最初の一歩でつまずくと、Linuxが嫌いになってしまいますよね。インストール作業には「地雷」がいくつかあって、それを知らずに踏んでしまう初心者が後を絶ちません。
この記事では、Linux初心者がインストール前に知っておくべき基礎知識を体系的に解説します。ディストリビューションの選び方から、インストール方式の種類、パーティション基礎、デュアルブートの注意点、VirtualBox/WSL2でのお試し方法、初期設定の流れ、そしてよくあるトラブルまでを一通りカバーします。
この記事のポイント
・初心者にはUbuntu LTSかAlmaLinux 9が鉄板の選択肢
・デュアルブート前にWindowsのBitLockerとファストスタートを必ず無効化する
・最初の練習はVirtualBoxかWSL2で行うと環境を壊さず安全
・パーティション設計は「/ と /home を分けるかどうか」が最初の判断ポイント
でも安心してください。プロのエンジニアはコマンドを暗記していません。
「現場で使える型」を効率よく使いこなしているだけです。
ディストリビューションとは何か、どれを選ぶべきか
Linuxは「カーネル」と呼ばれるOS本体に、各種ツール・パッケージ管理・デスクトップ環境を組み合わせた「ディストリビューション(ディストロ)」という形で配布されています。Windows10やmacOSのように「Linuxを1種類ダウンロードする」のではなく、用途に応じて異なるディストロを選ぶのがLinuxの流儀です。主要なディストリビューションを目的別に整理すると以下のようになります。
| ディストロ | ベース | 向いている用途 | 初心者向け度 |
|---|---|---|---|
| Ubuntu LTS | Debian系 | デスクトップ・クラウド・学習 | ★★★★★ |
| Debian | Debian系 | 安定重視のサーバー | ★★★☆☆ |
| AlmaLinux 9 | RHEL系 | 企業サーバー・資格学習 | ★★★★☆ |
| Rocky Linux 9 | RHEL系 | 企業サーバー・RHEL互換 | ★★★★☆ |
| Fedora | RHEL系 | 最新技術の試験環境 | ★★★☆☆ |
| Arch Linux | 独立系 | カスタマイズ・上級者向け | ★☆☆☆☆ |
1. 学習目的ならUbuntu LTS一択
デスクトップでLinuxに慣れたい、クラウドで使いたい、プログラミング環境を整えたいという目的であれば、**Ubuntu LTS(Long Term Support)**を選んでおけば間違いありません。Ubuntu LTSのメリットはこれだけあります。
・日本語情報が最も豊富(検索して出てくるハマりどころの解決策がたいてい見つかる)
・AWS/GCP/Azureの仮想マシンでデフォルト選択肢になっている
・5年間のセキュリティサポート(LTS版)
・パッケージ数が多く、apt一発でたいていのツールが入る
2024年4月にリリースされたUbuntu 24.04 LTSが現時点での推奨バージョンです。
2. 仕事でRHEL系を使うならAlmaLinux 9
企業のサーバーはRHEL(Red Hat Enterprise Linux)やそのクローンが圧倒的に多いです。Linux関連の資格(LPIC / RHCSA)を取りたい場合や、将来的に企業のサーバー管理者を目指す場合は、AlmaLinux 9かRocky Linux 9を選ぶのが正解です。CentOS 7/8のサポートが終了した今、AlmaLinux 9はRHELとのバイナリ互換を維持しつつ、2032年まで無償でサポートが受けられる最有力候補です。
インストール方式を選ぶ(USB/DVD/PXE/仮想環境)
Linuxのインストール方式は大きく4種類あります。状況に応じて使い分けてください。| 方式 | メリット | デメリット | おすすめ度 |
|---|---|---|---|
| USBブート | 手軽・ほぼすべてのPCで動作 | USBメモリが必要(8GB以上推奨) | ★★★★★ |
| DVDブート | 昔からある定番 | DVDドライブが必要・書き込みが面倒 | ★★☆☆☆ |
| PXEブート | 複数台を一斉インストール可能 | ネットワーク設定が必要・上級者向け | ★★☆☆☆ |
| 仮想環境(VirtualBox/WSL2) | 本体PCに影響なし・失敗しても即削除 | ハードウェアアクセスに制限あり | ★★★★★(初心者に最推奨) |
1. USBブートメディアの作り方(実機インストール前準備)
ISOファイルをUSBメモリに書き込むには **Rufus**(Windows)または **balenaEtcher**(Windows/Mac/Linux)を使います。注意点として、ISOファイルをUSBにそのままコピーしても起動しません。必ずブータブルメディア作成ツールを使ってください。Rufusの設定ではパーティションスキームを「GPT」、ターゲットシステムを「UEFI(非CSM)」に設定するのが現代のPC向けの標準です。
2. BIOSでの起動順変更
USBメモリからブートするには、PC起動時に特定のキー(F2・F10・Del・Esc などは機種によって異なる)を押してBIOS/UEFI設定画面に入り、起動優先順位をUSBメモリに変更します。パーティション設計の基礎
