AlmaLinux 10とは|CentOS後継本命の特徴・MIRACLE LINUX統合・サポート期間まとめ

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宮崎智広 この記事の監修:宮崎智広(Linux実務・教育歴20年以上・受講者3,100名超)
「CentOS Linux 8がEOLを迎えてからずっとサーバーをそのまま運用してきたが、そろそろ後継を本気で決めないといけない」「Rocky LinuxとAlmaLinux、結局どちらが本命なのか答えが出ない」
そう感じている方に向けて、2026年時点で見えてきたAlmaLinux 10の位置付けとMIRACLE LINUX 10との関係、サポート期間、選び方の判断軸を1本にまとめます。

2021年末のCentOS Linux 8 EOL騒ぎから5年。RHELクローン界隈の力関係がようやく落ち着き、企業採用の票はAlmaLinux 10に集まりました。今回のCentOS後継選びは過去で一番長引いた印象ですが、AlmaLinux 10とMIRACLE LINUX 10のリリースで、ようやく地図が描けるようになっています。

この記事では、AlmaLinux 10の主要な変更点とサポート期間、MIRACLE LINUX 10との関係、Rocky Linux・Ubuntuを含めた選択フローを整理します。インストール手順や移行手順は別記事で扱うので、まずは「何を選ぶべきか」をここで決め切ってください。

この記事のポイント

・AlmaLinux 10「Purple Lion」はRHEL 10ベースで2025年5月公開、無償で10年サポート
・カーネル6.12 LTS/DNF 5/Python 3.12/x86-64-v3要件が主要変更点
・MIRACLE LINUX 10はAlmaLinux 10をベースに日本語サポートと独自パッチを上乗せした商用版
・Rocky Linux採用率は伸び悩み、企業採用はAlmaLinuxへ集中(2026年時点で約25%)


AlmaLinux 10とは|CentOS後継本命の特徴・MIRACLE LINUX統合・サポート期間まとめ
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AlmaLinux 10「Purple Lion」リリース概要

AlmaLinux 10は2025年5月27日に正式公開されました。コードネームは「Purple Lion」、RHEL 10ベースの完全バイナリ互換ディストリビューションです。

リリース時の主要スペックは以下のとおりです。

ベースOS:Red Hat Enterprise Linux 10
カーネル:6.12 LTS
パッケージマネージャ:DNF 5(コマンドは従来どおり `dnf`)
初期言語ランタイム:Python 3.12、PHP 8.3、Ruby 3.3、Node.js 22、Go 1.22
対応アーキテクチャ:x86_64-v3、aarch64、ppc64le、s390x
サポート期間:2035年5月までの10年間(無償)

インストールイメージはboot.iso(最小起動メディア)、minimal.iso(最小構成)、dvd.iso(フル構成)の3種類が公式に配布されています。検証用に1台立てるだけなら2GB弱のboot.isoで十分です。

注意したいのが対応CPU要件です。AlmaLinux 10からx86-64-v3が必須になりました。Intel Haswell(第4世代Core、2013年以降)またはAMD Excavator以降のCPUが対象です。古いハードを延命したい場合はAlmaLinux 9系(2032年5月までサポート)を選ぶか、AlmaLinux 10のkitten変種(緩和ビルド)を検討してください。

なぜCentOS後継本命がAlmaLinuxになったのか

CentOS Linux 8のEOL発表(2020年12月)以降、RHELクローン市場は「Rocky LinuxとAlmaLinuxの一騎打ち」で進んできました。2026年時点で企業採用の票はAlmaLinuxへ大きく傾いています。理由は3つです。

非営利財団による安定運営:AlmaLinux OS Foundationは501(c)(6)の非営利団体。Rocky Linuxを支えるCIQ社の商用色との対比が長期採用判断で効きました
RHEL 9以降の互換性問題への対応:Red Hatが2023年にソース公開ポリシーを変更した際、AlmaLinuxは「ABI互換」へ方針転換しOpenELAを設立。Rocky Linuxはコンテナ経由のグレー手法で法務部門から敬遠されました
MIRACLE LINUXとの統合発表:2025年にサイバートラスト社がMIRACLE LINUX 10をAlmaLinuxベースで開発と発表。「商用サポートが欲しいならMIRACLE、無償でいいならAlma」の選択肢が成立しました

