Linuxのディレクトリ構造を初心者向けに解説|Windowsとの違いがわかる入門ガイド


この記事の監修:宮崎智広(Linux教育歴15年以上・受講者3,100名超)
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「Linuxを始めてみたけど、ファイルがどこにあるのか全然わからない。」
「Cドライブってどこ? マイドキュメントはどこに保存すればいいの?」

Windowsに慣れている方がLinuxに初めて触れると、最初に戸惑うのがファイルの置き場所、つまり「ディレクトリ構造」です。

この記事では、Linuxのディレクトリ構造をWindowsと比較しながら、初心者の方にもわかるようにやさしく解説します。
「どのフォルダに何が入っているのか」が見えるようになると、Linuxの操作が格段にスムーズになります。

この記事のポイント

・Linuxのファイルはすべて「/」(ルート)から始まる1本のツリー構造
・/home がWindowsの「マイドキュメント」に相当する場所
・/etc は設定ファイル、/var はログの保存場所と覚えておけばOK
・pwdとlsコマンドで今いる場所とファイルの一覧を確認できる


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WindowsとLinuxのファイル管理はここが違う

Windowsでは「Cドライブ」「Dドライブ」のようにドライブ文字でディスクを区別しますが、Linuxにはドライブ文字がありません。

Linuxでは、すべてのファイルが「/」(スラッシュ)を起点とした1本のツリーにぶら下がっています。
USBメモリを挿しても、別のハードディスクを追加しても、すべてこのツリーのどこかに「合流」する仕組みです。

この「/」のことを「ルートディレクトリ」と呼びます。木の根っこ(root)にあたる、すべての出発点です。

WindowsとLinuxの違いを表にまとめると、こうなります。
比較項目 Windows Linux
ファイルの起点 C:\ や D:\ などドライブごと /(ルート)の1本だけ
区切り文字 \(バックスラッシュ) /(スラッシュ)
個人ファイルの場所 C:\Users\ユーザー名 /home/ユーザー名
設定ファイルの場所 レジストリやAppData /etc 配下のテキストファイル
大文字・小文字の区別 区別しない 区別する(File.txt と file.txt は別物)
Windowsでは「フォルダ」と呼びますが、Linuxでは同じものを「ディレクトリ」と呼びます。意味は同じなので、ここでは「ディレクトリ」で統一します。

覚えておきたい主要ディレクトリ一覧

Linuxのルート直下には、役割ごとにディレクトリが並んでいます。
全部覚える必要はありません。まずは以下の7つだけ押さえておけば、日常の操作で困ることはほとんどありません。

1. /home ~ 自分のファイルを置く場所

Windowsでいう「マイドキュメント」や「デスクトップ」にあたる場所です。
ユーザーごとに専用のディレクトリが用意されます。

例えば、ユーザー名が「tanaka」なら /home/tanaka が自分の作業場所になります。
写真やドキュメント、自分で作ったファイルはここに保存するのが基本です。

2. /etc ~ 設定ファイルが集まる場所

Linuxの設定ファイルはほとんどがテキストファイルで、この /etc ディレクトリにまとまっています。
Windowsでいうと「コントロールパネル」や「レジストリ」の役割に近いイメージです。

ただし、Linuxの設定ファイルはメモ帳のような普通のテキストエディタで開けるので、Windowsのレジストリよりもずっとわかりやすい仕組みです。

3. /var ~ ログやデータが溜まる場所

サーバーの動作記録(ログ)や、メールのデータなど、時間とともに変化するファイルが保存される場所です。

トラブルが起きたとき、真っ先に確認するのが /var/log の中にあるログファイルです。
「何かおかしい」と思ったらログを見る。これはLinuxの基本中の基本です。

4. /tmp ~ 一時ファイル置き場

プログラムが作業中に使う一時ファイルが置かれる場所です。
Windowsの「Temp」フォルダと同じ役割で、再起動すると中身が消えることがあります。
大事なファイルをここに保存してはいけません。

5. /usr ~ プログラム本体が入る場所

Windowsでいう「Program Files」に近い場所です。
インストールしたソフトウェアの実行ファイルやライブラリがここに格納されます。

6. /bin と /sbin ~ コマンドが入っている場所

Linuxの基本コマンド(ls、cp、mv など)が保存されている場所です。
/bin には一般ユーザーが使うコマンド、/sbin には管理者(root)が使うシステム管理用コマンドが入っています。

最近のLinux(RHEL 9やUbuntu 24.04 LTSなど)では、/bin は /usr/bin への「ショートカット」になっているケースがほとんどです。

7. /root ~ 管理者専用のホームディレクトリ

一般ユーザーのホームは /home/ユーザー名 ですが、システム管理者(root)だけは /root が専用のホームディレクトリです。
紛らわしいですが、ルートディレクトリ「/」と管理者のホーム「/root」は別物です。

実際にディレクトリ構造を見てみよう

ここまでの説明を、実際のLinux画面で確認してみましょう。
WSL2のUbuntuやVPSのターミナルで、以下のコマンドを実行してみてください。

1. 今いる場所を確認する(pwdコマンド)

まず、自分が今どのディレクトリにいるのかを確認します。

# 今いるディレクトリを表示する $ pwd /home/tanaka

pwd は「Print Working Directory」の略で、「今いる場所を表示する」コマンドです。
ログイン直後は、自分のホームディレクトリ(/home/ユーザー名)にいることが確認できます。

2. ディレクトリの中身を一覧表示する(lsコマンド)

次に、ルートディレクトリの中身を見てみましょう。

# ルートディレクトリの中身を表示する $ ls / bin dev home lib media opt root sbin sys usr boot etc lib64 lost+found mnt proc run srv tmp var

