Linuxのman・helpコマンド入門|初心者がコマンドの使い方を自分で調べる方法

宮崎智広 この記事の監修:宮崎智広(Linux実務・教育歴20年以上・受講者3,100名超)
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「コマンドのオプションを毎回ググるのに疲れた」
「manページを開いても英語ばかりで読めない」
ターミナル操作を始めたばかりの初心者が、最初にぶつかる壁がここです。

この記事では、Linuxに最初から備わっている「自分でコマンドの使い方を調べる仕組み」を、Windowsとの比較を交えながら初心者向けに解説します。manコマンド・--helpオプション・whatis・aproposの4つを押さえれば、ググらなくてもターミナル内だけで答えにたどり着けるようになります。

この記事のポイント

・manコマンドはLinux標準のオフライン取扱説明書
・とりあえずの使い方は「コマンド名 --help」が最速
・忘れたコマンドはaproposでキーワード検索できる
・/(スラッシュ)で検索、qで終了の操作だけ覚える


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でも安心してください。プロのエンジニアはコマンドを暗記していません。
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なぜLinuxは「自分で調べる文化」なのか

WindowsやMacのアプリは、メニューバーにヘルプが用意されていて、画面の説明を読めばだいたいの操作が分かります。一方Linuxのコマンドは、画面に何も表示されないまま動きます。クリックする場所すらありません。

そのかわり、Linuxには昔から「コマンド自身に取扱説明書が同梱されている」という伝統があります。インターネットがなかった時代から、エンジニアはこの説明書を読んでサーバーを動かしてきました。今でもこの仕組みは残っており、ネット接続のないサーバー内でも完結して調べられるという、現代でも通用する強さがあります。

WindowsとLinuxの「ヘルプの探し方」を比較すると、次のようになります。
OS ヘルプの探し方 ネット必須か
Windows アプリのヘルプメニュー / Web検索 ほぼ必須
macOS ヘルプメニュー / man(ターミナル) 不要(ターミナル内なら)
Linux man--helpinfo 不要(オフラインで完結)
「ググらないと何もできない」というイメージとは逆で、本来Linuxはオフラインで自己解決できるOSなのです。

man コマンド:Linux標準の取扱説明書

manは「manual(マニュアル)」の略です。Linuxにインストールされているほとんどのコマンドは、manページという名前の説明書を持っています。

1. 基本の使い方

調べたいコマンド名を man の後ろに書くだけです。

# lsコマンドの説明書を開く $ man ls

実行すると、画面いっぱいに英語または日本語の説明が表示されます。慌てず、次の3つのキーだけ覚えてください。
キー 動作
スペース or f 1ページ進む
b 1ページ戻る
q manを終了する
「閉じ方が分からなくてターミナルを×ボタンで閉じてしまった」というのは初心者あるあるです。qを押せば普通のプロンプトに戻れます。これだけで脱却できます。

2. ページ内検索:/(スラッシュ)で目的のオプションを探す

manページは長いものだと数千行になります。スペースキーで延々スクロールするのは現実的ではありません。

キーボードで「/」を押すと検索モードに入ります。調べたいキーワードを入力してEnterで、その単語の場所までジャンプします。

# manページを開いた状態で /recursive[Enter] ← 「再帰的」関連オプションを検索 n ← 次のヒットへ N ← 前のヒットへ戻る

たとえばcpコマンドのmanで「/recursive」と打てば、ディレクトリごとコピーする-rオプションの説明にすぐ飛べます。長文を頭から読む必要はありません。

3. セクション番号の意味

manには1から9までのセクション番号があります。同じ名前の項目が複数ある場合(コマンドと設定ファイル名が同じなど)、番号で区別します。
セクション 内容
1 一般ユーザーが使うコマンド
5 設定ファイルのフォーマット
8 システム管理コマンド
たとえばpasswdは「コマンド」と「/etc/passwdファイル」の両方が存在します。それぞれを区別して読むには次のように指定します。

# passwdコマンドの説明 $ man 1 passwd # /etc/passwdファイルの書式説明 $ man 5 passwd

最初は「1番だけ覚えれば十分」です。サーバー管理を始めると5番と8番も使うようになります。

--help オプション:とりあえずの使い方を10秒で確認

manページは詳しいぶん長くて、慣れないうちは読みにくいです。「オプションの一覧だけサッと見たい」という時は、コマンドに --help を付けるのが最速です。

$ ls --help Usage: ls [OPTION]... [FILE]... List information about the FILEs (the current directory by default). ... -a, --all do not ignore entries starting with . -l use a long listing format -h, --human-readable with -l and -s, print sizes in human readable format ...

manと違って画面1~2枚ぶんで終わるので、通常のターミナル画面に出力されます。「-aってどんな意味だっけ」というレベルの確認なら、これで十分です。

注意点として、一部の古いコマンドは --help ではなく -h や -? を使います。--help が効かなかったら次のように試してみてください。

# どれかが効くはず $ コマンド名 --help $ コマンド名 -h $ コマンド名 -?

whatis と apropos:コマンド名を忘れた時の救世主

「ファイルを探すコマンドって何だっけ……findだったか、searchだったか」というように、名前そのものを忘れてしまうこともあります。そんな時はaproposが使えます。

1. whatis:コマンドの一行説明を見る

whatisはコマンド名を渡すと、そのコマンドが「何をするものか」を1行で返してくれます。manを開かずに概要だけ知りたい時に便利です。

$ whatis ls ls (1) - list directory contents $ whatis grep grep (1) - print lines that match patterns

2. apropos:キーワードからコマンドを検索する

aproposはキーワードを渡すと、そのキーワードを説明文に含むコマンド名を一覧で返してくれます。「日本語の意味で逆引きする」イメージです。

# 「ファイルを探す」系のコマンドを探したい $ apropos search find (1) - search for files in a directory hierarchy locate (1) - find files by name which (1) - locate a command ...

