MySQLの最新バージョンとLTSリリースの選び方|8.0のサポート終了に備えた移行時期の見極めと確認コマンド

宮崎智広 この記事の監修:宮崎智広(Linux実務・教育歴20年以上・受講者3,100名超)
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「いま稼働しているLinuxサーバーのMySQLが何バージョンか、確認する方法が分からない」
「MySQL 8.0 はサポートが終了したと聞いたが、8.4 LTS と 9.x イノベーションリリースのどちらを選べばいいのか」

こうした疑問を持つLinuxサーバー管理者は多いはずです。MySQLは2024年以降、リリーストラックがLTS(長期サポート版)とイノベーション版の2本立てに移行しました。これを知らないまま「最新版」を追うと、サポート期間が予想より短くなるリスクがあります。

この記事では、LinuxサーバーでMySQLの現在のバージョンを確認するコマンドと、LTSリリースとイノベーションリリースの選定基準を、Rocky Linux 9.4 / Ubuntu 24.04 LTS での実機出力例を交えて解説します。

この記事のポイント

・mysql --version はクライアント、mysqladmin version はサーバーのバージョンを示す
・MySQL 8.0 は 2026年4月にEOL済み。今から採用するなら 8.4 LTS が第一選択
・安定運用なら 8.4 LTS(2032年サポート)、最新機能なら 9.x イノベーションを選ぶ
・rpm -qa でパッケージ単位のバージョンも確認でき、複数パッケージの混在を検出できる


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MySQLのリリーストラックとは — LTS版とイノベーション版の違い

MySQLは2024年以降、リリースモデルを「LTS+イノベーション」の2トラック制に移行しました。

LTS(Long-Term Support)版:安定性優先。Premier Support 4年+Extended Support 4年の最大8年サポート。本番環境の推奨トラック
イノベーション版:新機能を先取りできるが、次のイノベーションリリースが出るまでしかサポートされない。機能検証・開発環境向け

2026年9月時点のサポート状況は以下のとおりです。

バージョン 種別 Premier Support 終了 Extended Support 終了
MySQL 8.0 旧安定版 2026年4月(EOL済み) EOL済み
MySQL 8.4 LTS 2028年4月 2032年4月
MySQL 9.x イノベーション 次リリースまで なし
MySQL 8.0 はすでにEOL(End of Life)を迎えており、セキュリティパッチも原則として提供されません。新規構築・移行の第一選択はMySQL 8.4 LTSです。

LinuxサーバーでMySQLの現在のバージョンを確認するコマンド

移行判断の出発点は、既存サーバーのバージョンを正確に把握することです。確認には複数の方法があり、それぞれ異なる情報を返します。

1. mysql コマンドでバージョンを確認する

最も手軽な方法は mysql コマンドの --version オプションです。

# クライアントのバージョンを表示 mysql --version

Rocky Linux 9.4 + MySQL 8.4.3 での出力例:

mysql Ver 8.4.3 Distrib 8.4.3, for Linux (x86_64) using EditLine wrapper

重要な注意点:このコマンドが返すのはクライアント(mysql コマンド自体)のバージョンです。サーバーと異なるバージョンのクライアントを使っている場合、稼働しているサーバーのバージョンと一致しないことがあります。

2. mysqladmin version でサーバーのバージョンを確認する

稼働中の mysqld サーバーのバージョンを確認するには mysqladmin version を使います。rootパスワードが必要です。

# サーバーに接続してバージョンを取得 mysqladmin -u root -p version

実行結果の例:

mysqladmin Ver 10.10 Distrib 8.4.3, for Linux on x86_64 Copyright (c) 2000, 2024, Oracle and/or its affiliates. Server version 8.4.3 Protocol version 10 Connection Localhost via UNIX socket UNIX socket /var/lib/mysql/mysql.sock Uptime: 4 days 7 hours 12 min 8 sec Threads: 3 Questions: 8472 Slow queries: 0 Opens: 215 Flush tables: 3 Open tables: 134 Queries per second avg: 0.022

