Linuxのtmux入門|ターミナルを分割してWSL2やVPSでの作業を効率化する方法_body

宮崎智広 この記事の監修:宮崎智広(Linux実務・教育歴20年以上・受講者3,100名超)
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「VPSに接続してコマンドを実行中に、ネットが切れたらすべての作業が消えた…」
「WSL2で複数の作業を並行したいけど、ウィンドウを何枚も開くのが面倒」

こうした悩みを一気に解決するのが、tmux(ティーマックス)というツールです。tmuxを使うと、1つのターミナル画面を複数に分割してタブのように切り替えられます。さらに「セッション」という仕組みで、SSH接続が切れても作業を中断せずにサーバー上で保持できます。

この記事では、tmuxを触ったことがない完全初心者を対象に、WSL2・VPS環境でのインストールから基本的な使い方、そしてSSH切断対策まで、コピペして試せる手順で解説します。

この記事のポイント

・tmuxは1つのターミナルを複数に分割できる「多窓ツール」
・SSH切断後も作業を保持できる「セッション」機能が最大の強み
・WSL2・VPSどちらにもコマンド1行でインストールできる
・Ctrl+b がtmux操作の基本の「プレフィックスキー」


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tmuxとは何か?ターミナルマルチプレクサの仕組み

tmux の正式名称は「ターミナルマルチプレクサ(Terminal Multiplexer)」です。「マルチプレクサ」とは「多重化する装置」という意味で、1本のターミナル接続を複数に見せる役割を担います。

ブラウザのタブ機能に例えると理解しやすいでしょう。ブラウザが1つでもタブを複数開けるように、tmuxを使うとターミナルが1つでも「画面(ペイン)」を複数並べて同時に操作できます。

tmuxは次の3つの概念で動いています。

セッション(Session):作業のまとまり。SSH切断後も生き続け、再接続で作業を再開できる
ウィンドウ(Window):セッションの中にある画面タブ。複数作れる
ペイン(Pane):ウィンドウをさらに分割した区画。1つのウィンドウに複数のペインを並べられる

VPSでtmuxを使えば、あなたの自分のPCのインターネット接続が一時的に途切れても、サーバー上でコマンドが動き続けます。長時間かかる処理(バックアップ・OSアップデート・データ転送など)を実行するときに特に威力を発揮します。

tmuxをインストールする

まず、WSL2(Ubuntu)またはVPS(Rocky Linux / RHEL 9)にtmuxをインストールします。コマンド1行で完了します。

1. Ubuntu・WSL2の場合

$ sudo apt update $ sudo apt install -y tmux

インストール後、バージョンを確認します。

$ tmux -V tmux 3.3a

バージョン番号が表示されれば成功です。

2. Rocky Linux・RHEL 9の場合

$ sudo dnf install -y tmux

確認は Ubuntu と同様です。

[tomohiro@rocky-sv01 ~]$ tmux -V tmux 3.2a

tmuxの基本的な使い方

tmuxの操作は、すべて「プレフィックスキー」と呼ばれる Ctrl+b から始まります。Ctrl+b を押した後(両方のキーを離してから)に別のキーを押すことで、様々な操作ができます。この「Ctrl+b を押してから」という感覚が、最初につまずくポイントです。まず手を動かして慣れましょう。

1. tmuxを起動する

ターミナルで以下のコマンドを入力するだけです。

$ tmux

起動すると、画面の下部に緑色のステータスバーが表示されます。これがtmuxが起動している証拠です。

[0] 0:bash* "rocky-sv01" 09:15 22-Jul-26

[0]:セッション番号(0番のセッション)
0:bash*:ウィンドウ番号(0番)でbashが動いている
・右端:ホスト名・時刻・日付

2. 画面を左右・上下に分割する(ペイン分割)

tmuxを起動した状態で操作します。

左右に分割:Ctrl+b%(パーセント)
上下に分割:Ctrl+b"(ダブルクォート)

左右分割(Ctrl+b%)を実行すると、画面が2つに割れ、右側の新しいペインにカーソルが移動します。左右それぞれのペインで別のコマンドを実行してみましょう。

# 左ペイン:ログをリアルタイム監視 $ tail -f /var/log/syslog # 右ペイン:コマンドを実行しながら左でログを確認する $ ping 8.8.8.8 -c 5

このように、ログを見ながら別の作業をする「ながら作業」がtmuxの真骨頂です。1つのターミナルウィンドウで済むため、画面が散らかりません。

3. ペイン間を移動する

分割されたペイン間の移動は、Ctrl+b の後に矢印キーを押します。

左のペインへ移動:Ctrl+b → 左矢印キー
右のペインへ移動:Ctrl+b → 右矢印キー
上のペインへ移動:Ctrl+b → 上矢印キー
下のペインへ移動:Ctrl+b → 下矢印キー

