「WSL2を試したけど、うまく動かなかった。本物のLinuxを動かしてみたい。」
そんな悩みを持つ方に最適な方法が、VirtualBox を使ったLinux仮想環境の構築です。
VirtualBoxは無料で使えるソフトウェアで、Windows・macOSの上にLinuxを丸ごとインストールして動かせます。ホストPC(元のパソコン)とは完全に切り離された空間なので、Linuxの中でどんな操作をしても元のパソコンには影響しません。「壊してしまっても大丈夫」という安心感があるため、Linux入門に最も適した環境のひとつです。
この記事では、VirtualBoxのダウンロードからAlmaLinux(RHELクローン)のインストール、起動後の基本操作まで、完全初心者を対象にステップごとに解説します。
この記事のポイント
・VirtualBoxは無料で使えるLinux仮想環境ソフト(Windows/macOS対応)
・仮想マシン内を壊しても元のパソコンへの影響はゼロ
・AlmaLinuxはRHEL互換の本格的なLinuxで現場に近い練習ができる
・インストール完了まで約30分、セットアップ後すぐコマンド練習が可能
でも安心してください。プロのエンジニアはコマンドを暗記していません。
「現場で使える型」を効率よく使いこなしているだけです。
なぜVirtualBoxを使うのか?ほかの方法との違い
Linuxを練習するには、大きく分けて4つの方法があります。・WSL2(Windows Subsystem for Linux):Windowsのみ対応、コンテナ的な動作
・VirtualBox(仮想マシン):Windows・macOS両対応、フルLinux環境
・クラウド・VPS:インターネット上のサーバー、費用が発生
・デュアルブート:PC上にLinuxを直接インストール、パーティション変更が必要
VirtualBoxが特に優れているのは、macOSでも使える点と、グラフィカルなデスクトップ環境ごとインストールできる点です。
WSL2はWindows専用で、GUIアプリを動かすのに制限があります。VirtualBoxなら完全なLinuxデスクトップが手元で動くため、コマンドだけでなくGUIツールの動作確認にも使えます。
| 方法 | 対応OS | セットアップ難度 | コスト | おすすめの場面 |
|---|---|---|---|---|
| WSL2 | Windows専用 | 簡単 | 無料 | Windowsユーザーのコマンド練習 |
| VirtualBox | Win/Mac/Linux | 中程度 | 無料 | 本格的なLinux環境を再現したい方 |
| クラウド(VPS) | どこからでも | やや難しい | 有料(月数百円~) | 本番に近いサーバー操作を学びたい方 |
| デュアルブート | Win/Mac | 難しい | 無料 | PCのフルスペックを使いたい方 |
VirtualBoxのインストール手順
1. VirtualBoxをダウンロードする
VirtualBoxの公式サイト(https://www.virtualbox.org/)にアクセスし、「Downloads」ページを開きます。・Windowsの方:「Windows hosts」をクリックしてダウンロード
・macOSの方:「macOS / Intel hosts」または「macOS / Apple Silicon hosts」を選択
ダウンロードしたインストーラーをダブルクリックして実行します。基本的に「Next」を押し続けるだけで完了します。途中でネットワークアダプターの警告(インターネット接続が一時切断される旨)が表示されますが、「Yes」を選んで問題ありません。
2. Extension Packを追加する(任意・推奨)
同じ「Downloads」ページに「VirtualBox Extension Pack」があります。USB 2.0/3.0サポートや仮想マシンの画面拡大などの機能が追加されるため、インストールを推奨します。ダウンロード後、ファイルをダブルクリックするとVirtualBoxが自動で開き、インストールが始まります。ライセンス同意画面が表示されたら「同意」を選択してください。
AlmaLinuxの仮想マシンを作成する
1. AlmaLinuxのISOファイルを入手する
AlmaLinuxはRed Hat Enterprise Linux(RHEL)と互換性を持つLinuxディストリビューションで、現場のサーバーに最も近い環境です。企業のLinux環境はCentOSやRHEL系が多く、AlmaLinuxで練習しておくと現場で役立ちます。
