バージョン確認は一見シンプルな作業ですが、確認方法が複数あり、パッケージバージョンとPostgreSQL自身が報告するバージョンが微妙に異なることもあります。また、複数サーバーを手作業で一台ずつ確認していると、バージョン違いやアップデート漏れを見落とすリスクが高まります。
この記事では、psqlコマンドによる基本的なバージョン確認から、シェルスクリプトとcronを使った複数サーバーの定期的な一括管理まで、RHEL 9.4 / Rocky Linux 9 / Ubuntu 24.04 LTSの実環境で動作確認した手順を解説します。
この記事のポイント
・psql --versionとSELECT version()でpostgresqlバージョン確認が即座にできる
・rpm -qとdpkg -lでパッケージレベルのバージョンも把握できる
・SSHループスクリプトで複数サーバーを一括取得してCSVに記録できる
・cronで定期実行しバージョン変化を自動検知してメール通知できる
でも安心してください。プロのエンジニアはコマンドを暗記していません。
「現場で使える型」を効率よく使いこなしているだけです。
PostgreSQLのバージョン確認が複数サーバーで問題になる理由
セキュリティパッチ適用状況の把握、EOL(サポート終了)の確認、レプリケーション構成でのバージョン一致確認——これらはどれも複数サーバーのバージョン管理と直結します。特にストリーミングレプリケーション環境では、プライマリとスタンバイのメジャーバージョンが一致していないと、予期しない動作やフェイルオーバー失敗を引き起こします。また、PostgreSQL 12以前はすでにEOLを迎えており、サポートされていないバージョンを気づかずに本番運用しているケースも現場では少なくありません。
「確認するだけなら手作業で十分」という考え方は、サーバーが2~3台のうちは通用します。しかし5台、10台と増えてくると、手作業のバージョン確認は確実に抜け漏れが発生します。
psqlとpostgresコマンドによる基本的なバージョン確認
1. psql --versionでクライアントバージョンを確認する
最もシンプルな確認方法です。psqlコマンド自体のバージョン(クライアントのバージョン)を表示します。$ psql --version psql (PostgreSQL) 15.6
2. SELECT version()でサーバーバージョンを確認する
本番DBサーバーが動作しているバージョンを正確に確認するには、psqlでデータベースに接続してSQLを実行します。# postgresユーザーに切り替えてからpsqlを起動する $ sudo -u postgres psql postgres=# SELECT version(); version ------------------------------------------------------------------------------------------------------------ PostgreSQL 15.6 on x86_64-pc-linux-gnu, compiled by gcc (GCC) 11.4.1 20230605 (Red Hat 11.4.1-2), 64-bit (1 row)
$ sudo -u postgres psql -t -c "SELECT version();" | grep -oP 'PostgreSQL \S+' PostgreSQL 15.6
-tオプションで余分なヘッダとフッタを除去し、grepで「PostgreSQL バージョン番号」だけを取り出しています。3. パッケージバージョンをrpm / dpkgで確認する
RHEL系(Rocky Linux / AlmaLinux)では、インストールされているパッケージのバージョンを確認できます。rpm コマンドの使い方を参考に、次のコマンドを実行してください。# RHEL / Rocky Linux の場合(PGDGリポジトリ導入済み) $ rpm -q postgresql15-server postgresql15-server-15.6-1PGDG.rhel9.x86_64 # パッケージ名が分からない場合 $ rpm -qa | grep postgresql postgresql15-15.6-1PGDG.rhel9.x86_64 postgresql15-server-15.6-1PGDG.rhel9.x86_64 postgresql15-libs-15.6-1PGDG.rhel9.x86_64
# Ubuntu 24.04 LTS の場合 $ dpkg -l 'postgresql*' | awk '/^ii/{print $2, $3}' postgresql-15 15.6-1.pgdg24.04+1 postgresql-client-15 15.6-1.pgdg24.04+1 postgresql-common 258.pgdg24.04+1
シェルスクリプトで複数サーバーのバージョンを一括取得する
サーバーが複数台ある環境では、手作業による個別確認は限界があります。SSHのパスワードなし認証(公開鍵認証)が設定済みであれば、シェルスクリプトで一括取得できます。1. SSHで複数ホストをループする基本スクリプト
#!/bin/bash # check-pg-version.sh — 複数DBサーバーのPostgreSQLバージョンを一括確認する DB_HOSTS=( db01.example.internal db02.example.internal db03.example.internal ) SSH_USER="ec2-user" for HOST in "${DB_HOSTS[@]}"; do PG_VER=$(ssh -o ConnectTimeout=5 -o BatchMode=yes "${SSH_USER}@${HOST}" \ "sudo -u postgres psql -t -c \"SELECT version();\" 2>/dev/null | grep -oP 'PostgreSQL \S+'" 2>/dev/null) if [ -z "${PG_VER}" ]; then echo "${HOST}: 取得失敗(接続不可またはPostgreSQLが停止中)" else echo "${HOST}: ${PG_VER}" fi done
$ bash check-pg-version.sh db01.example.internal: PostgreSQL 15.6 db02.example.internal: PostgreSQL 15.6 db03.example.internal: PostgreSQL 14.11
2. バージョン情報をCSVに記録する
