クラウドシェルでLinuxコマンドを学ぶ方法|AWS・Googleのブラウザ環境で環境構築ゼロから始める入門ガイド
「Linuxを勉強したいけど、仮想マシンの設定が難しくて挫折した」「WSL2のインストール中にエラーが出て、学習を始める前に疲れてしまった」
そんな経験はありませんか。
実は、ブラウザさえあればLinuxコマンドをすぐに実行できる環境が、無料で使えます。
AWSやGoogleが提供する「クラウドシェル」です。
この記事では、AWS CloudShellとGoogle Cloud Shellの使い方を、Linux完全初心者向けに解説します。
インストール不要・環境構築ゼロで、今日から本物のLinuxコマンドを実行できるようになります。
この記事のポイント
・ブラウザだけでLinux環境が使えるクラウドシェルが無料で利用可能
・AWS CloudShellとGoogle Cloud Shellの使い方と違いを初心者向けに解説
・基本コマンド(ls・cd・cat・grep)をクラウドシェルで実際に動かす手順を紹介
・WSL2や仮想マシンより先にクラウドシェルで練習する理由がわかる
でも安心してください。プロのエンジニアはコマンドを暗記していません。
「現場で使える型」を効率よく使いこなしているだけです。
クラウドシェルとは何か?初心者向けに解説
クラウドシェルとは、AWSやGoogleなどのクラウドサービスが提供する「ブラウザで使えるLinux端末」です。普通、Linuxを使うには次のいずれかが必要です。
・WSL2(Windows上に仮想Linux環境をインストール)
・VirtualBox(仮想マシンを立ち上げてLinuxをインストール)
・レンタルサーバーやVPS(月額費用を払って借りる)
いずれも「環境を整えること」自体がハードルになります。
クラウドシェルは違います。
アカウントを持っているだけで、ブラウザから即座にLinuxのコマンドラインを使えます。
1. クラウドシェルのメリット
インストール不要ブラウザからサービスにログインするだけで、Linuxのターミナルが開きます。
Windowsでも、MacでもChromebookでも同じ環境が使えます。
本物のLinuxが動いている
クラウドシェルの中身は本物のLinux(多くはDebian/Ubuntu系)です。
練習した内容は、実際のサーバーでもそのまま使えます。
無料で使える
AWS CloudShellもGoogle Cloud Shellも、基本的な利用は無料です。
Googleは月50時間まで、AWSは時間制限なしで使えます。
設定ファイルが保存される
Google Cloud Shellは5GBのホームディレクトリが永続化されます。
セッションをまたいでファイルが消えないので、コマンドの練習内容を保存できます。
2. クラウドシェルのデメリット(事前に知っておくこと)
インターネット接続が前提です。オフラインでは使えないため、出先でWi-Fiがない環境では使えません。
また、クラウドシェルはあくまで「練習環境」です。
本格的なサーバー管理や、アプリケーションのデプロイが目的の場合は、VPSやEC2インスタンスが必要になります。
ただし、Linuxコマンドを覚える段階では、クラウドシェルで十分です。
AWS CloudShellの使い方
AWSのアカウントを持っている方は、AWS CloudShellが最も手軽です。追加の設定なしでLinuxコマンドを試せます。
1. AWS CloudShellを開く
AWSマネジメントコンソール(https://console.aws.amazon.com/)にログインします。画面右上のナビゲーションバーに、ターミナルのアイコンが表示されています。
このアイコンをクリックするだけで、画面下部にCloudShellが開きます。
または、上部の検索バーに「CloudShell」と入力して直接開くこともできます。
初回起動時は環境の準備に30秒ほどかかる場合があります。
プロンプトが表示されたら、Linuxコマンドを入力できます。
2. 最初に確認するコマンド
CloudShellが開いたら、まず現在の状態を確認しましょう。# 現在のユーザー名を確認する whoami # 現在いるディレクトリを確認する pwd # OSの種類とバージョンを確認する cat /etc/os-release
cloudshell-user /home/cloudshell-user NAME="Amazon Linux" VERSION="2023" ID="amzn" ID_LIKE="fedora" VERSION_ID="2023" PLATFORM_ID="platform:al2023"
OSはAmazon Linux 2023(RHEL/Fedora系)が動いています。
ここで覚えておきたいのは、「自分が今どこにいるか」を確認する pwd と、「自分は誰か」を確認する whoami の2コマンドです。
サーバー作業で迷ったら、まずこの2つを実行するのが現場でのルールです。
3. ファイル操作コマンドを試す
次に、基本的なファイル操作を試しましょう。# ホームディレクトリのファイル一覧を表示する ls -la # テスト用ディレクトリを作成する mkdir linux-practice # 作成したディレクトリに移動する cd linux-practice # 現在地を確認する pwd # テスト用ファイルを作成する echo "Linux no renshu wo hajimemashita" > test.txt # ファイルの内容を表示する cat test.txt
/home/cloudshell-user/linux-practice Linux no renshu wo hajimemashita
この組み合わせは、設定ファイルの内容確認など、実務で頻繁に使います。
4. AWS CloudShellの注意点
AWS CloudShellのホームディレクトリは、一定期間(120日間アクティビティがない場合)に削除されることがあります。また、1リージョンにつき1つのCloudShell環境が割り当てられます。
