クラウドシェルでLinuxコマンドを学ぶ方法|AWS・Googleのブラウザ環境で環境構築ゼロから始める入門ガイド

宮崎智広 この記事の監修:宮崎智広(Linux実務・教育歴20年以上・受講者3,100名超)
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クラウドシェルでLinuxコマンドを学ぶ方法|AWS・Googleのブラウザ環境で環境構築ゼロから始める入門ガイド

「Linuxを勉強したいけど、仮想マシンの設定が難しくて挫折した」
「WSL2のインストール中にエラーが出て、学習を始める前に疲れてしまった」

そんな経験はありませんか。

実は、ブラウザさえあればLinuxコマンドをすぐに実行できる環境が、無料で使えます。
AWSやGoogleが提供する「クラウドシェル」です。

この記事では、AWS CloudShellとGoogle Cloud Shellの使い方を、Linux完全初心者向けに解説します。
インストール不要・環境構築ゼロで、今日から本物のLinuxコマンドを実行できるようになります。

この記事のポイント

・ブラウザだけでLinux環境が使えるクラウドシェルが無料で利用可能
・AWS CloudShellとGoogle Cloud Shellの使い方と違いを初心者向けに解説
・基本コマンド(ls・cd・cat・grep)をクラウドシェルで実際に動かす手順を紹介
・WSL2や仮想マシンより先にクラウドシェルで練習する理由がわかる


「このままじゃマズい」と感じていませんか?
参考書を開く気力もない、同年代に取り残される不安——
でも安心してください。プロのエンジニアはコマンドを暗記していません。
「現場で使える型」を効率よく使いこなしているだけです。
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クラウドシェルとは何か?初心者向けに解説

クラウドシェルとは、AWSやGoogleなどのクラウドサービスが提供する「ブラウザで使えるLinux端末」です。

普通、Linuxを使うには次のいずれかが必要です。

・WSL2(Windows上に仮想Linux環境をインストール)
・VirtualBox(仮想マシンを立ち上げてLinuxをインストール)
・レンタルサーバーやVPS(月額費用を払って借りる)

いずれも「環境を整えること」自体がハードルになります。

クラウドシェルは違います。
アカウントを持っているだけで、ブラウザから即座にLinuxのコマンドラインを使えます。

1. クラウドシェルのメリット

インストール不要
ブラウザからサービスにログインするだけで、Linuxのターミナルが開きます。
Windowsでも、MacでもChromebookでも同じ環境が使えます。

本物のLinuxが動いている
クラウドシェルの中身は本物のLinux(多くはDebian/Ubuntu系)です。
練習した内容は、実際のサーバーでもそのまま使えます。

無料で使える
AWS CloudShellもGoogle Cloud Shellも、基本的な利用は無料です。
Googleは月50時間まで、AWSは時間制限なしで使えます。

設定ファイルが保存される
Google Cloud Shellは5GBのホームディレクトリが永続化されます。
セッションをまたいでファイルが消えないので、コマンドの練習内容を保存できます。

2. クラウドシェルのデメリット(事前に知っておくこと)

インターネット接続が前提です。
オフラインでは使えないため、出先でWi-Fiがない環境では使えません。

また、クラウドシェルはあくまで「練習環境」です。
本格的なサーバー管理や、アプリケーションのデプロイが目的の場合は、VPSやEC2インスタンスが必要になります。
ただし、Linuxコマンドを覚える段階では、クラウドシェルで十分です。

AWS CloudShellの使い方

AWSのアカウントを持っている方は、AWS CloudShellが最も手軽です。
追加の設定なしでLinuxコマンドを試せます。

1. AWS CloudShellを開く

AWSマネジメントコンソール(https://console.aws.amazon.com/)にログインします。

画面右上のナビゲーションバーに、ターミナルのアイコンが表示されています。
このアイコンをクリックするだけで、画面下部にCloudShellが開きます。

または、上部の検索バーに「CloudShell」と入力して直接開くこともできます。

初回起動時は環境の準備に30秒ほどかかる場合があります。
プロンプトが表示されたら、Linuxコマンドを入力できます。

2. 最初に確認するコマンド

CloudShellが開いたら、まず現在の状態を確認しましょう。

# 現在のユーザー名を確認する whoami # 現在いるディレクトリを確認する pwd # OSの種類とバージョンを確認する cat /etc/os-release

実行すると、次のような出力が表示されます。

cloudshell-user /home/cloudshell-user NAME="Amazon Linux" VERSION="2023" ID="amzn" ID_LIKE="fedora" VERSION_ID="2023" PLATFORM_ID="platform:al2023"

CloudShellのユーザー名は cloudshell-user です。
OSはAmazon Linux 2023(RHEL/Fedora系)が動いています。

ここで覚えておきたいのは、「自分が今どこにいるか」を確認する pwd と、「自分は誰か」を確認する whoami の2コマンドです。
サーバー作業で迷ったら、まずこの2つを実行するのが現場でのルールです。