サーバー用途のRHEL系利用比率の中でAlmaLinuxが約25~26%、Rocky Linuxが約3%という調査データもあります。Ubuntu系・Debian系を含めた広い比較は「Linuxのディストリビューション一覧と選び方|Ubuntu・Rocky Linux・RHELの違いを初心者向けに解説」を参照してください。

AlmaLinux 10の主な変更点

AlmaLinux 9から10への主な変更点を、現場で影響が大きい順に整理します。

カーネル6.12 LTS化
9系の5.14から大きくジャンプアップ。BPF・io_uring・cgroup v2の改善でコンテナワークロードのI/O性能が体感1~2割向上しています。

DNF 5への更新
パッケージマネージャがDNF 5系列に刷新されました。コマンドは従来どおり `dnf install` で動きますが、内部実装はlibdnf5ベースに置き換わり、依存解決が体感2~3倍速くなっています。`/var/log/dnf.log` を監視している自前スクリプトは形式変更の確認が必要です。

# DNF 5でのバージョン確認 $ dnf --version 5.2.7.0 libdnf5 client version: 5.2.7 # パッケージのインストール(コマンドは9系と同じ) $ sudo dnf install -y httpd 依存関係を解決しています。 ================================================================== パッケージ Arch バージョン リポジトリ Size ================================================================== インストール: httpd x86_64 2.4.62-3.el10 appstream 52 k 依存関係のインストール: apr x86_64 1.7.5-1.el10 appstream 127 k ...

dnfコマンドの基本操作は「dnf/yumコマンドの使い方|パッケージのインストール・更新・削除とリポジトリ管理」を参照してください。DNF 5でも基本構文は変わりません。

Python 3.12が標準
9系のPython 3.9から3.12へ。f-stringの強化や型ヒント周りの改善で最新フレームワークが素直に動きます。Ansibleや独自スクリプトでPython 3.9前提のシンタックスを使っている場合は要確認です。

OpenSSH/OpenSSL のFIPS対応強化
FIPS 140-3対応モジュールが標準で利用可能になりました。金融系・公共系で「FIPS必須」と言われる場面が増えており、RHEL 10と完全互換です。`fips-mode-setup --enable` で有効化できます。

x86-64-v3要件
最大の落とし穴です。さくらのVPSの初期プラン(2014年頃のSandyBridge世代)等では起動すらしません。インストール前にOSバージョンとCPUのv3対応を確認するコマンドを以下に示します。

# OSバージョンを確認する $ cat /etc/almalinux-release AlmaLinux release 10.0 (Purple Lion) # カーネルバージョンを確認する $ uname -r 6.12.0-21.el10.x86_64 # CPUのv3対応状況を確認する(フラグにavx2があればv3対応) $ /usr/lib64/ld-linux-x86-64.so.2 --help | grep supported x86-64-v4 x86-64-v3 (supported, searched) x86-64-v2 (supported, searched) x86-64 (supported, searched)

サポート期間と更新ポリシー

AlmaLinux 10のサポート期間は2025年5月から2035年5月までの10年間です。これはRHEL 10のフルサポート期間と同等で、無償で利用できます。

サポート期間の内訳は以下のとおりです。

2025年5月~2030年5月:アクティブサポート期間(新機能追加+バグ修正+セキュリティ更新)
2030年5月~2035年5月:メンテナンスサポート期間(バグ修正+セキュリティ更新のみ)

Red Hatの有償延長サポート(ELS)相当の追加期間は、AlmaLinuxには現時点でありません。2035年5月以降は最新版への移行が必要になります。

セキュリティパッチの供給範囲もRHELと同等で、CVEアドバイザリ(ALSA:AlmaLinux Security Advisory)が随時公開されています。CVSSスコア・影響範囲・修正バージョンが個別に記載されており、脆弱性管理プロセスに組み込みやすい構造です。

