MariaDBをLinuxへインストールしてLTS版を固定する手順|APT/DNFリポジトリの追加とmariadb-secure-installation

宮崎智広 この記事の監修:宮崎智広(Linux実務・教育歴20年以上・受講者3,100名超)
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「LinuxにMariaDBを入れようとしたら、apt install mariadb-serverで入ったのがOS標準の古いバージョンだった」「LTS版に固定したいが、どのリポジトリを追加すればいいのか分からない」

OS標準リポジトリのMariaDBは保守的なバージョンが収録されており、最新のLTS版(Long Term Support)とは大きく差がある。MariaDB公式が提供するリポジトリセットアップスクリプトを使えば、Ubuntu(APT)でもRHEL系(DNF)でも同じ手順でLTS版を固定できる。

この記事では、Ubuntu 24.04 LTSとRocky Linux 9.4を対象に、MariaDB 11.4 LTSをLinuxサーバーへ導入する手順を解説する。公式リポジトリの追加からmariadb-secure-installationによる初期セキュリティ設定、バージョン固定まで一気に進める。

この記事のポイント

・OS標準リポジトリを使わず公式スクリプトでMariaDB 11.4 LTSを固定する
・Ubuntu(APT)とRocky Linux(DNF)の両方に対応した手順を掲載している
・mariadb-secure-installationで匿名ユーザー・テストDBを除去する
・apt-mark hold / dnf versionlockでバージョン系列を固定して誤アップグレードを防ぐ


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MariaDB LTS版の選び方:どのバージョンを選ぶか

MariaDBにはLTS版と非LTS版(Short Term Support)がある。LTS版はサポート期間が5年以上確保されており、本番環境での長期運用に向いている。

2026年9月時点でサポート中のLTS版は以下のとおりだ。

MariaDB 10.11 LTS:2023年2月リリース、サポート期限 2028年2月
MariaDB 11.4 LTS:2024年5月リリース、サポート期限 2029年5月

新規構築にはMariaDB 11.4 LTSが推奨だ。10.11 LTSは2028年でサポートが終了するため、今から導入するメリットは薄い。非LTSの最新版(11.7等)はサポートが約1年に留まるため、本番用途には不向きだ。

非LTS版のバージョン番号は奇数(11.1、11.3、11.5等)、LTS版は偶数(10.11、11.4等)が目安になる。公式の「Which version should I use?」ページでも11.4 LTSが推奨として掲載されている。

Ubuntu 24.04 LTSへの導入:公式APTリポジトリの追加からインストールまで

Ubuntu 24.04 LTS(noble)のOS標準リポジトリには古いMariaDBパッケージが収録されている場合がある。MariaDB公式リポジトリを追加し、11.4 LTSを明示的に指定して導入する。

1. MariaDB公式リポジトリセットアップスクリプトを取得する

curlでセットアップスクリプトをダウンロードし、実行権限を付与する。

# スクリプトを取得して実行権限を付与 curl -LsSO https://r.mariadb.com/downloads/mariadb_repo_setup chmod +x mariadb_repo_setup # MariaDB 11.4 LTSのリポジトリを追加(Debian/Ubuntu環境を自動判別) sudo ./mariadb_repo_setup --mariadb-server-version="mariadb-11.4"

スクリプトは実行環境(Ubuntu/Debian系かRHEL系か)を自動判別し、適切な形式でリポジトリを設定する。--mariadb-server-versionにLTSの系列番号を指定することで、その系列のみが追加対象となる。

実行後、APTリポジトリリストが追加されたことを確認する。

cat /etc/apt/sources.list.d/mariadb.list

以下のような出力が得られれば正常だ。

# MariaDB 11.4 repository list - created 2026-09-08 # https://mariadb.org/download/ deb [signed-by=/usr/share/keyrings/mariadb-keyring.pgp] https://downloads.mariadb.com/MariaDB/mariadb-11.4/repo/ubuntu noble main deb-src [signed-by=/usr/share/keyrings/mariadb-keyring.pgp] https://downloads.mariadb.com/MariaDB/mariadb-11.4/repo/ubuntu noble main

2. MariaDB 11.4 LTSをインストールする

APTパッケージリストを更新し、mariadb-serverをインストールする。

sudo apt update sudo apt install mariadb-server -y

インストール後にバージョンを確認する。

mariadb --version

11.4.x が表示されれば成功だ。

mariadb Ver 15.1 Distrib 11.4.4-MariaDB, for debian-linux-gnu (x86_64) using EditLine wrapper