3. ファイル操作コマンドを試す

次に、基本的なファイル操作を試しましょう。

# ホームディレクトリのファイル一覧を表示する ls -la # テスト用ディレクトリを作成する mkdir linux-practice # 作成したディレクトリに移動する cd linux-practice # 現在地を確認する pwd # テスト用ファイルを作成する echo "Linux no renshu wo hajimemashita" > test.txt # ファイルの内容を表示する cat test.txt

実行結果の例です。

/home/cloudshell-user/linux-practice Linux no renshu wo hajimemashita

echo でファイルに文字を書き込み、cat で読み取る。
この組み合わせは、設定ファイルの内容確認など、実務で頻繁に使います。

4. AWS CloudShellの注意点

AWS CloudShellのホームディレクトリは、一定期間(120日間アクティビティがない場合)に削除されることがあります。
また、1リージョンにつき1つのCloudShell環境が割り当てられます。
東京リージョン(ap-northeast-1)で開いたCloudShellと、バージニアリージョンで開いたものは別環境です。

練習ファイルを長期保存したい場合は、Google Cloud Shellの方が適しています。

Google Cloud Shellの使い方

Googleアカウントさえあれば、Google Cloud Shellを無料で使えます。
AWSアカウントがない方にも最適です。

1. Google Cloud Shellを開く

ブラウザで https://console.cloud.google.com/ にアクセスします。
Googleアカウントでログインすると、Google Cloud Consoleが開きます。

初回利用時はプロジェクトの作成を求められますが、無料枠内で使えます。

画面右上のターミナルアイコン(「Cloud Shellをアクティブにする」)をクリックすると、画面下部にシェルが起動します。

また、ブラウザで直接 https://shell.cloud.google.com/ にアクセスする方法もあります。

2. Google Cloud Shellの特徴

Google Cloud ShellはDebian GNU/Linux上で動作します。
AWSのAmazon Linux 2023とは別のディストリビューションですが、基本的なLinuxコマンドは共通です。

# OSを確認する cat /etc/os-release # 利用可能なメモリを確認する free -h # CPUの情報を確認する nproc

実行結果の例です。

PRETTY_NAME="Debian GNU/Linux 11 (bullseye)" NAME="Debian GNU/Linux" VERSION_ID="11" VERSION="11 (bullseye)" total used free shared buff/cache available Mem: 1.7Gi 394Mi 823Mi 24Ki 524Mi 1.2Gi Swap: 0B 0B 0B 2

メモリ1.7GB、2コアのサーバーが割り当てられています。
これは実際の小規模VPSと同等のスペックです。

3. ホームディレクトリの永続化

Google Cloud Shellの最大の強みは、ホームディレクトリ(/home/ユーザー名)が5GBまで永続化されることです。
セッションを終了してもファイルが消えません。

# ホームディレクトリの使用量を確認する du -sh ~/ # 練習用のディレクトリを作成する mkdir -p ~/linux-study/scripts # ディレクトリ構造を確認する ls -la ~/linux-study/

作成したファイルは翌日以降もそのまま残っています。
学習ノート代わりにファイルを保存しながら進められるのが、Google Cloud Shellの大きなメリットです。

クラウドシェルで覚えるべき基本コマンド10選

クラウドシェルを手に入れたら、次は基本コマンドを実際に動かして覚えましょう。
以下の10コマンドは、Linuxのどのディストリビューションでも共通して使えます。

1. ディレクトリ・ファイルの確認系

# 現在のディレクトリを表示する(Print Working Directory) pwd # ファイルとディレクトリの一覧を表示する(-a=隠しファイル含む、-l=詳細表示) ls -al # ファイルの内容を表示する cat /etc/hostname # ファイルの末尾をリアルタイムで表示する tail -f /var/log/syslog

2. ファイル操作系

# ファイルをコピーする cp test.txt test-backup.txt # ファイルを移動・リネームする mv test-backup.txt backup/test-backup.txt # ファイルを削除する(-i で確認あり) rm -i test-backup.txt # ディレクトリを作成する mkdir new-directory

3. 検索・フィルタ系

# ファイル内の文字列を検索する(-n=行番号表示、-i=大文字小文字無視) grep -n "error" /var/log/syslog # ディレクトリ以下を再帰的に検索する grep -r "linux-practice" ~/ # ファイルを名前で検索する find ~/ -name "*.txt" -type f

これらのコマンドは、クラウドシェルで実際に入力して動かすことで体に染み込みます。
「マニュアルを読むだけ」では身につきません。
手を動かしながら覚えるのがLinux上達の最短ルートです。