過去のCentOS時代との違いは、「アップストリームに左右されにくい」点です。AlmaLinux OS Foundationは設立時点から「RHEL本体のEOL日まで責任を持つ」ことを明文化しており、ロードマップが読める安心感があります。2021年末のCentOS終了発表で本番5台分の移行計画を組み直した経験から言うと、この明文化は本当にありがたいです。
AlmaLinux 10とは|CentOS後継本命の特徴・MIRACLE LINUX統合・サポート期間まとめ - 解説1

MIRACLE LINUX 10との関係

日本市場でAlmaLinuxを語るなら、MIRACLE LINUX 10との関係を整理しておく必要があります。

MIRACLE LINUX 10は、サイバートラスト社が提供する商用サポート付きのRHEL系ディストリビューションです。9まではサイバートラストが独自にRHELソースを取り込んでビルドしていましたが、10からは「AlmaLinux 10をベースに、日本語ドキュメント・国内サポート・独自パッチを上乗せした構成」へ移行することが公式発表されています。

位置付けを整理すると以下のとおりです。

ベース:AlmaLinux 10(カーネル・主要パッケージは共通)
追加要素:日本語ドキュメント・国内サポート窓口・独自パッチ・有償24/365サポートオプション
価格帯:標準サブスクリプションで1サーバー数万円/年~(プランにより変動)
互換性:AlmaLinux 10向けRPMはほぼそのままMIRACLEでも動作

言い換えると、MIRACLE LINUX 10は「AlmaLinux 10 + 日本語サポート」のパッケージです。金融・公共・医療など、規制業種でベンダーサポート契約が必須な現場ではMIRACLEを選ぶ価値があります。逆に運用ノウハウが社内にあり英語ドキュメントで困らない現場ではAlmaLinuxで十分です。同じ10系であれば、AnsibleやTerraformからは同一に扱える設計のため、本番MIRACLE/開発AlmaLinuxの棲み分けも実用的です。

AlmaLinux 10を選ぶべきケース・避けるべきケース

選定の判断軸を用途別に整理します。

AlmaLinux 10を選ぶべきケース

RHEL系の運用ノウハウが社内にある:CentOS時代から `yum`/`dnf`、`systemctl`、`firewalld`、SELinuxを使ってきたチームは操作感そのままで移れます
商用サポート不要で長期安定運用:10年無償サポートは中堅SIerや社内インフラ部門の裁量で導入を決めやすいです
新規構築サーバー:2026年以降の新規導入なら9系より10系のほうがEOLが遠くて運用が楽です

避けるべき・別の選択肢を検討すべきケース

ハードがx86-64-v3未満:AlmaLinux 9系または別系統を選んでください
商用サポート契約が必須の業種:金融・公共・医療等ではMIRACLE LINUX 10かRHEL本体が安全です
Debian/Ubuntu系のノウハウしかない:無理にRHEL系へ移る理由がなければUbuntu Server LTSで揃えるほうが学習コストは低いです。Ubuntuの最新動向は「Ubuntu 26.04 LTS 変更点まとめ|25.10から何が変わったか現役講師が解説」を参照してください

Rocky Linuxとの比較は技術的に大きな差はありません。決め手はガバナンスと採用実績です。20年以上ディストリビューション選定に関わってきた肌感覚としても、市場が集まっている側に乗るほうが日本語事例も出てきて復旧時間が短くなります。

インストールから運用までの全体像

ここまでで「なぜAlmaLinux 10を選ぶか」の整理は終わりです。実際にインストール・移行・初期設定をどう進めるかについては、以下の3本の関連記事で個別に手順をまとめます。

これからインストールする方:「AlmaLinux 10 インストール手順|USB作成からminimal/server/workstation構成別設定」でISOの種類選び・USB作成・パーティション設計・SELinux初期モードまで一気通貫で解説しています
CentOSサーバーから移行する方:「CentOS 7/8からAlmaLinux 10への移行手順|almalinux-deploy実行と失敗時の復旧」でalmalinux-deployスクリプトの実行手順、依存破壊時の対処、失敗時の復旧手順までをカバーしています
インストール後の初期設定をしたい方:「AlmaLinux 10 サーバー初期設定10項目|SELinux・firewalld・dnf・SSH鍵認証」で本番運用に耐える初期設定を順序付きで10項目にまとめています

