Linuxサーバー性能ベンチを30秒で取る方法|Yet-Another-Bench-ScriptでCPU/IO測定

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宮崎智広 この記事の監修:宮崎智広(Linux実務・教育歴20年以上・受講者3,100名超)
「Linuxサーバーの性能を、依存パッケージなしでサクッと測る方法ってないの?」
2026年5月、GIGAZINEで紹介されたことで再注目されている「Yet-Another-Bench-Script(YABS)」は、まさにそのための定番ツールです。fio・iperf3・Geekbenchを1コマンドで走らせ、CPU・ディスクI/O・ネットワーク帯域を一気に可視化できます。

この記事では、YABSの基本的な使い方、結果の読み方、VPS選定・サーバー比較への活用、注意点を、20年以上のLinuxサーバー運用経験から整理します。

この記事のポイント

・YABSはfio・iperf3・Geekbenchを1コマンドで実行できるベンチマークスクリプト
・依存パッケージ・root権限不要、curl一発で実行可能
・ディスク4ブロックサイズ(4k/64k/512k/1MB)の読み書き性能を計測
・iperf3で世界各地へのネットワーク帯域を測定
・VPS選定、構成変更前後の比較、移行候補の評価で実務に直結する


Linuxサーバー性能ベンチを30秒で取る方法|Yet-Another-Bench-ScriptでCPU/IO測定
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YABSとは|Yet-Another-Bench-Scriptの正体

YABS(Yet-Another-Bench-Script)は、masonr氏が開発しGitHubで公開しているオープンソースのベンチマークスクリプトです。bashで書かれており、Linuxサーバー上で1コマンド実行するだけで、主要な性能指標を一括で取得できます。

最大の特徴は「環境を汚さない」ことです。

・依存パッケージのインストール不要
・root権限不要(一部機能を除く)
・実行ログ・一時ファイルは原則残らない
・curlでスクリプトを取得して直接bashにパイプする方式

これにより、本番サーバー、検証VPS、お試し契約のクラウドインスタンスのいずれにも、心配なく走らせることができます。

YABSの実行方法|たった1行で完結する

基本的な実行方法は、SSHでLinuxサーバーに入って次の1行を打つだけです。

# YABSをワンライナーで実行 curl -sL https://yabs.sh | bash # または GitHub から直接 curl -sL https://raw.githubusercontent.com/masonr/yet-another-bench-script/master/yabs.sh | bash

1. 主なオプション

全部の機能を毎回回すと数分かかるため、必要な項目だけを選んで実行することもできます。

# Geekbench を 5 に固定(デフォルトは 6) curl -sL https://yabs.sh | bash -s -- -i 5 # iperf3 のテスト地点を減らす(帯域を節約) curl -sL https://yabs.sh | bash -s -- -r # ディスクテストをスキップ curl -sL https://yabs.sh | bash -s -- -d # プリコンパイル済みバイナリを優先(依存問題回避) curl -sL https://yabs.sh | bash -s -- -b

2. 実行時間の目安

すべてのテストを実行した場合、所要時間は環境によります。

軽量VPS(1コア/1GB RAM):約5~8分
中規模サーバー(4コア/8GB RAM):約3~5分
高性能サーバー(16コア以上):約2~3分

ネットワーク帯域テスト(iperf3)は、デフォルトで世界10数地点と通信するため、帯域の細い回線では時間がかかります。-rオプションで地点数を絞れます。


Linuxサーバー性能ベンチを30秒で取る方法|Yet-Another-Bench-ScriptでCPU/IO測定 - 解説1

YABSの出力結果を読む|何をどう見るか

YABSの実行結果は、大きく4つのセクションで構成されます。

セクション 内容 注目ポイント
System Information CPU・カーネル・ディスクサイズ・地理情報 仮想化方式、CPU世代
fio Disk Speed Tests 4ブロックサイズの読み書き速度 4k IOPS、1MB Sequential
iperf3 Network Speed Tests 世界各地への帯域 近隣地域の対称性
Geekbench Test Results シングルコア・マルチコアスコア シングルコア性能(DB処理に直結)

1. ディスク性能(fio)の読み方

YABSは、4k/64k/512k/1MBの4つのブロックサイズで、読み書きそれぞれを計測します。実務目線で見るべきは以下のポイントです。

4k Random Read/Write:データベース、Webサーバー、メールサーバーで効くIOPS。100MB/s以上あれば実用的
1MB Sequential Read/Write:バックアップ、ログ転送、動画配信で効く帯域。500MB/s以上が目安
NVMeとSATA SSDの差:NVMeは4kで300MB/s以上出る場合が多い、SATA SSDは100MB/s前後

2. ネットワーク帯域(iperf3)の読み方

iperf3の結果は、サーバーの設置リージョンと対象地域の距離・経路に依存します。判断のコツは「対称性」と「近隣の値」です。

送信/受信の対称性:大きな乖離がある場合、上り帯域が制限されている可能性
近隣リージョンの値:東京リージョンならアジア圏が500Mbps以上出るのが望ましい
遠方の劣化:欧米向けは100~300Mbpsまで落ちることが多い