3. サービスの起動と自動起動の設定

# 起動と自動起動を同時に設定 sudo systemctl enable --now mariadb # 起動状態を確認 sudo systemctl status mariadb

以下のような出力が確認できれば、サービスは正常稼働している。

* mariadb.service - MariaDB 11.4.4 database server Loaded: loaded (/usr/lib/systemd/system/mariadb.service; enabled; preset: enabled) Active: active (running) since Mon 2026-09-08 10:00:00 JST; 5s ago

Rocky Linux 9 / AlmaLinux 9 への導入:公式DNFリポジトリの追加からインストールまで

Rocky Linux 9(およびAlmaLinux 9)では、AppStreamにMariaDB 10.5系が含まれている。11.4 LTSを使うには公式リポジトリを追加し、AppStreamのモジュールと競合しないようにする必要がある。

1. MariaDB公式リポジトリセットアップスクリプトを取得する

Ubuntu版と同じスクリプトを使用する。RHEL系であることを自動判別し、DNF形式でリポジトリを設定してくれる。

# スクリプトを取得して実行権限を付与 curl -LsSO https://r.mariadb.com/downloads/mariadb_repo_setup chmod +x mariadb_repo_setup # MariaDB 11.4 LTSのリポジトリを追加(RHEL系を自動判別) sudo ./mariadb_repo_setup --mariadb-server-version="mariadb-11.4"

DNFリポジトリが追加されたことを確認する。

cat /etc/yum.repos.d/mariadb.repo

以下のような内容が確認できれば正常だ。

[mariadb] name = MariaDB Server baseurl = https://downloads.mariadb.com/MariaDB/mariadb-11.4/yum/rhel/$releasever/$basearch gpgkey = file:///etc/pki/rpm-gpg/MariaDB-Server-GPG-KEY gpgcheck = 1 enabled = 1

2. MariaDB 11.4 LTSをインストールする

OS付属のMariaDB(AppStream)と競合する場合があるため、dnf module disable でAppStream版を無効化してからインストールする。

# AppStreamのMariaDBモジュールを無効化(競合回避) sudo dnf module disable mariadb -y # MariaDB 11.4 LTSをインストール sudo dnf install MariaDB-server MariaDB-client -y

インストール後にrpm -qi でパッケージ情報を確認する。インストール済みパッケージの詳細確認にはrpm コマンドの使い方も参照してほしい。

rpm -qi MariaDB-server

以下のような出力が確認できれば成功だ。

Name : MariaDB-server Version : 11.4.4 Release : 1.el9 Architecture: x86_64 Install Date: Mon 08 Sep 2026 10:15:00 JST Group : Applications/Databases Size : 183457280 Summary : MariaDB: a very fast and robust SQL database server

3. サービスの起動と自動起動の設定

# 起動と自動起動を同時に設定 sudo systemctl enable --now mariadb # 起動状態を確認 sudo systemctl status mariadb

Active: active (running) と表示されれば正常稼働している。

mariadb-secure-installationで初期セキュリティ設定を行う

インストール直後のMariaDBは、匿名ユーザーやテストデータベースが残っている状態だ。mariadb-secure-installationを実行してこれらを除去する。Ubuntu/RHEL系どちらも同じ手順で実施できる。

1. mariadb-secure-installationを起動する

sudo mariadb-secure-installation

2. 各設定項目への回答(推奨設定)

対話形式で以下の設定が求められる。本番環境での推奨回答を示す。

Enter current password for root:(初回は空のままEnter)
Switch to unix_socket authentication:n(パスワード認証を継続したい場合はn。ソケット認証のみでよい場合はY)
Change the root password:Y → rootパスワードを設定する(本番機では必ず設定する)
Remove anonymous users:Y(匿名ユーザーは必ず削除する)
Disallow root login remotely:Y(rootのリモートログインは原則禁止にする)
Remove test database and access to it:Y(テストDBは削除する)
Reload privilege tables now:Y(変更を即時反映する)

設定完了後、MariaDBにログインして動作を確認する。

sudo mariadb -u root -p

ログイン後、データベース一覧を確認する。testデータベースが表示されなければ除去完了だ。

MariaDB [(none)]> SHOW DATABASES; +--------------------+ | Database | +--------------------+ | information_schema | | mysql | | performance_schema | +--------------------+ 3 rows in set (0.001 sec)

バージョン固定:誤アップグレードを防ぐ設定

MariaDBを11.4系に固定し、誤ってメジャーバージョンが上がらないようにする。apt upgrade や dnf upgrade を実行した際に意図せず12系等へ更新されるのを防ぐための重要な設定だ。

