Azureのポータルでvm作成しようとすると、DシリーズだけでもSKUが数十種類以上並ぶ。末尾の「v3/v4/v5」「s」「d」「a」が何を意味するのか分からないまま選んでしまい、あとから「なぜこのSKUにしたのか」と問われて答えられない——そんな経験をした方は多いはずだ。
この記事では、AzureのDシリーズVM SKUの命名規則を体系的に解説し、Intel/AMD・ローカルSSD有無・世代ごとの性能差とコストを比較する。記事末尾のまとめテーブルでユースケース別の推奨SKUを一覧化しているので、SKU選定の根拠を持てるようになる。
この記事のポイント
・Dシリーズの末尾「a/s/d/v5」は機能の組み合わせを示す
・v5世代はv3比でコストパフォーマンスが約30%向上
・ローカルSSDが要否でSKUを「d付き」と分けて選ぶ
・AMD(a付き)は同スペックでIntelより約10%安い
でも安心してください。プロのエンジニアはコマンドを暗記していません。
「現場で使える型」を効率よく使いこなしているだけです。
AzureのDシリーズとは? — 汎用VM系列の全体像
AzureのVMはサイズファミリーで分類されており、Dシリーズは「汎用(General Purpose)」に位置する。Webサーバー・アプリサーバー・開発環境・中規模データベースなど、CPU・メモリのバランスが重要なワークロードで最も利用頻度が高いファミリーだ。vCPU 1コアあたりのメモリは4GB(例: D4s_v5 = vCPU4・メモリ16GB)。メモリ比率が8GB/vCPUのEシリーズ(メモリ最適化)、計算集約型のFシリーズとの使い分けで迷った場合は、まずDシリーズをベースラインにするとよい。
命名規則を読む — 「a」「s」「d」「v5」が意味するもの
Standard_D4as_v5 を例に、各パーツを分解する。| 記号 | 意味 | 具体例 |
|---|---|---|
| D | 汎用(General Purpose)ファミリー | D2s_v5, D4s_v5… |
| 数字 | vCPUコア数 | D4s = 4vCPU |
| a | AMDプロセッサ(EPYC)を使用 | D4as_v5 |
| s | Premium SSD(Managed Disk)対応 | D4s_v5 |
| d | ローカルNVMe SSD搭載(一時ストレージ) | D4ds_v5 |
| _vN | 世代(v3 → v4 → v5と新しくなる) | _v5が現在の最新世代 |
つまり Standard_D4ads_v5 は「AMDプロセッサ・Premium SSD対応・ローカルNVMe搭載・第5世代・4vCPU」を意味する。この命名規則を理解すれば、知らないSKUを見ても仕様を読み解けるようになる。
Dシリーズの主なバリアント比較
1. Intel版 vs AMD版(a付き)— プロセッサの選択
v5世代時点では以下の対応関係になる。・D4s_v5(Intel Xeon Platinum 8370C): vCPU4 / メモリ16GB / ローカルSSDなし
・D4as_v5(AMD EPYC 7763v): vCPU4 / メモリ16GB / ローカルSSDなし
スペックは同等だが価格がAMD版で約10%安い(東日本リージョン基準)。汎用Webアプリ・開発環境など、特定のプロセッサを前提としないワークロードならAMD版でコストを削れる。Intel版が有利なのは、特定の命令セット(AVX-512等)を必要とするHPCや機械学習推論の一部ケースに限られる。
2. ローカルSSD付き(d付き)vs なし
「d」が付くSKU(例: D4ds_v5)はローカルNVMe SSDを持つ。・d付き: 一時ストレージ(/dev/sdb または NVMeデバイス)として使えるが、VM停止・割り当て解除でデータは消える。スワップ領域・ページファイル・一時キャッシュ用途向き
・d無し: 一時ストレージなし。Managed Diskのみ使用。VM停止してもデータ保持が必要なケースはこちら
よくある間違いは「dが付いているから高性能」と思い込み、一時ストレージを本番データの保管先に使ってしまうことだ。VM割り当て解除のたびにデータが消えるため、絶対にやめること。
3. 世代別(v3 → v4 → v5)の性能差
同じvCPU数で比較すると、世代が新しいほどACU(Azure Compute Unit)が高く、価格も多少変わる。| 世代 | 代表プロセッサ | D4s 価格感(東日本・概算) | 特記 |
|---|---|---|---|
| v3 | Intel Broadwell/Haswell | 約¥16,500/月 | 旧世代・新規採用非推奨 |
| v4 | Intel Ice Lake | 約¥17,000/月 | v5移行期の過渡世代 |
| v5 | Intel Sapphire Rapids | 約¥17,500/月 | 現行推奨・ACU最大 |
| v5(AMD) | AMD EPYC 7763v | 約¥15,700/月 | コスパ最良・汎用向け |
価格は変動するため、実際は Azure料金計算ツール や az vm list-skus で最新値を確認すること。
Azure CLIでSKU情報を確認する実践手順
1. 利用可能なDシリーズSKUを一覧表示する
# 東日本リージョンでDシリーズのSKU一覧を取得 az vm list-skus --location japaneast --query "[?contains(name, 'Standard_D') && resourceType == 'virtualMachines'].{Name:name,Tier:tier}" --output table | head -30
Name Tier ------------------ -------- Standard_D2s_v3 Standard Standard_D4s_v3 Standard Standard_D2s_v4 Standard Standard_D4s_v4 Standard Standard_D2s_v5 Standard Standard_D4s_v5 Standard Standard_D2as_v5 Standard Standard_D4as_v5 Standard Standard_D2ds_v5 Standard Standard_D4ds_v5 Standard Standard_D2ads_v5 Standard Standard_D4ads_v5 Standard