「Server version」の行が実際に稼働している mysqld のバージョンです。mysql --version(クライアント版数)と突き合わせて、両者が揃っているかも確認してください。

3. rpm・dpkg でインストール済みパッケージとして確認する

パッケージマネージャーで確認すると、インストールされたファイル一式のバージョンと出所(公式リポジトリかOS同梱か)が分かります。

Rocky Linux 9 / RHEL 9(RPM系)の場合:

# MySQL 関連パッケージを一覧表示 rpm -qa | grep -i mysql

出力例(MySQL公式リポジトリからインストール済みの場合):

mysql-community-common-8.4.3-1.el9.x86_64 mysql-community-client-plugins-8.4.3-1.el9.x86_64 mysql-community-libs-8.4.3-1.el9.x86_64 mysql-community-client-8.4.3-1.el9.x86_64 mysql-community-icu-data-files-8.4.3-1.el9.x86_64 mysql-community-server-8.4.3-1.el9.x86_64

パッケージ名の数値部分(8.4.3-1.el9)がバージョンとビルドリビジョンです。rpm コマンドの使い方では、rpm -qi で個別パッケージの詳細情報を取得する方法も解説しています。

Ubuntu 24.04 LTS(deb系)の場合:

# mysql-server パッケージのバージョンを確認 dpkg -l 'mysql-server*'

出力例(MySQL公式APTリポジトリ使用時):

Desired=Unknown/Install/Remove/Purge/Hold | Status=Not/Inst/Conf-files/Unpacked/halF-conf/Half-inst/trig-aWait/Trig-pend |/ Err?=(none)/Reinst-required (Status,Err: uppercase=bad) ||/ Name Version Architecture Description +++-======================-================-============-================================== ii mysql-server 8.4.3-1ubuntu24 amd64 MySQL Server meta package

MySQL 8.0 EOL後の移行先選定 — 8.4 LTSか9.xイノベーションか

1. 安定運用環境には MySQL 8.4 LTS を選ぶ

本番 Webサービス・基幹業務システム・商用環境には MySQL 8.4 LTS を選んでください。理由は明確です。

・Extended Support が 2032年4月まであり、長期運用の計画が立てやすい
・MySQL 8.0 からの移行はSQL構文互換性が高く、アプリ改修コストが低い
・セキュリティパッチが安定的に提供される
・MySQL公式リポジトリで LTS を明示指定してインストールできる

2. 最新機能を試したいなら MySQL 9.x イノベーションを選ぶ

次期アプリ開発の検証環境や、ベクトルデータ型・AI関連の新機能を先取りしたい場合は MySQL 9.x イノベーションが候補になります。

・四半期ごとに新機能が追加される最速トラック
・ただし次のリリースが出るまでしかサポートされないため、本番長期運用には不向き
・開発環境・検証環境・PoC用途に限定するのが現場の定石

3. 現在のバージョンがEOL対象かどうかを判定する手順

mysqladmin version の「Server version」行から、EOL状況を判定します。

# サーバーのバージョンをワンライナーで取得 mysqladmin -u root -p version 2>/dev/null | grep "Server version"

判定基準:

5.7.x 以下:完全EOL済み。即時移行が必要
8.0.x:2026年4月にEOL済み。速やかに 8.4 LTS へ移行
8.4.x:LTS。2032年4月までサポート。現在の推奨版
9.0.x ~ 9.x:イノベーション版。次リリースでサポート終了を確認のうえ運用

MySQL公式リポジトリで特定バージョンをインストールする手順

OS同梱のMySQLはバージョンが古いことが多いため、本番環境ではMySQL公式リポジトリを使ってバージョンを明示指定します。

1. Rocky Linux 9 / RHEL 9 への MySQL 8.4 LTS インストール

# AppStream の mysql モジュールを無効化(OS同梱版との競合を防ぐ) sudo dnf module disable mysql -y # MySQL 公式リポジトリを追加 sudo rpm -Uvh https://dev.mysql.com/get/mysql84-community-release-el9-1.noarch.rpm # キャッシュを更新してリポジトリを確認 sudo dnf clean all sudo dnf repolist | grep mysql # MySQL 8.4 LTS をインストール sudo dnf install mysql-community-server -y # サービスを起動して自動起動を設定 sudo systemctl enable --now mysqld # インストール後のバージョン確認 mysql --version mysqladmin -u root -p version | grep "Server version"

