Code PLはWindowsターミナルと一緒にインストールされる公式フォントです。「PL」という種類はNerd Fonts(特殊アイコン文字)に対応しており、後で紹介するzshのテーマも正しく表示されます。

設定方法:
・設定 → Ubuntu → 外観 → 「フォントフェイス」
・「Cascadia Code PL」を選択
・フォントサイズは 12 ~ 14 がおすすめ(視認性と情報量のバランスが良い)

フォントを変えただけでターミナルの印象は大きく変わります。文字がくっきりして目が疲れにくくなります。

3. WSL2をデフォルトプロファイルに設定する

毎回Windowsターミナルを開くたびにPowerShellが起動して、WSL2(Ubuntu)に切り替える手間を感じている人も多いでしょう。最初からWSL2が開くように設定できます。

設定方法:
・設定 → 「スタートアップ」(左メニューの最上部)
・「デフォルトプロファイル」のドロップダウンから「Ubuntu」を選択
・「保存」をクリック

次回からWindowsターミナルを起動すると、直接UbuntuのLinuxプロンプトが表示されるようになります。

4. 背景の透明度を調整する(任意)

好みに応じて、ターミナルの背景を半透明にすることもできます。

設定方法:
・設定 → Ubuntu → 外観 → 「背景の不透明度」
・スライダーで 85 ~ 95% 程度に調整(裏の画面がうっすら見える程度)

透明度を下げすぎると文字が読みにくくなるため注意が必要です。最初は90%前後から試してみてください。

zshに切り替えてシェルを強化する

WSL2(Ubuntu)のデフォルトシェルは「bash(バッシュ)」です。bashは十分な機能を持っていますが、「zsh(ゼットシェル)」に切り替えると、より便利な機能が使えるようになります。

bashとzshの主な違い:

機能 bash zsh
タブ補完の精度 基本的な補完のみ コマンド・ファイル・オプションをより賢く補完
スペルチェック なし コマンドのスペルミスを自動で指摘してくれる
テーマ対応 限定的 Oh My Zshで豊富なテーマを利用できる
プラグイン 限定的 数百のプラグインが無料で利用可能
macOSでの採用状況 旧バージョンの標準シェル 2019年以降のmacOSの標準シェル
macOSはCatalina(2019年)以降、デフォルトシェルがbashからzshに変わりました。クラウド開発の現場でもzshを使うエンジニアが増えており、今からzshに慣れておくことは将来的にも役立ちます。

1. zshをインストールする

WSL2(Ubuntu)のターミナルで以下のコマンドを実行します。

# パッケージリストを更新してzshをインストール sudo apt update sudo apt install zsh -y # インストールが成功したか確認 zsh --version

実行結果の例(バージョン番号は環境によって異なります):

$ zsh --version zsh 5.9 (x86_64-ubuntu-linux-gnu)

バージョン番号が表示されればインストール成功です。

2. デフォルトシェルをzshに変更する

インストールしただけでは、まだbashがデフォルトシェルになっています。以下のコマンドでzshに切り替えます。

# デフォルトシェルをzshに変更する chsh -s $(which zsh)

このコマンドを実行するとパスワードを求められます。Ubuntuのユーザーパスワードを入力してください(入力中は画面に文字が表示されませんが、正常な動作です)。

変更を反映させるには、ターミナルを一度閉じてから再度開きます。再起動後に以下のコマンドで確認します。

# 現在のデフォルトシェルを確認 echo $SHELL

実行結果の例:

/usr/bin/zsh

「/usr/bin/zsh」と表示されれば切り替え完了です。

初回のzsh起動時に「設定しますか?」という画面が表示される場合があります。その場合は「0」(デフォルト設定)を選択するか、「q」で抜けてください。次に紹介するOh My Zshが設定を上書きしてくれます。

Oh My Zshをインストールして使いやすくする

「Oh My Zsh(オー・マイ・ゼットシェル)」は、zshの設定を管理するフレームワークです。テーマの切り替えやプラグインの追加が簡単にできます。2009年の公開以来、世界中のエンジニアに使われている定番ツールで、GitHubのスター数は17万を超えています。