パーティションはディスクを論理的に分割したものです。初心者がよく迷うのが「どう分けるか」です。1. 最低限必要なパーティション(UEFI環境)
# UEFI環境での推奨パーティション構成(例:256GB SSD) /boot/efi 200MB FAT32 EFIシステムパーティション(必須) /boot 1GB ext4 カーネル・initramfsを格納 swap 4GB swap RAMの1~2倍を目安 / 残り ext4 ルートファイルシステム(全てここに収まる)
2. /home を分けるメリットとデメリット
・/home を分けるメリット:OS再インストール時にユーザーデータをそのまま引き継げる・/home を分けるデメリット:/ が容量不足になっても /home から融通できない
サーバー用途では `/var`(ログが溜まるディレクトリ)を分けることが多いですが、学習用の最初の1台はシンプルに「/boot/efi + / + swap」の3パーティションで始めることをお勧めします。
パーティションの詳細な確認方法はmount コマンドの使い方も参照してください。
デュアルブートの手順と注意点
Windowsが入ったPCにLinuxを追加インストールする「デュアルブート」は、手順を間違えるとWindowsが起動しなくなる危険な作業です。20年以上のサーバー運用経験の中でも、デュアルブート失敗によるデータ消失の相談を数多く受けてきました。必ず以下の事前準備を行ってください。1. 事前準備(これをしないと後悔する)
・BitLocker を無効化する:BitLockerが有効だとLinuxインストーラーがWindowsパーティションを正しく認識できない場合があります。コントロールパネル > BitLockerドライブ暗号化 から無効化してください・ファストスタートアップを無効化する:Windowsが完全にシャットダウンされず、パーティションがロックされたままになります。電源オプション > 電源ボタンの動作 > 高速スタートアップを有効にする のチェックを外してください
・Windowsのバックアップを取る:パーティション操作は不可逆な場合があります。重要なデータは外付けHDDやクラウドにバックアップを
・回復ドライブを作成する:WinREで対応できる問題もあります。8GB以上のUSBメモリで「回復ドライブの作成」を実行しておく
2. GRUBのインストール先
Linuxインストーラーの最終段階で「ブートローダーのインストール先」を選ぶ画面が出ます。EFIシステムパーティション(/dev/sda1 などのFAT32パーティション)を選んでください。Windowsのシステムパーティションに誤って上書きしないよう、慎重に確認します。3. GRUB2による起動メニューの確認
インストール後に再起動すると、GRUB2のメニューが表示されます。「Ubuntu(またはLinux)」と「Windows Boot Manager」の2行が表示されていれば成功です。デフォルトの起動OSはGRUBの設定ファイルで変更できます。# GRUBデフォルト設定の確認 cat /etc/default/grub | grep GRUB_DEFAULT # GRUB_DEFAULT=0 の番号を変更してから以下を実行 sudo update-grub # Ubuntu/Debian系 sudo grub2-mkconfig -o /boot/grub2/grub.cfg # RHEL系
VirtualBox/WSL2でお試し(実機を汚さない安全な方法)
初心者に強くお勧めするのが、まず仮想環境でLinuxを体験することです。失敗しても仮想マシンを削除するだけなので、本体PCのWindowsには一切影響しません。1. VirtualBoxで仮想マシンを作る(Linux独立環境)
VirtualBoxはOracle製の無料仮想化ソフトウェアで、Windows・Mac・Linuxで動作します。・VirtualBox公式サイト(virtualbox.org)からインストーラーをダウンロード
・「新規」からLinux仮想マシンを作成(メモリ2GB以上・ストレージ20GB以上を推奨)
・ダウンロードしたISOをストレージ(光学ドライブ)にマウントして起動
・通常のインストール手順でLinuxを導入する
Guest Additionsをインストールすると、クリップボード共有・解像度の自動調整・共有フォルダが使えるようになり、作業効率が大幅に向上します。
2. WSL2で手軽にLinuxコマンドを使う(Windows統合型)
WSL2(Windows Subsystem for Linux 2)はWindows 10/11に組み込まれたLinux実行環境です。仮想マシンの起動なしにLinuxコマンドが使えるため、学習用として非常に便利です。# PowerShellを管理者権限で開いてWSL2をインストール(Windows 10 バージョン2004以降) wsl --install # デフォルトはUbuntuがインストールされる # インストール後、PCを再起動してUbuntuを起動 # インストール可能なディストリビューションの一覧 wsl --list --online # 特定のディストロを指定してインストール wsl --install -d AlmaLinux-9
