VirtualBoxでLinux仮想環境を構築する入門|Windowsでも安全に練習できる方法

宮崎智広 この記事の監修:宮崎智広(Linux実務・教育歴20年以上・受講者3,100名超)
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「Linuxを練習したいけど、パソコンが壊れそうで怖い。」
「WSL2を試したけど、うまく動かなかった。本物のLinuxを動かしてみたい。」

そんな悩みを持つ方に最適な方法が、VirtualBox を使ったLinux仮想環境の構築です。

VirtualBoxは無料で使えるソフトウェアで、Windows・macOSの上にLinuxを丸ごとインストールして動かせます。ホストPC(元のパソコン)とは完全に切り離された空間なので、Linuxの中でどんな操作をしても元のパソコンには影響しません。「壊してしまっても大丈夫」という安心感があるため、Linux入門に最も適した環境のひとつです。

この記事では、VirtualBoxのダウンロードからAlmaLinux(RHELクローン)のインストール、起動後の基本操作まで、完全初心者を対象にステップごとに解説します。

この記事のポイント

・VirtualBoxは無料で使えるLinux仮想環境ソフト(Windows/macOS対応)
・仮想マシン内を壊しても元のパソコンへの影響はゼロ
・AlmaLinuxはRHEL互換の本格的なLinuxで現場に近い練習ができる
・インストール完了まで約30分、セットアップ後すぐコマンド練習が可能


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なぜVirtualBoxを使うのか?ほかの方法との違い

Linuxを練習するには、大きく分けて4つの方法があります。

WSL2(Windows Subsystem for Linux):Windowsのみ対応、コンテナ的な動作
VirtualBox(仮想マシン):Windows・macOS両対応、フルLinux環境
クラウド・VPS:インターネット上のサーバー、費用が発生
デュアルブート:PC上にLinuxを直接インストール、パーティション変更が必要

VirtualBoxが特に優れているのは、macOSでも使える点と、グラフィカルなデスクトップ環境ごとインストールできる点です。
WSL2はWindows専用で、GUIアプリを動かすのに制限があります。VirtualBoxなら完全なLinuxデスクトップが手元で動くため、コマンドだけでなくGUIツールの動作確認にも使えます。
方法 対応OS セットアップ難度 コスト おすすめの場面
WSL2 Windows専用 簡単 無料 Windowsユーザーのコマンド練習
VirtualBox Win/Mac/Linux 中程度 無料 本格的なLinux環境を再現したい方
クラウド(VPS) どこからでも やや難しい 有料(月数百円~) 本番に近いサーバー操作を学びたい方
デュアルブート Win/Mac 難しい 無料 PCのフルスペックを使いたい方

VirtualBoxのインストール手順

1. VirtualBoxをダウンロードする

VirtualBoxの公式サイト(https://www.virtualbox.org/)にアクセスし、「Downloads」ページを開きます。

Windowsの方:「Windows hosts」をクリックしてダウンロード
macOSの方:「macOS / Intel hosts」または「macOS / Apple Silicon hosts」を選択

ダウンロードしたインストーラーをダブルクリックして実行します。基本的に「Next」を押し続けるだけで完了します。途中でネットワークアダプターの警告(インターネット接続が一時切断される旨)が表示されますが、「Yes」を選んで問題ありません。

2. Extension Packを追加する(任意・推奨)

同じ「Downloads」ページに「VirtualBox Extension Pack」があります。USB 2.0/3.0サポートや仮想マシンの画面拡大などの機能が追加されるため、インストールを推奨します。

ダウンロード後、ファイルをダブルクリックするとVirtualBoxが自動で開き、インストールが始まります。ライセンス同意画面が表示されたら「同意」を選択してください。

AlmaLinuxの仮想マシンを作成する

1. AlmaLinuxのISOファイルを入手する

AlmaLinuxはRed Hat Enterprise Linux(RHEL)と互換性を持つLinuxディストリビューションで、現場のサーバーに最も近い環境です。
企業のLinux環境はCentOSやRHEL系が多く、AlmaLinuxで練習しておくと現場で役立ちます。

AlmaLinux公式サイト(https://almalinux.org/)にアクセスし、「Download」ページから最新版のISOファイルをダウンロードします。「x86_64」アーキテクチャの「Minimal ISO」を選ぶとダウンロードサイズが小さく、セットアップも速く完了します(約1.5GB)。