3本いずれもAlmaLinux 10運用の具体的フェーズを補完する内容です。状況に応じて読み分けてください。

SELinux運用やfirewalld設定など、AlmaLinux 10でも引き続き使うコマンド系の解説は既存記事を活用してください。代表的なものを以下にまとめます。

SELinux:「SELinuxを無効化・確認する方法|enforcing/permissive/disabled切替とgetenforce・sestatus」
firewalld:「firewalldコマンドでLinuxのファイアウォールを設定する方法|ポート開放やゾーン設定も」
ポート開放:「Linuxでポートの使用状況を確認するコマンド|ss・lsof・netstatの使い分け」

これらのコマンドはRHEL 9系・10系で共通の操作です。9系運用経験があるならそのまま流用できます。

移行・導入時に起きやすいトラブルと対処

AlmaLinux 10へ移行する現場でよく聞くトラブルを3つ整理しておきます。

「Fatal glibc error: CPU does not support x86-64-v3」でブートしない
最も多い症状です。x86-64-v3未対応CPUで起動初期に停止します。対処はAlmaLinux 9系を選び直すか、CPUを更新するかの二択です。事前確認は次のコマンドで行えます。

# 既存サーバーでv3対応か事前確認するコマンド $ grep -o 'avx2\|sse4_2\|bmi2' /proc/cpuinfo | sort -u avx2 bmi2 sse4_2 # 上記3つすべて出力されればv3対応

独自カーネルモジュールが読み込めない
カーネル6.12になったことで、5.14向けにビルドした独自モジュール(NVIDIA・特殊NIC等)が動かないケースがあります。ベンダー提供版の10対応状況を事前確認してください。

EPELリポジトリの一部パッケージが未対応
リリース直後はEPELの10対応が一部遅れます。`dnf install` で「No package available」が出る場合はEPEL Nextリポジトリの追加で凌ぎます。
AlmaLinux 10とは|CentOS後継本命の特徴・MIRACLE LINUX統合・サポート期間まとめ - まとめ

本記事のまとめ

項目 要点
リリース AlmaLinux 10「Purple Lion」、2025年5月公開、RHEL 10ベース
主要変更点 カーネル6.12 LTS/DNF 5/Python 3.12/FIPS 140-3対応
CPU要件 x86-64-v3必須(Haswell世代以降)。古いハードは要注意
サポート期間 2035年5月までの10年間、無償
MIRACLE LINUX 10 AlmaLinux 10ベース+日本語サポート+独自パッチの商用版
選ぶべき場面 RHEL系運用継続・商用サポート不要・新規構築サーバー
避けるべき場面 古いCPU・商用サポート必須業種・Debian系運用が主流の現場
関連記事 インストール/CentOS移行/初期設定の3本(下記参照)
CentOS Linux 8 EOLから5年、後継選びを先送りしてきた方も2026年が決断の年です。20年以上Linuxサーバーを運用してきた立場から見ても、AlmaLinux 10は本命と言い切れる完成度です。インストール・移行・初期設定の具体的な手順は、下記の関連記事で1ページずつまとめています。
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宮崎 智広

この記事を書いた人

宮崎 智広(みやざき ともひろ)

株式会社イーネットマーキュリー代表。現役のLinuxサーバー管理者として15年以上の実務経験を持ち、これまでに累計3,100名以上のエンジニアを指導してきたLinux教育のプロフェッショナル。「現場で本当に使える技術」を体系的に伝えることをモットーに、実践型のLinuxセミナーの開催や無料マニュアルの配布を通じてLinux人材の育成に取り組んでいる。

趣味は、キャンプにカメラ、トラウト釣り。好きな食べ物は、ラーメンにお酒。休肝日が作れない、酒量を減らせないのが悩み。最近、ドラマ「フライトエンジェル」を観て涙腺が崩壊しました。


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