2. 特定SKUのvCPU・メモリ・一時ストレージを確認する
# Standard_D4s_v5 の capabilities を確認 az vm list-skus --location japaneast --size Standard_D4s_v5 \ --output json | jq '.[0].capabilities[] | select(.name == "vCPUs" or .name == "MemoryGB" or .name == "MaxDataDiskCount")'
# 出力例 { "name": "vCPUs", "value": "4" } { "name": "MemoryGB", "value": "16" } { "name": "MaxDataDiskCount", "value": "8" }
3. D4as_v5でLinux VMを作成する
コストパフォーマンスを優先するならAMD版のD4as_v5が現在の推奨だ。# リソースグループ作成 az group create --name rg-vm-prod --location japaneast # D4as_v5でLinux VMを作成 az vm create \ --resource-group rg-vm-prod \ --name vm-app-01 \ --image Ubuntu2204 \ --size Standard_D4as_v5 \ --admin-username azureuser \ --generate-ssh-keys \ --public-ip-sku Standard # 作成したVMのサイズ確認 az vm show --resource-group rg-vm-prod --name vm-app-01 \ --query "{size:hardwareProfile.vmSize,os:storageProfile.osDisk.osType}" --output table
# az vm show の出力例 Os Size ------ ------------------ Linux Standard_D4as_v5
ユースケース別SKU選定ガイド
選定の迷いを減らすために、代表的なユースケースと推奨SKUをまとめる。| ユースケース | 推奨SKU | 理由 |
|---|---|---|
| 汎用WebアプリServer | Standard_D4as_v5 | コスパ最良・AMD・Premium SSD対応 |
| 一時キャッシュが必要なアプリ | Standard_D4ads_v5 | AMD+ローカルNVMe SSD搭載 |
| 特定ISVライセンス(Intel指定) | Standard_D4s_v5 | Intel Sapphire Rapidsで命令互換性確保 |
| コスト重視・開発/検証環境 | Standard_D2as_v5 | 最小構成のAMD版で安価に抑える |
| 既存v3環境のリフト&シフト | Standard_D4as_v5 | v3比でACU向上・コスト同等以下 |
よくある選定ミスとトラブルシュート
【注意】ローカルSSDをデータ保管に使ってしまう
d付きSKUのローカルSSDは一時ストレージだ。VM割り当て解除(az vm deallocate)を実行すると/dev/sdbのデータは消える。本番データベースのデータファイルやアプリケーションのストレージとして使ってはならない。一時ストレージは以下の用途だけに使うことを徹底すること。
・スワップ領域の拡張
・ビルドキャッシュ・CI/CDの一時ファイル
・Redisなど再生成可能なキャッシュデータ
【注意】リージョンによっては対象SKUが存在しない
SKUの提供状況はリージョンによって異なる。「Standard_D4as_v5 is not available in the region」エラーが出た場合は以下で確認する。# 特定SKUが指定リージョンで利用可能か確認 az vm list-skus --location japaneast --size Standard_D4as_v5 \ --query "[].restrictions" --output table
v3からv5へのサイズ変更は再起動が必要
稼働中のVMのサイズを変更する場合、v3→v5のように世代をまたぐ変更は基本的にVM再起動が必要だ。本番環境でのサイズ変更は必ずメンテナンス枠を設けてから実施すること。# VMサイズを変更する(再起動が必要な場合もある) az vm resize --resource-group rg-vm-prod --name vm-app-01 --size Standard_D4as_v5
本記事のまとめ
AzureのDシリーズVM SKU選定のポイントをまとめる。| 確認項目 | 判断基準 | 推奨 |
|---|---|---|
| プロセッサ | ISVライセンスや特定命令が不要か | AMD版で約10%コスト削減 |
| ローカルSSD | 一時キャッシュ用途のみなら「d」付き | 本番データ保管は絶対不可 |
| 世代 | 新規構築はv5一択 | v3は旧世代・新規非推奨 |
| 汎用Web/アプリサーバー | 特別な要件なし | Standard_D4as_v5 |
| 一時SSD+コスパ重視 | キャッシュ活用したい | Standard_D4ads_v5 |
AzureのVMコストは選ぶSKUで大きく変わる。命名規則を理解してSKUを選定できるようになれば、無駄なコストを払わずに要件に合った構成を組めるようになる。AzureのLinuxサーバー構築を体系的に学ぶなら、Azure LP対応のLinuxMasterセミナーもあわせて確認してほしい。
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