先ほど解説した /home、/etc、/var、/tmp、/usr などが並んでいることがわかります。
これがLinuxのディレクトリ構造の「骨格」です。

3. ディレクトリを移動する(cdコマンド)

別のディレクトリに移動するには cd(Change Directory)コマンドを使います。

# /etc に移動する $ cd /etc # 今いる場所を確認する $ pwd /etc # /etc の中身を表示する(先頭10件) $ ls | head -10 adduser.conf alternatives apparmor apparmor.d apt bash.bashrc bindresvport.blacklist ca-certificates ca-certificates.conf cron.d

/etc の中には、たくさんの設定ファイルやディレクトリが入っていることが確認できます。

4. ホームディレクトリに戻る

迷子になったら、引数なしの cd を実行するだけで自分のホームディレクトリに戻れます。

# ホームディレクトリに戻る $ cd # 戻れたことを確認する $ pwd /home/tanaka

cd だけ打てば家に帰れる」と覚えておくと安心です。

初心者がつまずきやすい3つのポイント

【注意】大文字と小文字は別物として扱われる

Windowsでは「Document」も「document」も同じファイルですが、Linuxでは完全に別のファイルとして扱われます。

# 大文字と小文字は別ファイル $ touch File.txt file.txt FILE.txt $ ls FILE.txt File.txt file.txt

この3つは全て別のファイルです。ファイル名を入力するときは、大文字・小文字を正確に打つ癖をつけてください。

【注意】隠しファイルは「.」で始まる

Linuxでは、ファイル名の先頭が「.」(ドット)で始まるファイルは「隠しファイル」として扱われ、通常の ls コマンドでは表示されません。

# 通常のlsでは隠しファイルが見えない $ ls Documents Downloads # -a オプションで隠しファイルも表示する $ ls -a . .. .bashrc .profile Documents Downloads

.bashrc.profile は、ユーザーの環境設定が書かれた重要なファイルです。
ls -a で隠しファイルも見える」と覚えておきましょう。

【注意】パスの区切りは「/」(スラッシュ)

Windowsの癖で \(バックスラッシュ)を使ってしまうと、Linuxではエラーになります。

・Windows: C:\Users\tanaka\Documents
・Linux: /home/tanaka/Documents

Linuxでは常に「/」(スラッシュ)を使ってください。

「No such file or directory」が出た時の対処法

ディレクトリ構造を理解していても、最初のうちはエラーに遭遇します。
一番よく見るのが「No such file or directory」(そんなファイルやディレクトリはない)というメッセージです。

# 存在しないディレクトリに移動しようとした場合 $ cd /hoem/tanaka -bash: cd: /hoem/tanaka: No such file or directory # root権限でディレクトリの中身を確認する場合 # ls -la /root/ total 28 drwx------ 3 root root 4096 Apr 1 10:00 . drwxr-xr-x 19 root root 4096 Mar 15 09:00 .. -rw-r--r-- 1 root root 3106 Mar 15 09:00 .bashrc

このエラーが出たら、以下の3つを順番に確認してください。

スペルミスがないか:上の例では /home を /hoem と打ち間違えている
大文字・小文字が合っているか:/Home と /home は別のディレクトリ
パスの区切りが / になっているか:Windowsの癖で \ を使っていないか確認

「タイプミスを直したら動いた」というケースがほとんどです。落ち着いてパスを見直しましょう。

ディレクトリ構造の全体像まとめ

ここまで解説した主要ディレクトリを一覧にまとめます。
ディレクトリ Windowsで例えると 中に入っているもの
/ C:\ すべてのファイルの起点(ルート)
/home C:\Users 各ユーザーの個人ファイル
/etc コントロールパネル システムやソフトウェアの設定ファイル
/var イベントビューアー ログやメールなど、変化するデータ
/tmp Tempフォルダ 一時ファイル(再起動で消える可能性あり)
/usr Program Files アプリケーション本体やライブラリ
/bin, /sbin C:\Windows\System32 基本コマンド・管理コマンド
/root C:\Users\Administrator 管理者(root)専用のホームディレクトリ

本記事のまとめ

Linuxのディレクトリ構造は、慣れるまでWindowsとの違いに戸惑うかもしれません。
しかし、「すべて / から始まる1本のツリー」という仕組みがわかってしまえば、実はWindowsよりもシンプルです。

まずは以下の3つだけ覚えてください。

/home/ユーザー名:自分のファイルを置く場所
/etc:設定ファイルが集まる場所
/var/log:トラブル時にログを確認する場所

今回紹介した pwdlscd の3つのコマンドを使いこなせれば、Linuxのどこにいても迷わずに操作できるようになります。

ディレクトリ構造がわかったら、次は個別のコマンドを身につけていきましょう。以下の記事で実践的な使い方を解説しています。

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シェルスクリプト:crontabコマンドの設定と書き方 ~ 定期的な作業を自動化する方法
セキュリティ:chmodコマンドで権限を変更する方法 ~ ファイルを守る権限設定の基本
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宮崎 智広

この記事を書いた人

宮崎 智広(みやざき ともひろ)

株式会社イーネットマーキュリー代表。現役のLinuxサーバー管理者として15年以上の実務経験を持ち、これまでに累計3,100名以上のエンジニアを指導してきたLinux教育のプロフェッショナル。「現場で本当に使える技術」を体系的に伝えることをモットーに、実践型のLinuxセミナーの開催や無料マニュアルの配布を通じてLinux人材の育成に取り組んでいる。

趣味は、キャンプにカメラ、トラウト釣り。好きな食べ物は、ラーメンにお酒。休肝日が作れない、酒量を減らせないのが悩み。最近、ドラマ「フライトエンジェル」を観て涙腺が崩壊しました。