Macユーザーで「Apple Silicon(M1/M2/M3チップ)」の方は、「aarch64」を選んでください。

2. VirtualBoxで新規仮想マシンを作成する

VirtualBoxを起動し、「新規」ボタンをクリックします。以下の設定で仮想マシンを作成してください。
設定項目 推奨値 備考
名前 AlmaLinux(任意) わかりやすい名前でOK
タイプ Linux 自動選択されることが多い
バージョン Red Hat (64-bit) AlmaLinuxに最も近い設定
メモリ(RAM) 2048 MB(2GB)以上 PCの空き容量に応じて調整
仮想ハードディスク 20 GB以上 「今すぐ作成」を選択
仮想ハードディスクの作成では「VDI(VirtualBox Disk Image)」、「可変サイズ」を選ぶと、実際に使った分だけホストPCの容量を消費します。最初から全容量を確保したくない方は「可変サイズ」が便利です。

3. 起動ディスクにISOファイルを設定する

作成した仮想マシンを選択し、「設定」>「ストレージ」を開きます。

「コントローラー: IDE」の下にある「空」のDVDドライブをクリックし、右側の「ディスクファイルを選択」で先ほどダウンロードしたAlmaLinuxのISOファイルを指定します。

設定を保存したら「起動」ボタンをクリックして仮想マシンを立ち上げます。

AlmaLinuxのインストール手順

1. インストール画面を進める

仮想マシンが起動すると、AlmaLinuxのインストールメニューが表示されます。

・「Install AlmaLinux 9.x」を選択してEnterキーを押します
・言語選択画面では「日本語」を選ぶと日本語インタフェースで進められます
・「インストールの概要」画面が表示されます

2. インストール先のディスクを設定する

「インストール先」をクリックします。仮想マシン上のディスク(「20 GiB」等と表示される)が一覧に出るので、そのディスクをクリックして選択し「完了」ボタンを押します。

「自動パーティション設定」のままで問題ありません。ここは慎重になる必要はなく、仮想マシン内のディスクしか変更されないため、元のPCのデータは守られています。

3. ルートパスワードとユーザーを設定する

「rootパスワード」:管理者(root)のパスワードを設定します。忘れないものを設定してください。
「ユーザーの作成」:日常的に使う一般ユーザーを作成します。「このユーザーを管理者にする」にチェックを入れておくと、後で `sudo` コマンドが使えます。

設定が完了したら「インストールの開始」ボタンを押します。インストールには10分程度かかります。完了したら「再起動」ボタンを押してください。

起動後の基本操作を確認する

1. ログインする

インストールが完了すると、テキストのログイン画面(またはグラフィカルなログイン画面)が表示されます。
作成したユーザー名とパスワードを入力してログインしてください。

ログイン後、以下のようなプロンプトが表示されれば成功です。

[username@localhost ~]$

`~` はホームディレクトリにいることを示します。`$` は一般ユーザーとして作業中であることを表します。

2. 現在地と基本コマンドを確認する

まず現在どこにいるかを確認しましょう。

# 現在のディレクトリを表示 $ pwd /home/username # ファイルとディレクトリの一覧を表示 $ ls -la total 32 drwx------. 4 username username 119 May 2 09:12 . drwxr-xr-x. 3 root root 22 May 1 10:30 .. -rw-r--r--. 1 username username 18 Jan 10 07:00 .bash_logout -rw-r--r--. 1 username username 141 Jan 10 07:00 .bash_profile -rw-r--r--. 1 username username 492 Jan 10 07:00 .bashrc # OSのバージョンを確認 $ cat /etc/os-release NAME="AlmaLinux" VERSION="9.4 (Seafoam Ocelot)"

`pwd` は「print working directory(現在のディレクトリを表示)」、`ls -la` はファイル一覧を詳細表示するコマンドです。

3. パッケージを最新化する

インストール直後のLinuxは、セキュリティパッチなどが古い状態のことがあります。以下のコマンドでシステム全体を最新化しましょう。

# 管理者権限で全パッケージを更新(時間がかかる場合あり) $ sudo dnf update -y

`sudo` は「管理者権限で実行」するコマンドです。パスワードを聞かれたら、ログイン時のパスワードを入力してください。`dnf` はAlmaLinux(RHEL系)のパッケージ管理ツールです。