AlmaLinux公式サイト(https://almalinux.org/)にアクセスし、「Download」ページから最新版のISOファイルをダウンロードします。「x86_64」アーキテクチャの「Minimal ISO」を選ぶとダウンロードサイズが小さく、セットアップも速く完了します(約1.5GB)。
Macユーザーで「Apple Silicon(M1/M2/M3チップ)」の方は、「aarch64」を選んでください。
2. VirtualBoxで新規仮想マシンを作成する
VirtualBoxを起動し、「新規」ボタンをクリックします。以下の設定で仮想マシンを作成してください。| 設定項目 | 推奨値 | 備考 |
|---|---|---|
| 名前 | AlmaLinux(任意) | わかりやすい名前でOK |
| タイプ | Linux | 自動選択されることが多い |
| バージョン | Red Hat (64-bit) | AlmaLinuxに最も近い設定 |
| メモリ(RAM) | 2048 MB(2GB)以上 | PCの空き容量に応じて調整 |
| 仮想ハードディスク | 20 GB以上 | 「今すぐ作成」を選択 |
3. 起動ディスクにISOファイルを設定する
作成した仮想マシンを選択し、「設定」>「ストレージ」を開きます。「コントローラー: IDE」の下にある「空」のDVDドライブをクリックし、右側の「ディスクファイルを選択」で先ほどダウンロードしたAlmaLinuxのISOファイルを指定します。
設定を保存したら「起動」ボタンをクリックして仮想マシンを立ち上げます。
AlmaLinuxのインストール手順
1. インストール画面を進める
仮想マシンが起動すると、AlmaLinuxのインストールメニューが表示されます。・「Install AlmaLinux 9.x」を選択してEnterキーを押します
・言語選択画面では「日本語」を選ぶと日本語インタフェースで進められます
・「インストールの概要」画面が表示されます
2. インストール先のディスクを設定する
「インストール先」をクリックします。仮想マシン上のディスク(「20 GiB」等と表示される)が一覧に出るので、そのディスクをクリックして選択し「完了」ボタンを押します。「自動パーティション設定」のままで問題ありません。ここは慎重になる必要はなく、仮想マシン内のディスクしか変更されないため、元のPCのデータは守られています。
3. ルートパスワードとユーザーを設定する
「rootパスワード」:管理者(root)のパスワードを設定します。忘れないものを設定してください。「ユーザーの作成」:日常的に使う一般ユーザーを作成します。「このユーザーを管理者にする」にチェックを入れておくと、後で `sudo` コマンドが使えます。
設定が完了したら「インストールの開始」ボタンを押します。インストールには10分程度かかります。完了したら「再起動」ボタンを押してください。
起動後の基本操作を確認する
1. ログインする
インストールが完了すると、テキストのログイン画面(またはグラフィカルなログイン画面)が表示されます。作成したユーザー名とパスワードを入力してログインしてください。
ログイン後、以下のようなプロンプトが表示されれば成功です。
[username@localhost ~]$
2. 現在地と基本コマンドを確認する
まず現在どこにいるかを確認しましょう。# 現在のディレクトリを表示 $ pwd /home/username # ファイルとディレクトリの一覧を表示 $ ls -la total 32 drwx------. 4 username username 119 May 2 09:12 . drwxr-xr-x. 3 root root 22 May 1 10:30 .. -rw-r--r--. 1 username username 18 Jan 10 07:00 .bash_logout -rw-r--r--. 1 username username 141 Jan 10 07:00 .bash_profile -rw-r--r--. 1 username username 492 Jan 10 07:00 .bashrc # OSのバージョンを確認 $ cat /etc/os-release NAME="AlmaLinux" VERSION="9.4 (Seafoam Ocelot)"
3. パッケージを最新化する
インストール直後のLinuxは、セキュリティパッチなどが古い状態のことがあります。以下のコマンドでシステム全体を最新化しましょう。# 管理者権限で全パッケージを更新(時間がかかる場合あり) $ sudo dnf update -y
更新が完了したら、システムを再起動します。
$ sudo reboot
仮想マシンの便利な操作
1. スナップショットで「セーブポイント」を作る