ただし、WSL2はLinuxカーネルをそのまま実行しているわけではなく、仮想化レイヤーを介しているため、カーネルパラメータ変更やデバイスドライバーの動作確認には向きません。本格的なサーバー運用の練習にはVirtualBoxか実機環境を使いましょう。
インストール後の初期設定の流れ
Linuxをインストールしたら、まず以下の初期設定を行います。インストール直後の状態で設定しておかないと、後で面倒なことになるポイントです。1. システムのアップデート(最優先)
# Ubuntu/Debian系 sudo apt update && sudo apt upgrade -y # AlmaLinux/Rocky Linux/RHEL系 sudo dnf update -y
2. タイムゾーンとロケールの設定
# タイムゾーンをAsia/Tokyoに設定 sudo timedatectl set-timezone Asia/Tokyo # 設定を確認 timedatectl # ロケール設定(Ubuntu) sudo locale-gen ja_JP.UTF-8 sudo update-locale LANG=ja_JP.UTF-8
3. SSHサーバーの有効化(リモート接続する場合)
# SSH サーバーのインストール(Ubuntu) sudo apt install -y openssh-server # SSH サービスの起動と自動起動設定 sudo systemctl enable --now ssh # AlmaLinux/Rocky の場合(通常デフォルトでインストール済み) sudo systemctl enable --now sshd
4. ファイアウォールの基本設定
# Ubuntu: ufw でSSH許可 sudo ufw allow ssh sudo ufw enable # RHEL系: firewalld でSSH確認(デフォルトで許可済み) sudo firewall-cmd --list-services --permanent
よくあるトラブルと対処法
「起動時にWindowsが選べなくなった」
GRUBにWindows Boot Managerが表示されない場合、GRUBを更新すると解決することが多いです。# Ubuntu/Debianの場合(Linuxを起動した状態で実行) sudo os-prober # Windowsを検出できるか確認 sudo update-grub # GRUB設定を再生成 # os-proberが入っていない場合 sudo apt install os-prober
「インストーラーがディスクを認識しない」
NVMe SSDをIntelのRSTモード(RAID mode)で使用している場合、LinuxインストーラーはNVMeドライブを認識できません。BIOS設定でストレージコントローラーを「AHCI」または「NVMe」モードに変更してください。変更するとWindowsが起動しなくなる場合があるため、事前にWindowsを「セーフモード経由でAHCIドライバーをインストール」する手順が必要です。「Secure Bootが有効でLinuxが起動しない」
最新のUbuntu LTSはSecure Bootに対応していますが、一部のディストロはShimが署名されていないためSecure Bootを無効化する必要があります。BIOS/UEFI設定のSecurityセクションからSecure Bootを「Disabled」に変更してください。「画面が真っ黒でGUIが起動しない(ドライバー問題)」
NVIDIAのGPUを搭載しているPCでオープンソースドライバー(Nouveau)との相性問題が起きることがあります。# Ubuntu: NVIDIAプロプライエタリドライバーのインストール sudo ubuntu-drivers autoinstall # または手動でバージョンを指定 sudo apt install nvidia-driver-550 sudo reboot
本記事のまとめ
Linuxのインストール前に知っておくべき基礎知識をまとめます。| やりたいこと・知りたいこと | 結論・参照先 |
|---|---|
| どのディストロを選ぶか(学習・デスクトップ) | Ubuntu 24.04 LTS(apt管理・情報豊富) |
| どのディストロを選ぶか(サーバー・RHEL互換) | AlmaLinux 9(CentOS後継・2032年サポート) |
| インストール方式 | 初心者はVirtualBoxかWSL2からスタート |
| デュアルブート前の必須準備 | BitLocker無効化・ファストスタートアップ無効化 |
| パーティション構成(シンプル) | /boot/efi + / + swap の3パーティション |
| インストール後の最初の作業 | sudo apt update && sudo apt upgrade -y |
| GRUBにWindowsが出ない | os-prober + update-grub で再生成 |
| NVMe SSDが認識されない | BIOSでストレージモードをAHCIに変更 |
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