ヒット数が多くなりすぎる場合は、grepと組み合わせて絞り込みます。

# 「password」関連のコマンドだけに絞る $ apropos password | grep -i change chpasswd (8) - update passwords in batch mode passwd (1) - change user password

manとaproposを組み合わせれば、「やりたいことの単語 → コマンド名 → 詳細説明」の流れが、ネット検索なしで完結します。

info コマンド:manより詳しい説明書

GNU系のコマンド(多くのLinuxの基本コマンド)には、manとは別に info という、より詳しい階層型の説明書が用意されています。

$ info coreutils

infoは章立てが章・節・項に分かれていて、リンクをたどるように読めます。ただ操作キーがmanと違うため、初心者にはハードルがあります。「manと--helpで足りない時に試す予備手段」として頭の片隅に置いておくくらいで十分です。

「英語ばかりで読めない」を乗り越えるコツ

manページの多くは英語で書かれています。これが初心者にとっての最大の壁です。ただ、manページの英語には決まったフォーマットがあるので、全部を読む必要はありません。次の3つのセクションだけ押さえてください。
セクション名 読む理由
NAME コマンドが何をするものか1行で分かる
SYNOPSIS 正しい書き順(構文)が分かる
EXAMPLES 実例があれば最短で理解できる
manを開いたら、まず「/EXAMPLES」と検索してみてください。実例セクションを持つコマンド(rsyncやfindなど)は、ここを読むだけで使い方の8割が把握できます。

日本語のmanページが必要な場合は、ディストリビューションごとにパッケージで導入できます。

# Ubuntu / Debian $ sudo apt install manpages-ja # Rocky Linux / RHEL $ sudo dnf install man-pages-ja

ただし日本語版は更新が遅れがちです。最新のオプションが英語にしか載っていない場合があるので、最終的には英語の原文も読めるようにしておく方が安心です。

「No manual entry」が出た時の対処法

manを実行して「No manual entry for xxx」と出ることがあります。これはmanページがインストールされていないという意味です。Linuxの最小構成では、manページが省略されている場合があります。

$ man tar No manual entry for tar

このような場合は、manページのパッケージを追加でインストールします。

# Ubuntu / Debian $ sudo apt install man-db manpages # Rocky Linux / RHEL $ sudo dnf install man-db man-pages

それでも特定のコマンドだけmanがない場合は、--help を試すか、コマンド名で検索エンジンを当たります。manに頼り切らず、複数の手段を持っておくのがコツです。

本記事のまとめ

Linuxの「自分で調べる4つの基本」を整理します。
やりたいこと コマンド
コマンドの詳細を読む man コマンド名
オプション一覧をサッと確認 コマンド名 --help
コマンドの一行説明を見る whatis コマンド名
キーワードからコマンドを探す apropos キーワード
manページ内を検索する /検索語(man表示中)
manを終了する q(man表示中)
ググれば答えはすぐ出てきます。ですが、実務サーバーの中にはインターネット接続がない環境もあります。社内ネットワーク内のサーバーや、本番系の隔離された環境では、ネット検索に頼れません。manと--helpを使いこなせるかどうかは、現場での自走力に直結します。

逆に言えば、初心者のうちからmanを開く癖をつけておくと、独学の壁を越えるスピードが目に見えて上がります。最初は「q」と「/」だけで十分です。今日から1日1回、気になったコマンドのmanを開く習慣を作ってみてください。

次に学ぶおすすめテーマ

manで使い方を調べられるようになったら、次は実際にコマンドを使う場面を増やしていくのが上達の近道です。リナックスマスター.JPでは、現場で頻出のコマンドを以下のテーマ別にまとめています。

findコマンドでファイルを素早く見つける方法(ファイルシステム)
dfとduで空き容量を確認する方法(ストレージ管理)
ipコマンドとpingで接続状態を調べる方法(ネットワーク診断)
nmcliコマンドでネットワーク接続を設定する方法(ネットワーク設定)
tailとlessでサーバーの状態を読む方法(トラブルシューティング)
ausearchコマンドで監査ログを検索・分析する方法(セキュリティ)
getoptsコマンドでbashスクリプトの引数を処理する方法(シェルスクリプト)
nohupコマンドでSSH切断後もコマンドを実行し続ける方法(サーバー運用Tips)
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宮崎 智広

この記事を書いた人

宮崎 智広(みやざき ともひろ)

株式会社イーネットマーキュリー代表。現役のLinuxサーバー管理者として15年以上の実務経験を持ち、これまでに累計3,100名以上のエンジニアを指導してきたLinux教育のプロフェッショナル。「現場で本当に使える技術」を体系的に伝えることをモットーに、実践型のLinuxセミナーの開催や無料マニュアルの配布を通じてLinux人材の育成に取り組んでいる。

趣味は、キャンプにカメラ、トラウト釣り。好きな食べ物は、ラーメンにお酒。休肝日が作れない、酒量を減らせないのが悩み。最近、ドラマ「フライトエンジェル」を観て涙腺が崩壊しました。