定期実行した結果を蓄積するために、CSVファイルへの書き出しを追加します。#!/bin/bash # check-pg-version-csv.sh — バージョン情報をCSVに追記する DB_HOSTS=(db01.example.internal db02.example.internal db03.example.internal) SSH_USER="ec2-user" LOG_DIR="/var/log/pg-version" LOG_FILE="${LOG_DIR}/pg-version-$(date '+%Y%m').csv" TIMESTAMP=$(date '+%Y-%m-%d %H:%M:%S') mkdir -p "${LOG_DIR}" for HOST in "${DB_HOSTS[@]}"; do PG_VER=$(ssh -o ConnectTimeout=5 -o BatchMode=yes "${SSH_USER}@${HOST}" \ "sudo -u postgres psql -t -c \"SELECT version();\" 2>/dev/null | grep -oP 'PostgreSQL \S+'" 2>/dev/null) PG_VER="${PG_VER:-UNREACHABLE}" echo "${TIMESTAMP},${HOST},${PG_VER}" >> "${LOG_FILE}" done
2026-09-27 02:00:01,db01.example.internal,PostgreSQL 15.6 2026-09-27 02:00:02,db02.example.internal,PostgreSQL 15.6 2026-09-27 02:00:03,db03.example.internal,PostgreSQL 14.11
cronで定期実行してバージョン変化を自動検知する
スクリプトを手動で実行するだけでは、バージョン変化の見落としが起きます。cronに登録して毎日自動実行し、変化があったときだけ通知する仕組みを作ります。複数サーバーの自動管理はLinux実務の基礎スキルであり、セミナーの実習でも必ず扱うテーマです。1. crontabへの登録手順
# crontabを編集する(rootで登録する場合) $ sudo crontab -e # 毎日午前2時に実行(cron.logに標準出力・標準エラーを記録する) 0 2 * * * /usr/local/bin/check-pg-version-csv.sh >> /var/log/pg-version/cron.log 2>&1
$ sudo cp check-pg-version-csv.sh /usr/local/bin/ $ sudo chmod 755 /usr/local/bin/check-pg-version-csv.sh
2. 前回の記録と差分が出たらメール通知する仕組み
バージョンが変化したときだけ通知を飛ばす改良版スクリプトです。#!/bin/bash # check-pg-version-notify.sh — バージョン変化を検知してメール通知する DB_HOSTS=(db01.example.internal db02.example.internal db03.example.internal) SSH_USER="ec2-user" LOG_DIR="/var/log/pg-version" PREV_FILE="${LOG_DIR}/pg-version-prev.txt" CURR_FILE="${LOG_DIR}/pg-version-curr.txt" NOTIFY_MAIL="admin@example.com" mkdir -p "${LOG_DIR}" : > "${CURR_FILE}" for HOST in "${DB_HOSTS[@]}"; do PG_VER=$(ssh -o ConnectTimeout=5 -o BatchMode=yes "${SSH_USER}@${HOST}" \ "sudo -u postgres psql -t -c \"SELECT version();\" 2>/dev/null | grep -oP 'PostgreSQL \S+'" 2>/dev/null) echo "${HOST}:${PG_VER:-UNREACHABLE}" >> "${CURR_FILE}" done if [ -f "${PREV_FILE}" ]; then DIFF=$(diff "${PREV_FILE}" "${CURR_FILE}") if [ -n "${DIFF}" ]; then echo "PostgreSQLバージョン変化を検知しました。 ${DIFF}" | mail -s "[要確認] PostgreSQL version change detected" "${NOTIFY_MAIL}" fi fi cp "${CURR_FILE}" "${PREV_FILE}"
トラブルシュート|よくあるエラーと対処法
「sudo: a terminal is required to read the password」と表示されるSSHで sudo -u postgres を実行しようとしたときに対話パスワードが求められるケースです。サーバー側の
/etc/sudoers に次の1行を追加して、パスワードなしで実行できるようにします(必ず visudo で編集してください)。# /etc/sudoers への追記(visudoで編集すること) ec2-user ALL=(postgres) NOPASSWD: /usr/bin/psql
PostgreSQLサービスが停止中の場合に発生します。まずサービスの状態を確認してください。
$ sudo systemctl status postgresql-15 * postgresql-15.service - PostgreSQL 15 Database Server Loaded: loaded (/usr/lib/systemd/system/postgresql-15.service; enabled; vendor preset: disabled) Active: inactive (dead)
Active: inactive (dead) の場合はサービスを起動します。$ sudo systemctl start postgresql-15 $ sudo systemctl status postgresql-15 | grep Active Active: active (running) since Sat 2026-09-27 02:10:05 JST; 3s ago
macOSのgrepはPCRE(-Pオプション)非対応です。本記事の手順はLinux(GNU grep)向けです。macOSのPCからSSHで接続してLinuxサーバー上で実行する場合は問題ありません。
本記事のまとめ
| やりたいこと | コマンド・方法 |
|---|---|
| クライアントのバージョン確認 | psql --version |
| サーバーのバージョン確認(SQL) | sudo -u postgres psql -t -c "SELECT version();" |
| パッケージバージョン確認(RHEL系) | rpm -qa | grep postgresql |
| パッケージバージョン確認(Debian系) | dpkg -l 'postgresql*' |
| 複数サーバーの一括確認 | SSHループスクリプト + CSV記録 |
| バージョン変化の自動検知 | cronで定期実行 + diff + mail通知 |
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