4. ペインを閉じてtmuxを終了する

ペインを閉じるには、そのペインのシェルで exit を入力するか、Ctrl+d を押します。全てのペインを閉じるとウィンドウが、全てのウィンドウを閉じるとセッションが終了してtmuxから出ます。

$ exit [exited]

SSH切断後も作業を続ける「セッション」機能

tmuxの最も強力な機能が「セッション(Session)」の保持です。通常のSSH接続では、接続が切れた瞬間に実行中のコマンドも強制終了されます。tmuxを使えば、セッションをサーバー上に残したまま「デタッチ(Detach:切り離し)」できます。接続が切れても作業は続いており、再接続すれば再開できます。

1. セッションをデタッチする(作業を一時保持)

tmuxが起動している状態で、Ctrl+bd を押します。

[detached (from session 0)]

このメッセージが表示されると、通常のシェルに戻ります。tmuxのセッションはサーバー上でそのまま動き続けており、中で実行していたコマンドも止まっていません。

2. セッションの一覧を確認する

デタッチした後、どのセッションが生きているかを確認できます。

$ tmux ls 0: 1 windows (created Tue Jul 22 09:30:00 2026) [220x50]

セッション番号(0)と、そのセッションが作られた日時、ウィンドウ数が表示されます。複数のセッションを使い分けている場合は複数行表示されます。

3. セッションに再接続する

$ tmux attach # セッションが複数あり、番号を指定する場合 $ tmux attach -t 0

再接続すると、デタッチ前の作業画面がそのまま戻ってきます。SSH接続を一時的に切断して再接続した後でも、進行中のコマンドが継続していることを確認できます。長時間の処理(大容量ファイルの転送・OSアップデート・コンパイル)で特に役立つ機能です。

tmux使用中のよくあるトラブルと対処法

1. 「プレフィックスキーが効かない」と感じる時

tmuxの操作キー Ctrl+b が反応しない、または意図しない動作をする場合、多くはキー入力のタイミングの問題です。

確実な押し方:Ctrl を押しながら b を押し、両方のキーを離してから次のキーを押す
WSL2で反応しない場合:Windowsターミナルの「設定」でショートカットが競合していないか確認する

また、tmux内でさらにtmuxを起動(ネスト起動)すると、プレフィックスキーが内側のtmuxに吸収されます。初心者はネスト起動を避けましょう。

2. 日本語が文字化けする時

tmux内で日本語が文字化けする場合は、設定ファイル ~/.tmux.conf を作成して以下を追記します。

$ vi ~/.tmux.conf # 以下を追記する set -g default-terminal "screen-256color"

追記後、設定を反映します。

$ tmux source ~/.tmux.conf

WSL2のUbuntu環境ではデフォルトのロケールがUTF-8になっているため、多くの場合は文字化けしません。文字化けが起きる場合は locale コマンドで LANG=ja_JP.UTF-8 になっているか確認してください。

3. ペインを誤って閉じてしまった時

exitCtrl+d でペインを閉じるのは元に戻せません。大事な作業の前には必ずデタッチ(Ctrl+bd)でセッションを保存してから操作するクセをつけましょう。誤って全ペインを閉じた場合、tmux ls でセッションが残っていれば tmux attach で戻れますが、セッションごと終了した場合は復元できません。

本記事のまとめ

tmuxを使うと、1つのターミナル接続でウィンドウを分割して複数の作業を同時進行できます。SSH切断後も作業を保持するセッション機能は、VPSでの長時間処理に不可欠なスキルです。
やりたいこと 操作
tmuxを起動する tmux
画面を左右に分割する Ctrl+b の後 %
画面を上下に分割する Ctrl+b の後 "
別のペインへ移動する Ctrl+b の後 矢印キー
セッションをデタッチする Ctrl+b の後 d
セッション一覧を確認する tmux ls
セッションに再接続する tmux attach または tmux attach -t 0
ペインを閉じる exit または Ctrl+d
まずはWSL2かVPSで tmux と打って起動し、Ctrl+b% で画面を分割する体験から始めてみてください。「こんなに便利なものがあったのか」と感じるはずです。

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宮崎 智広

この記事を書いた人

宮崎 智広(みやざき ともひろ)

株式会社イーネットマーキュリー代表。現役のLinuxサーバー管理者として20年以上の実務経験を持ち、これまでに累計3,100名以上のエンジニアを指導してきたLinux教育のプロフェッショナル。「現場で本当に使える技術」を体系的に伝えることをモットーに、実践型のLinuxセミナーの開催や無料マニュアルの配布を通じてLinux人材の育成に取り組んでいる。

趣味は、キャンプにカメラ、トラウト釣り。好きな食べ物は、ラーメンにお酒。休肝日が作れない、酒量を減らせないのが悩み。最近、ドラマ「フライトエンジェル」を観て涙腺が崩壊しました。