東京リージョン(ap-northeast-1)で開いたCloudShellと、バージニアリージョンで開いたものは別環境です。
練習ファイルを長期保存したい場合は、Google Cloud Shellの方が適しています。
Google Cloud Shellの使い方
Googleアカウントさえあれば、Google Cloud Shellを無料で使えます。AWSアカウントがない方にも最適です。
1. Google Cloud Shellを開く
ブラウザで https://console.cloud.google.com/ にアクセスします。Googleアカウントでログインすると、Google Cloud Consoleが開きます。
初回利用時はプロジェクトの作成を求められますが、無料枠内で使えます。
画面右上のターミナルアイコン(「Cloud Shellをアクティブにする」)をクリックすると、画面下部にシェルが起動します。
また、ブラウザで直接 https://shell.cloud.google.com/ にアクセスする方法もあります。
2. Google Cloud Shellの特徴
Google Cloud ShellはDebian GNU/Linux上で動作します。AWSのAmazon Linux 2023とは別のディストリビューションですが、基本的なLinuxコマンドは共通です。
# OSを確認する cat /etc/os-release # 利用可能なメモリを確認する free -h # CPUの情報を確認する nproc
PRETTY_NAME="Debian GNU/Linux 11 (bullseye)" NAME="Debian GNU/Linux" VERSION_ID="11" VERSION="11 (bullseye)" total used free shared buff/cache available Mem: 1.7Gi 394Mi 823Mi 24Ki 524Mi 1.2Gi Swap: 0B 0B 0B 2
これは実際の小規模VPSと同等のスペックです。
3. ホームディレクトリの永続化
Google Cloud Shellの最大の強みは、ホームディレクトリ(/home/ユーザー名)が5GBまで永続化されることです。セッションを終了してもファイルが消えません。
# ホームディレクトリの使用量を確認する du -sh ~/ # 練習用のディレクトリを作成する mkdir -p ~/linux-study/scripts # ディレクトリ構造を確認する ls -la ~/linux-study/
学習ノート代わりにファイルを保存しながら進められるのが、Google Cloud Shellの大きなメリットです。
クラウドシェルで覚えるべき基本コマンド10選
クラウドシェルを手に入れたら、次は基本コマンドを実際に動かして覚えましょう。以下の10コマンドは、Linuxのどのディストリビューションでも共通して使えます。
1. ディレクトリ・ファイルの確認系
# 現在のディレクトリを表示する(Print Working Directory) pwd # ファイルとディレクトリの一覧を表示する(-a=隠しファイル含む、-l=詳細表示) ls -al # ファイルの内容を表示する cat /etc/hostname # ファイルの末尾をリアルタイムで表示する tail -f /var/log/syslog
2. ファイル操作系
# ファイルをコピーする cp test.txt test-backup.txt # ファイルを移動・リネームする mv test-backup.txt backup/test-backup.txt # ファイルを削除する(-i で確認あり) rm -i test-backup.txt # ディレクトリを作成する mkdir new-directory
3. 検索・フィルタ系
# ファイル内の文字列を検索する(-n=行番号表示、-i=大文字小文字無視) grep -n "error" /var/log/syslog # ディレクトリ以下を再帰的に検索する grep -r "linux-practice" ~/ # ファイルを名前で検索する find ~/ -name "*.txt" -type f
「マニュアルを読むだけ」では身につきません。
手を動かしながら覚えるのがLinux上達の最短ルートです。
クラウドシェルとWSL2の使い分け
クラウドシェルを使えば、WSL2は不要なのでしょうか。結論から言うと、学習の目的によって使い分けが変わります。
| 観点 | クラウドシェル | WSL2 |
|---|---|---|
| セットアップ | 不要(ブラウザのみ) | インストール作業が必要 |
| オフライン利用 | 不可 | 可能 |
| ディストリビューション | AWS=Amazon Linux / Google=Debian | Ubuntu・Debian等を選択可 |
| ホームディレクトリ永続化 | Google=5GB / AWS=制限あり | ローカルディスク依存 |
| GUI連携 | 不可 | Windowsとファイル共有可 |
| 向いている場面 | Linuxコマンド入門・クラウド学習 | 本格的な開発環境・ローカル作業 |
「環境を整えること」ではなく「Linuxコマンドを覚えること」に集中できるからです。
WSL2は、ある程度Linuxコマンドに慣れてから、ローカル開発環境として導入するのがスムーズです。
クラウドシェルで手を動かして覚える練習メニュー
以下の練習メニューを、クラウドシェルで実際に実行してみましょう。順番に進めることで、ファイル操作の基本が身につきます。
練習1:ディレクトリ構造を探索する
# ルートディレクトリの構造を確認する ls / # 重要なディレクトリの中身を見る ls /etc/ | head -20 ls /var/log/ | head -10 # ホームディレクトリに戻る cd ~ pwd
練習2:ファイルを作って読む