クラウドシェルとWSL2の使い分け

クラウドシェルを使えば、WSL2は不要なのでしょうか。
結論から言うと、学習の目的によって使い分けが変わります。
観点 クラウドシェル WSL2
セットアップ 不要(ブラウザのみ) インストール作業が必要
オフライン利用 不可 可能
ディストリビューション AWS=Amazon Linux / Google=Debian Ubuntu・Debian等を選択可
ホームディレクトリ永続化 Google=5GB / AWS=制限あり ローカルディスク依存
GUI連携 不可 Windowsとファイル共有可
向いている場面 Linuxコマンド入門・クラウド学習 本格的な開発環境・ローカル作業
初心者にはクラウドシェルから始めることを強くおすすめします。
「環境を整えること」ではなく「Linuxコマンドを覚えること」に集中できるからです。

WSL2は、ある程度Linuxコマンドに慣れてから、ローカル開発環境として導入するのがスムーズです。

クラウドシェルで手を動かして覚える練習メニュー

以下の練習メニューを、クラウドシェルで実際に実行してみましょう。
順番に進めることで、ファイル操作の基本が身につきます。

練習1:ディレクトリ構造を探索する

# ルートディレクトリの構造を確認する ls / # 重要なディレクトリの中身を見る ls /etc/ | head -20 ls /var/log/ | head -10 # ホームディレクトリに戻る cd ~ pwd

Linuxの標準ディレクトリ(/etc・/var・/bin・/home)を実際に見ることで、「Linuxはこういう構造なんだ」と体感できます。

練習2:ファイルを作って読む

# 練習用ディレクトリを作る mkdir -p ~/practice/day01 # テキストファイルを作る(英数字で記録する) echo "Today I learned: ls, cd, cat" > ~/practice/day01/memo.txt echo "Next: grep, find" >> ~/practice/day01/memo.txt # ファイルの内容を確認する cat ~/practice/day01/memo.txt # 行数を数える wc -l ~/practice/day01/memo.txt

echo の > は「上書き」、>> は「追記」です。
この違いは、実務でのログ管理やスクリプト作成で必ず必要になる知識です。

練習3:grep でログを検索する

# システムログから「error」を含む行を検索する sudo grep -i "error" /var/log/syslog | tail -10 # 特定のプロセスのログだけ抽出する sudo grep "kernel" /var/log/syslog | tail -5 # ログの件数を数える sudo grep -c "error" /var/log/syslog

ログファイルの読み方は、Linuxを仕事で使う上で最も重要なスキルのひとつです。
クラウドシェルには実際のシステムログが記録されているため、本物のログを使って練習できます。

クラウドシェルで詰まったときの対処法

「Permission denied」が出た場合

一部のコマンドは管理者権限が必要です。
エラーが出たら、コマンドの先頭に sudo を付けて実行してみましょう。

# 権限エラーの例 cat /var/log/auth.log # cat: /var/log/auth.log: Permission denied と表示される場合 # sudo を付けて実行する sudo cat /var/log/auth.log

コマンドが見つからない(command not found)

クラウドシェルにインストールされていないコマンドを実行するとこのエラーが出ます。
Google Cloud Shell(Debian系)の場合は apt install、AWS CloudShell(Amazon Linux系)の場合は dnf install でインストールできます。

# Google Cloud Shell(Debian/Ubuntu系)でインストールする sudo apt-get install -y tree # AWS CloudShell(Amazon Linux系)でインストールする sudo dnf install -y tree # インストール後に実行する tree ~/practice/

プロンプトが動かなくなった(コマンドが終了しない)

tail -f や長い処理を止めるには、Ctrl + C を押します。
これはLinux操作の基本中の基本です。
端末が固まったと思ったら、まず Ctrl + C を試してください。

本記事のまとめ

クラウドシェルは、Linuxを始めたい初心者にとって最も敷居が低い練習環境です。
インストール不要・無料・本物のLinuxというメリットを活かして、コマンドを手で覚えましょう。
やりたいこと コマンド
現在地を確認する pwd
ファイル一覧を表示する ls -la
ディレクトリを移動する cd ディレクトリ名
ファイルの内容を表示する cat ファイル名
文字列を検索する grep -n キーワード ファイル名
ファイルを作成する echo テキスト > ファイル名
管理者権限で実行する sudo コマンド
コマンドを中断する Ctrl + C
クラウドシェルでコマンドに慣れたら、次のステップとして実務で使うスキルを身につけましょう。
以下の記事で、各テーマの実践的な使い方を解説しています。

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宮崎 智広

この記事を書いた人

宮崎 智広(みやざき ともひろ)

株式会社イーネットマーキュリー代表。現役のLinuxサーバー管理者として15年以上の実務経験を持ち、これまでに累計3,100名以上のエンジニアを指導してきたLinux教育のプロフェッショナル。「現場で本当に使える技術」を体系的に伝えることをモットーに、実践型のLinuxセミナーの開催や無料マニュアルの配布を通じてLinux人材の育成に取り組んでいる。

趣味は、キャンプにカメラ、トラウト釣り。好きな食べ物は、ラーメンにお酒。休肝日が作れない、酒量を減らせないのが悩み。最近、ドラマ「フライトエンジェル」を観て涙腺が崩壊しました。