初回起動時の一時パスワードは以下で取得できます。

# 一時パスワードの確認(初回のみ) sudo grep 'temporary password' /var/log/mysqld.log

2. Ubuntu 24.04 LTS への MySQL 8.4 インストール

# MySQL APT リポジトリ設定パッケージを取得してインストール wget https://dev.mysql.com/get/mysql-apt-config_0.8.33-1_all.deb sudo dpkg -i mysql-apt-config_0.8.33-1_all.deb # ダイアログで「MySQL 8.4 LTS」を選択して OK # パッケージリストを更新 sudo apt-get update # MySQL Server をインストール sudo apt-get install mysql-server -y # バージョン確認 mysqladmin -u root -p version

インストール後は必ず mysqladmin versionサーバー側のバージョンが意図どおりかを確認してください。

トラブルシュート — バージョン確認・インストール時の落とし穴

mysql --version がサーバーと異なるバージョンを返す

サーバーを 8.4 に更新したのに mysql --version が 8.0 を返す場合は、クライアントパッケージだけ古いままの可能性があります。

# クライアントとサーバーのバージョンを比較する echo "=== Client ===" mysql --version echo "=== Server ===" mysqladmin -u root -p version | grep "Server version"

両者が一致しない場合は、以下でクライアントを更新します。

# Rocky Linux / RHEL の場合 sudo dnf upgrade mysql-community-client # Ubuntu の場合 sudo apt-get upgrade mysql-client

OS付属リポジトリとMySQL公式リポジトリが競合する

Rocky Linux 9 のAppStreamには mysql(MariaDB派生)が含まれており、MySQL公式リポジトリと競合することがあります。インストール前に必ずモジュールを確認してください。

# 有効になっているモジュールを確認 dnf module list mysql # AppStream の mysql モジュールを無効化してから公式版を入れる sudo dnf module disable mysql -y sudo dnf install mysql-community-server -y

競合が解消されているかは rpm -qa | grep -i mysql でパッケージの出所(el9 が付くOS同梱版 vs mysql84-community が付く公式版)を確認してください。

本記事のまとめ

やりたいこと コマンド
クライアントのバージョン確認 mysql --version
稼働中サーバーのバージョン確認 mysqladmin -u root -p version
SQLでサーバーバージョン確認 mysql -u root -p -e "SELECT VERSION();"
RPMパッケージとして確認(RHEL/Rocky) rpm -qa | grep -i mysql
debパッケージとして確認(Ubuntu) dpkg -l 'mysql-server*'
EOL判定(バージョン抽出) mysqladmin -u root -p version | grep "Server version"
MySQL 8.0は2026年4月にEOLを迎えました。現在から新規構築・移行を行うなら MySQL 8.4 LTS を第一選択としてください。LTSリリースの運用基礎からバックアップ・レプリケーション・チューニングまで体系的に習得したい方は、Linux Master Pro Seminar のハンズオンプログラムもご確認ください。

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宮崎 智広

この記事を書いた人

宮崎 智広(みやざき ともひろ)

株式会社イーネットマーキュリー代表。現役のLinuxサーバー管理者として20年以上の実務経験を持ち、これまでに累計3,100名以上のエンジニアを指導してきたLinux教育のプロフェッショナル。「現場で本当に使える技術」を体系的に伝えることをモットーに、実践型のLinuxセミナーの開催や無料マニュアルの配布を通じてLinux人材の育成に取り組んでいる。

趣味は、キャンプにカメラ、トラウト釣り。好きな食べ物は、ラーメンにお酒。休肝日が作れない、酒量を減らせないのが悩み。最近、ドラマ「フライトエンジェル」を観て涙腺が崩壊しました。