Ubuntu/Debian:apt-mark holdで固定する

# mariadb関連パッケージをholdに設定 sudo apt-mark hold mariadb-server mariadb-client mariadb-common # hold状態を確認 apt-mark showhold

以下のように表示されれば固定完了だ。

mariadb-client mariadb-common mariadb-server

holdを解除してアップグレードする際は sudo apt-mark unhold mariadb-server mariadb-client mariadb-common を実行してから sudo apt upgrade を行う。

Rocky Linux / AlmaLinux:dnf versionlockで固定する

# versionlockプラグインをインストール sudo dnf install 'dnf-command(versionlock)' -y # MariaDB関連パッケージを現バージョンで固定 sudo dnf versionlock add MariaDB-server MariaDB-client MariaDB-shared # 固定状態を確認 sudo dnf versionlock list

ロックを解除してアップグレードする際は sudo dnf versionlock delete MariaDB-server を実行してから sudo dnf upgrade を行う。

インストール後の動作確認

ポート3306がLISTENしていることをssコマンドで確認する。ポートの確認方法の詳細はLinux ポート確認の全コマンドで解説している。

# ssコマンドでポート3306の待ち受けを確認 ss -tlnp | grep 3306

以下のような出力が得られれば正常だ。

LISTEN 0 80 0.0.0.0:3306 0.0.0.0:* users:(("mariadbd",pid=12345,fd=21))

トラブルシューティング:よくあるエラーと対処法

「ERROR 2002 (HY000): Can't connect to local MySQL server through socket」が出る

MariaDBサービスが起動していない場合に発生する。まずサービスの状態を確認する。

# サービスの状態を確認 sudo systemctl status mariadb # 起動していなければ起動する sudo systemctl start mariadb

それでも起動しない場合は、journalctlでエラーログを確認する。

sudo journalctl -u mariadb --since "5 minutes ago"

「Conflicting packages」でインストールが失敗する(Rocky Linux / AlmaLinux)

OS標準のMariaDB(AppStream)と競合している。インストール前に必ずAppStreamモジュールを無効化してから再試行する。

# AppStreamのMariaDBモジュールを無効化 sudo dnf module disable mariadb -y # 古いパッケージが残っている場合は除去してから再インストール sudo dnf remove mariadb mariadb-server -y sudo dnf install MariaDB-server MariaDB-client -y

「mariadb-secure-installation」が応答しない

MariaDBが起動していないと対話が始まらない。先に sudo systemctl start mariadb を実行してから再度試みる。

「GPG key retrieval failed」でリポジトリ追加が失敗する

GPGキーの取得に失敗している。ネットワーク設定やファイアウォールを確認し、downloads.mariadb.comへの通信が許可されていることを確認する。プロキシ環境下では環境変数にhttps_proxyを設定してからスクリプトを実行する。

MariaDB 11.4 LTSをLinuxへ導入する手順 まとめ

操作 Ubuntu(APT) Rocky Linux(DNF)
リポジトリ追加 sudo ./mariadb_repo_setup --mariadb-server-version="mariadb-11.4" sudo ./mariadb_repo_setup --mariadb-server-version="mariadb-11.4"
競合モジュール無効化 (不要) sudo dnf module disable mariadb -y
インストール sudo apt install mariadb-server -y sudo dnf install MariaDB-server -y
起動・自動起動 sudo systemctl enable --now mariadb sudo systemctl enable --now mariadb
初期セキュリティ設定 sudo mariadb-secure-installation sudo mariadb-secure-installation
バージョン固定 sudo apt-mark hold mariadb-server sudo dnf versionlock add MariaDB-server
OS標準リポジトリのMariaDBは古いバージョンが収録されていることが多い。公式リポジトリを使ってLTS版を指定すれば、Ubuntu/RHEL系を問わず同じ流れで11.4系を固定できる。mariadb-secure-installationを忘れずに実行し、匿名ユーザーとテストDBを除去してから運用を始めることが大切だ。

MariaDBのバックアップ設計やレプリケーション設定、パフォーマンスチューニングへ踏み込む際は、Linuxサーバー構築の「型」を体系的に学ぶことが近道だ。

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宮崎 智広

この記事を書いた人

宮崎 智広(みやざき ともひろ)

株式会社イーネットマーキュリー代表。現役のLinuxサーバー管理者として20年以上の実務経験を持ち、これまでに累計3,100名以上のエンジニアを指導してきたLinux教育のプロフェッショナル。「現場で本当に使える技術」を体系的に伝えることをモットーに、実践型のLinuxセミナーの開催や無料マニュアルの配布を通じてLinux人材の育成に取り組んでいる。

趣味は、キャンプにカメラ、トラウト釣り。好きな食べ物は、ラーメンにお酒。休肝日が作れない、酒量を減らせないのが悩み。最近、ドラマ「フライトエンジェル」を観て涙腺が崩壊しました。