VirtualBoxにはスナップショット機能があります。ゲームのセーブポイントのように、仮想マシンの状態を丸ごと保存しておき、失敗したときに戻せます。設定が完了した状態でスナップショットを取っておくと、実験で仮想マシンを壊してしまっても1クリックで元に戻せます。
・VirtualBoxのメニューから「スナップショット」タブを開く
・「スナップショットを撮る」ボタンをクリック
・名前(例:「初期設定完了」)を入力して保存
2. ホストとゲスト間でファイルをやりとりする
VirtualBoxの「共有フォルダー」機能を使うと、ホストPC(Windows/Mac)と仮想Linux間でファイルを受け渡しできます。仮想マシンの「設定」>「共有フォルダー」から追加できます。仮想マシン内では `/media/sf_フォルダ名` としてマウントされます。
なお、共有フォルダーにアクセスするには、ゲストAdditionsのインストールが必要です。以下のコマンドでインストールできます。
# Guest Additionsのインストール(AlmaLinux/RHEL系) $ sudo dnf install -y epel-release $ sudo dnf install -y virtualbox-guest-additions $ sudo reboot
3. 仮想マシンの終了と一時停止
仮想マシンを終了するには、VirtualBoxウィンドウの「×」ボタンをクリックします。・「仮想マシンの状態を保存」:現在の状態のまま中断(次回起動が速い)
・「ACPIシャットダウン」:Linuxの正規のシャットダウン手順で終了
・「仮想マシンの電源をオフ」:強制電源断(緊急時のみ)
「仮想マシンの状態を保存」が最もよく使う終了方法です。次回起動時に中断した場面からすぐに作業を再開できます。
うまく動かないときのトラブルシュート
「Virtualization Technology(VT-x/AMD-V)が有効でない」エラーが出る
このエラーはBIOSでの仮想化機能が無効になっている場合に発生します。PCの電源投入時にF2・Delete等のキーを押してBIOS設定画面を開き、「Virtualization Technology」「VT-x」「AMD-V」といった項目を「Enabled」に変更して保存します。
BIOS操作の手順はPCのメーカー・機種によって異なるため、「(PC機種名) 仮想化 有効」で検索すると確実です。
仮想マシンの画面が小さく固定されてしまう
Guest Additionsをインストールすると解決することがほとんどです。インストール後、仮想マシンのウィンドウを自由にリサイズできるようになります。VirtualBoxのメニュー「表示」>「自動リサイズゲスト表示」をオンにするとウィンドウサイズに合わせて自動調整されます。
キーボードのキーを押しても反応しない場面がある
VirtualBoxは仮想マシンにキーボード入力を「キャプチャ」する機能があります。仮想マシン内でクリックすると入力がゲストOS側に切り替わります。ホストOS側に戻したいときは右Ctrlキー(Macでは左Command)を押してください。本記事のまとめ
| やること | 内容 |
|---|---|
| VirtualBoxをインストール | 公式サイトから無料ダウンロード、インストーラーを実行 |
| AlmaLinux ISOを入手 | 公式サイトからMinimal ISOをダウンロード(約1.5GB) |
| 仮想マシンを作成 | メモリ2GB・ディスク20GB以上で設定 |
| AlmaLinuxをインストール | インストール先選択+ユーザー作成、約10分で完了 |
| スナップショットを撮る | 初期設定後に保存しておくと失敗しても安心 |
| dnf update -y で最新化 | セキュリティパッチを当てて環境を整える |
仮想マシンが動くようになったら、次はコマンドの使い方を学んでみましょう。以下の記事が役立ちます。
次のステップ:関連記事で実力をつける
仮想環境が整ったら、次のステップに進みましょう。・Linuxのディレクトリ構造|Windowsとの違いがわかる入門ガイド
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・Linuxのテキスト編集入門|nanoの使い方とviの基本操作
・Linuxのシェル入門|bashとzshの違いとプロンプトの読み方
・Linuxのユーザーとグループ入門|rootと一般ユーザーの違い
・Linuxシェルスクリプト入門|初心者でも動かせる自動化の第一歩
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