3. Geekbenchの読み方

Geekbenchはシングルコア・マルチコアの総合スコアを出します。実用上は「シングルコアスコア」を見るのが正解です。

シングルコア1500以上:現代的なIntel/AMD世代。Webサーバー・DBで快適
シングルコア1000~1500:一世代古いCPU。コスパ重視VPSで多い
シングルコア800以下:古い世代または激安VPS。負荷次第で苦しい

YABSが効くシーン|実務での活用法

20年以上Linuxサーバーを運用してきた経験から、YABSが本当に役立つ場面を整理します。

1. VPS契約時のスペック確認

「8コア/32GB/NVMe」とうたっているVPSが、本当にうたい文句どおりの性能を出せているか、契約直後にYABSで実測しておきます。30日返金保証期間内に「想定より遅い」と判断できれば、契約継続を見直せます。

2. サーバー移行前後の比較

オンプレからクラウド、クラウドから別クラウド、VMから物理など、移行前後で同じワークロードがどう変わるかを定量比較します。YABSの結果をJSONで保存しておけば、後日の議論で根拠データとして使えます。

3. 構成変更時のレグレッションテスト

カーネル更新、ファイルシステム変更(ext4→XFS)、I/Oスケジューラ変更などの前後で、YABSを走らせて差分を確認します。「変えたら遅くなった」を後追いで検知する手段として有効です。

4. 障害時の切り分け

「最近重い」「特定時間帯だけ遅い」といった曖昧な体感を、客観的な数値で押さえます。複数回YABSを走らせ、平均と分散を見れば、ノイジーネイバー(同居VMの影響)の有無も推測できます。


Linuxサーバー性能ベンチを30秒で取る方法|Yet-Another-Bench-ScriptでCPU/IO測定 - 解説2

YABS実行時の注意点

便利なツールですが、知らずに踏むとトラブルになる注意点もあります。

1. 本番サーバーへの実行は計画的に

YABSはfioでディスクI/Oを集中的に発生させます。本番サーバーで業務時間中に実行すると、レスポンス低下や応答遅延を招くことがあります。

業務時間外に実施:深夜帯、メンテナンスウィンドウで実行
事前告知:共用環境では関係者にアナウンス
負荷上限の調整:fioパラメータを軽量化したい場合は、自前でfio設定を用意する選択肢も

2. curlパイプ実行のセキュリティ

curl ... | bash形式は便利ですが、セキュリティ的にはリスクのあるパターンです。

初回はソースを確認:YABSのGitHubリポジトリ(masonr/yet-another-bench-script)でコード確認
HTTPS必須:HTTP経由ではMITM改ざんリスクあり
本番では固定版を:毎回最新を取得するのではなく、特定タグのバージョンをローカル保存して実行

3. ネットワーク帯域の課金に注意

iperf3は数GBの転送を行うため、従量課金のクラウドでは予期しないコストが発生する可能性があります。AWSやAzureで実行する場合は、-rオプションで地点数を絞る、または-dでディスクのみ実行するなどの配慮が必要です。


Linuxサーバー性能ベンチを30秒で取る方法|Yet-Another-Bench-ScriptでCPU/IO測定 - 解説3

「YABSの結果がよければサーバーは速い」は半分正解

YABSはあくまで「合成ベンチマーク」です。実際のワークロード(DBクエリ、Webリクエスト、メール配信)の挙動は、別途自社アプリでの実測が必要です。

セミナーで3,100名以上を指導してきた経験から言うと、エンジニアにとって本当に必要なのは「ツールを動かすスキル」ではなく、「数値の意味を読み解くスキル」です。YABSの数字を見て「このサーバーはDB向きじゃない」「このVPSは動画配信に向いている」と判断できる眼を持つことが、運用品質を一段上げます。

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Linuxサーバー性能ベンチを30秒で取る方法|Yet-Another-Bench-ScriptでCPU/IO測定 - まとめ

本記事のまとめ

項目 内容
ツール名 Yet-Another-Bench-Script(YABS)
基本実行 curl -sL https://yabs.sh | bash
計測項目 fio(ディスク)/iperf3(ネットワーク)/Geekbench(CPU)
主な活用シーン VPS契約後の性能確認、移行前後の比較、構成変更のレグレッション検証
読むべき指標 4k IOPS、1MB Sequential、近隣リージョン帯域、Geekbenchシングルコア
注意点 本番時間帯NG、curlパイプのソース確認、ネットワーク従量課金

YABSは「Linuxサーバーの性能を30秒で語れる人」になるための、最短ルートです。コマンド1つの裏側には、Linuxのストレージ・ネットワーク・CPUの基礎知識が詰まっています。出力を見ながら、なぜこの数値が出るのかを考える習慣をつけると、運用力がぐんと伸びます。

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宮崎 智広

この記事を書いた人

宮崎 智広(みやざき ともひろ)

株式会社イーネットマーキュリー代表。現役のLinuxサーバー管理者として20年以上の実務経験を持ち、これまでに累計3,100名以上のエンジニアを指導してきたLinux教育のプロフェッショナル。「現場で本当に使える技術」を体系的に伝えることをモットーに、実践型のLinuxセミナーの開催や無料マニュアルの配布を通じてLinux人材の育成に取り組んでいる。

趣味は、キャンプにカメラ、トラウト釣り。好きな食べ物は、ラーメンにお酒。休肝日が作れない、酒量を減らせないのが悩み。最近、ドラマ「フライトエンジェル」を観て涙腺が崩壊しました。


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