# 練習用ディレクトリを作る mkdir -p ~/practice/day01 # テキストファイルを作る(英数字で記録する) echo "Today I learned: ls, cd, cat" > ~/practice/day01/memo.txt echo "Next: grep, find" >> ~/practice/day01/memo.txt # ファイルの内容を確認する cat ~/practice/day01/memo.txt # 行数を数える wc -l ~/practice/day01/memo.txt
この違いは、実務でのログ管理やスクリプト作成で必ず必要になる知識です。
練習3:grep でログを検索する
# システムログから「error」を含む行を検索する sudo grep -i "error" /var/log/syslog | tail -10 # 特定のプロセスのログだけ抽出する sudo grep "kernel" /var/log/syslog | tail -5 # ログの件数を数える sudo grep -c "error" /var/log/syslog
クラウドシェルには実際のシステムログが記録されているため、本物のログを使って練習できます。
クラウドシェルで詰まったときの対処法
「Permission denied」が出た場合
一部のコマンドは管理者権限が必要です。エラーが出たら、コマンドの先頭に sudo を付けて実行してみましょう。
# 権限エラーの例 cat /var/log/auth.log # cat: /var/log/auth.log: Permission denied と表示される場合 # sudo を付けて実行する sudo cat /var/log/auth.log
コマンドが見つからない(command not found)
クラウドシェルにインストールされていないコマンドを実行するとこのエラーが出ます。Google Cloud Shell(Debian系)の場合は apt install、AWS CloudShell(Amazon Linux系)の場合は dnf install でインストールできます。
# Google Cloud Shell(Debian/Ubuntu系)でインストールする sudo apt-get install -y tree # AWS CloudShell(Amazon Linux系)でインストールする sudo dnf install -y tree # インストール後に実行する tree ~/practice/
プロンプトが動かなくなった(コマンドが終了しない)
tail -f や長い処理を止めるには、Ctrl + C を押します。これはLinux操作の基本中の基本です。
端末が固まったと思ったら、まず Ctrl + C を試してください。
本記事のまとめ
クラウドシェルは、Linuxを始めたい初心者にとって最も敷居が低い練習環境です。インストール不要・無料・本物のLinuxというメリットを活かして、コマンドを手で覚えましょう。
| やりたいこと | コマンド |
|---|---|
| 現在地を確認する | pwd |
| ファイル一覧を表示する | ls -la |
| ディレクトリを移動する | cd ディレクトリ名 |
| ファイルの内容を表示する | cat ファイル名 |
| 文字列を検索する | grep -n キーワード ファイル名 |
| ファイルを作成する | echo テキスト > ファイル名 |
| 管理者権限で実行する | sudo コマンド |
| コマンドを中断する | Ctrl + C |
以下の記事で、各テーマの実践的な使い方を解説しています。
関連記事 ~ ここから実践的なスキルを身につける
クラウドシェルでLinuxに慣れたら、次は実務レベルのスキルを身につけましょう。以下の7テーマで、現場で使えるLinuxスキルをステップアップできます。
・シェルスクリプト:set -xコマンドでシェルスクリプトをデバッグする方法 ~ スクリプトのトラブルを素早く解決する
・セキュリティ:fail2banコマンドでブルートフォース攻撃を自動ブロックする方法 ~ SSHの不正アクセスを防ぐ設定
・サーバー構築:systemctlコマンドでLinuxのサービスを管理する方法 ~ サービスの起動・停止・自動起動を制御する
・ネットワーク:nmcliコマンドでネットワーク接続を設定する方法 ~ 静的IPとDHCPの設定を実践で学ぶ
・ディスク管理:blkidコマンドでブロックデバイスのUUIDとラベルを確認する方法 ~ ディスク構成とfstab設定の基本
・現場Tips:loggerコマンドでシステムログに任意のメッセージを記録する方法 ~ スクリプトのデバッグをログで追跡する
・Linuxコマンド:jqコマンドでJSONを解析・加工する方法 ~ APIのレスポンスをクラウドシェルで処理する
無料の「Linuxサーバー構築入門マニュアル(図解60ページ)」をプレゼントしています。
クラウドシェルでコマンドの感覚をつかんだら、次は実際のサーバー構築を体系的に学びましょう。
無料マニュアルを受け取る >>
3,100名以上が実践した「型」を無料で公開中
プロのエンジニアはコマンドを暗記していません。
「現場で使える型」を効率よく使いこなしているだけです。
その「型」を図解60Pにまとめた入門マニュアルを、完全無料でプレゼントしています。
登録10秒/合わなければ解除3秒 / 詳細はこちら
- 前のページへ:LinuxでGitを使う入門|バージョン管理の基本と基本コマンドを初心者向けに解説
- この記事の属するカテゴリ:【Linux入門】初心者のための基礎知識・講座へ戻る

無料メルマガで学習を続ける
Linuxの実践スキルをメールで毎週お届け。
登録は1分、解除もいつでも可。
登録無料・いつでも解除できます