1. Oh My Zshをインストールする

インターネット接続が必要です。以下のコマンドでインストールします。

# Oh My Zshをインストールする(公式推奨コマンド) sh -c "$(curl -fsSL https://raw.githubusercontent.com/ohmyzsh/ohmyzsh/master/tools/install.sh)"

インストール中に「Do you want to change your default shell to zsh? [Y/n]」と聞かれたら「Y」と入力してEnterを押します(すでにzshに変更済みの場合はスキップされます)。

インストールが完了するとターミナルのプロンプトが変わり、カラフルな表示になります。これでOh My Zshが使えるようになりました。

2. テーマを変更する

Oh My Zshには150種類以上のテーマが最初から含まれています。設定ファイル「~/.zshrc」を編集してテーマを変更できます。

# .zshrcをnanoで開く nano ~/.zshrc

ファイルの10行目付近に「ZSH_THEME」という行があります。値の部分を変更するとテーマが切り替わります。

# デフォルトのテーマ設定(初期値) ZSH_THEME="robbyrussell" # 「agnoster」に変更する場合の例 ZSH_THEME="agnoster"

おすすめのテーマ:
robbyrussell: デフォルト。シンプルで軽量。特殊フォント不要
agnoster: gitブランチやステータスを表示。開発者に人気(Cascadia Code PLが必要)
af-magic: カラフルで見やすく、特殊フォント不要で使える

nanoで編集した後、Ctrl+X → Y → Enterで保存します。

設定を反映させるには以下のコマンドを実行します。

# .zshrcを再読み込みして設定を反映させる source ~/.zshrc

3. 便利なプラグインを追加する

Oh My Zshはプラグインで機能を追加できます。初心者にとって特に役立つプラグインを2つ紹介します。

zsh-autosuggestions(入力補完プラグイン)
過去のコマンド履歴をもとに、入力中のコマンドの続きをグレーで提案してくれます。提案が合っていればTabキーまたは「→」キーで確定できます。長いコマンドを何度も入力する手間が大幅に減ります。

# zsh-autosuggestionsをインストール git clone https://github.com/zsh-users/zsh-autosuggestions \ ${ZSH_CUSTOM:-~/.oh-my-zsh/custom}/plugins/zsh-autosuggestions

zsh-syntax-highlighting(構文ハイライトプラグイン)
コマンドを入力している最中に、正しいコマンドは緑色、間違いや存在しないコマンドは赤色で表示されます。Enterを押す前にミスに気づけるようになります。

# zsh-syntax-highlightingをインストール git clone https://github.com/zsh-users/zsh-syntax-highlighting.git \ ${ZSH_CUSTOM:-~/.oh-my-zsh/custom}/plugins/zsh-syntax-highlighting

インストール後、~/.zshrcの「plugins=」という行を以下のように変更してプラグインを有効にします。

# ~/.zshrc の plugins の行を探して以下のように変更する plugins=(git zsh-autosuggestions zsh-syntax-highlighting)

変更後に「source ~/.zshrc」を実行して設定を反映させます。

.zshrcに便利な設定を追加する

「~/.zshrc」はzshが起動するたびに読み込まれる設定ファイルです。ここによく使うコマンドの短縮形(alias)や便利な設定を追加すると、毎日の作業が効率化されます。

aliasの設定(コマンドの短縮形)

aliasを使うと、長いコマンドに短い名前を付けられます。例えば「ll」と入力するだけで「ls -la」が実行されるようにできます。

# ~/.zshrc の末尾に追記する例 # ls コマンドの短縮形 alias ll='ls -la' alias la='ls -A' # よく使うディレクトリへの移動 alias ..='cd ..' alias ...='cd ../..' # よく使うgitコマンドの短縮形 alias gs='git status' alias ga='git add' alias gc='git commit' alias gp='git push' # パッケージ更新をまとめて行う alias update='sudo apt update && sudo apt upgrade -y'