更新が完了したら、システムを再起動します。

$ sudo reboot

仮想マシンの便利な操作

1. スナップショットで「セーブポイント」を作る

VirtualBoxにはスナップショット機能があります。ゲームのセーブポイントのように、仮想マシンの状態を丸ごと保存しておき、失敗したときに戻せます。

設定が完了した状態でスナップショットを取っておくと、実験で仮想マシンを壊してしまっても1クリックで元に戻せます。

・VirtualBoxのメニューから「スナップショット」タブを開く
・「スナップショットを撮る」ボタンをクリック
・名前(例:「初期設定完了」)を入力して保存

2. ホストとゲスト間でファイルをやりとりする

VirtualBoxの「共有フォルダー」機能を使うと、ホストPC(Windows/Mac)と仮想Linux間でファイルを受け渡しできます。

仮想マシンの「設定」>「共有フォルダー」から追加できます。仮想マシン内では `/media/sf_フォルダ名` としてマウントされます。

なお、共有フォルダーにアクセスするには、ゲストAdditionsのインストールが必要です。以下のコマンドでインストールできます。

# Guest Additionsのインストール(AlmaLinux/RHEL系) $ sudo dnf install -y epel-release $ sudo dnf install -y virtualbox-guest-additions $ sudo reboot

3. 仮想マシンの終了と一時停止

仮想マシンを終了するには、VirtualBoxウィンドウの「×」ボタンをクリックします。

「仮想マシンの状態を保存」:現在の状態のまま中断(次回起動が速い)
「ACPIシャットダウン」:Linuxの正規のシャットダウン手順で終了
「仮想マシンの電源をオフ」:強制電源断(緊急時のみ)

「仮想マシンの状態を保存」が最もよく使う終了方法です。次回起動時に中断した場面からすぐに作業を再開できます。

うまく動かないときのトラブルシュート

「Virtualization Technology(VT-x/AMD-V)が有効でない」エラーが出る

このエラーはBIOSでの仮想化機能が無効になっている場合に発生します。

PCの電源投入時にF2・Delete等のキーを押してBIOS設定画面を開き、「Virtualization Technology」「VT-x」「AMD-V」といった項目を「Enabled」に変更して保存します。

BIOS操作の手順はPCのメーカー・機種によって異なるため、「(PC機種名) 仮想化 有効」で検索すると確実です。

仮想マシンの画面が小さく固定されてしまう

Guest Additionsをインストールすると解決することがほとんどです。インストール後、仮想マシンのウィンドウを自由にリサイズできるようになります。

VirtualBoxのメニュー「表示」>「自動リサイズゲスト表示」をオンにするとウィンドウサイズに合わせて自動調整されます。

キーボードのキーを押しても反応しない場面がある

VirtualBoxは仮想マシンにキーボード入力を「キャプチャ」する機能があります。仮想マシン内でクリックすると入力がゲストOS側に切り替わります。ホストOS側に戻したいときは右Ctrlキー(Macでは左Command)を押してください。

本記事のまとめ

やること 内容
VirtualBoxをインストール 公式サイトから無料ダウンロード、インストーラーを実行
AlmaLinux ISOを入手 公式サイトからMinimal ISOをダウンロード(約1.5GB)
仮想マシンを作成 メモリ2GB・ディスク20GB以上で設定
AlmaLinuxをインストール インストール先選択+ユーザー作成、約10分で完了
スナップショットを撮る 初期設定後に保存しておくと失敗しても安心
dnf update -y で最新化 セキュリティパッチを当てて環境を整える
VirtualBoxを使えば、元のパソコンに一切影響を与えることなくLinuxを学べます。「壊しても大丈夫」という安心感は、コマンドを大胆に試すうえで大きな武器になります。

仮想マシンが動くようになったら、次はコマンドの使い方を学んでみましょう。以下の記事が役立ちます。

次のステップ:関連記事で実力をつける

仮想環境が整ったら、次のステップに進みましょう。

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宮崎 智広

この記事を書いた人

宮崎 智広(みやざき ともひろ)

株式会社イーネットマーキュリー代表。現役のLinuxサーバー管理者として15年以上の実務経験を持ち、これまでに累計3,100名以上のエンジニアを指導してきたLinux教育のプロフェッショナル。「現場で本当に使える技術」を体系的に伝えることをモットーに、実践型のLinuxセミナーの開催や無料マニュアルの配布を通じてLinux人材の育成に取り組んでいる。

趣味は、キャンプにカメラ、トラウト釣り。好きな食べ物は、ラーメンにお酒。休肝日が作れない、酒量を減らせないのが悩み。最近、ドラマ「フライトエンジェル」を観て涙腺が崩壊しました。