追記後は「source ~/.zshrc」で反映させます。aliasは自分がよく使うコマンドを見ながら、少しずつ追加していくと便利です。

コマンド履歴の設定

デフォルトでは履歴ファイルに保存されるコマンドの数が少ないです。以下の設定で、より多くのコマンド履歴を保存できます。

# ~/.zshrc の末尾に追記する(履歴の設定) HISTSIZE=10000 SAVEHIST=10000 HISTFILE=~/.zsh_history # 重複した履歴は保存しない setopt HIST_IGNORE_ALL_DUPS

過去10,000件のコマンドが保存されるようになり、Ctrl+Rで履歴を検索しやすくなります。

よくあるトラブルと対処法

フォントが「□」や「?」に文字化けする場合

agnosterなどNerd Fontsが必要なテーマを使っているのに、対応フォントが設定されていない場合に起きます。

対処法:
・Windowsターミナルのフォントを「Cascadia Code PL」に変更する
・またはNerd Fontsが不要なテーマ(「af-magic」「amuse」など)に変更する

テーマを変えた後は「source ~/.zshrc」を実行してください。

chshコマンドが効かない場合

WSL2の環境によっては「chsh」コマンドでデフォルトシェルが変わらないことがあります。その場合は以下の代替方法を使います。

# ~/.bashrc の末尾に以下の行を追加する # (nanoで ~/.bashrc を開いて最後の行に追記) exec zsh

この方法では技術的にはbashが起動してからzshに切り替わりますが、ユーザーとしては最初からzshが使える状態になります。

「source ~/.zshrc」でエラーが出る場合

.zshrcの記述にミスがあることが原因です。nanoで.zshrcを開き、コロン(:)の位置や引用符の対応を確認してください。

# .zshrcの構文をチェックする(エラーがなければ何も表示されない) zsh -n ~/.zshrc

エラーがある場合は行番号と内容が表示されるので、その箇所を修正してください。

本記事のまとめ

WSL2の初期設定として行うべき主な作業をまとめます。

やること 方法 得られる効果
カラーテーマ変更 Windowsターミナル設定 → Ubuntu → 外観 → 配色 目が疲れにくくなる
フォント変更 Windowsターミナル設定 → Ubuntu → 外観 → フォント 特殊文字が正しく表示される
デフォルトプロファイル変更 Windowsターミナル設定 → スタートアップ → デフォルトプロファイル 起動時からWSL2が開く
zshインストール sudo apt install zsh -y 補完・スペルチェックが使える
デフォルトシェル変更 chsh -s $(which zsh) 起動時からzshが使える
Oh My Zshインストール curl経由でインストールスクリプトを実行 テーマとプラグインが利用可能に
プラグイン追加 ~/.zshrcのpluginsに名前を追記 入力補完・構文ハイライトが使える
alias設定 ~/.zshrcにalias行を追記 頻繁に使うコマンドが短縮できる
WSL2の初期設定は、一度やってしまえばその後ずっと恩恵を受け続けられます。コマンドライン作業が快適になると、Linuxの学習速度も自然と上がっていきます。ターミナルを見やすくしてから、コマンド操作の練習を積み重ねていきましょう。
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WSL2やzshの設定を終えたら、次はサーバー管理の基礎を体系的に学んでみましょう。
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宮崎 智広

この記事を書いた人

宮崎 智広(みやざき ともひろ)

株式会社イーネットマーキュリー代表。現役のLinuxサーバー管理者として20年以上の実務経験を持ち、これまでに累計3,100名以上のエンジニアを指導してきたLinux教育のプロフェッショナル。「現場で本当に使える技術」を体系的に伝えることをモットーに、実践型のLinuxセミナーの開催や無料マニュアルの配布を通じてLinux人材の育成に取り組んでいる。

趣味は、キャンプにカメラ、トラウト釣り。好きな食べ物は、ラーメンにお酒。休肝日が作れない、酒量を減らせないのが悩み。最近、ドラマ「フライトエンジェル」を観て涙腺が崩壊しました。