LPIC Level2/Level3は転職に必要か?年収インパクト検証

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宮崎智広 この記事の監修:宮崎智広(Linux実務・教育歴20年以上・受講者3,100名超)
リナックスマスター.JPの宮崎智広です。
いつもありがとうございます。

「LPIC Level2まで取ったのに、転職エージェントに『これだけでは厳しい』と言われた」
「Level3まで目指すと年収はどれくらい上がるのか、実際のところが知りたい」
こういった相談を、ここ1~2年でよく受けるようになりました。
LPIC(Linux Professional Institute Certification)は、Linuxエンジニアとして働くための定番資格です。
ただ、Level2やLevel3が転職に直接どれほど効くのかは、意外と曖昧なまま受験している方が多いと感じています。

私自身、20年以上Linuxに携わってきて、受講生の転職サポートも数多く行ってきました。
その中で気づいたのは、「資格の取得と転職成功の相関」は、レベルによって大きく異なるという事実です。
Level1からLevel2への壁と、Level2からLevel3への壁では、転職市場の評価がまるで違う。
この記事では、その実態を年収データと転職戦略の両面から検証します。

転職全体の戦略をまだ把握していない方は、まずLinux転職の全体像はこちらから戦略の輪郭を確認しておくと、この記事の各論が立体的に理解できます。

LPIC Level2/Level3は転職に必要か?年収インパクト検証
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LPIC Level2・Level3とは何か——資格体系の基本を整理する

LPICは、Linuxの技術力を証明する国際資格で、Level1からLevel3まで3段階に分かれています。
Level1が「Linuxの基本操作とコマンドを扱える」レベルだとすれば、Level2はその上位——複数サーバーの構築・管理・ネットワーク設定・セキュリティ対応まで踏み込む内容です。

Level2の試験は2科目構成(201/202)で、現行のLPIC-2 exam 201-450と202-450が該当します。
内容はカーネル管理、ファイルシステム、ネットワーク構成、セキュリティ、ストレージなど、現場のサーバーエンジニアが日常的に扱う領域をカバーしています。

Level3はさらに3つのトラックに分かれています。
「303 Security」「304 Virtualization & Containerization」など、専門特化型の試験です。
Level3は「Linuxのエキスパート」を証明するものですが、転職市場での評価はLevel2とは異なります。
この点は後ほど詳しく解説します。

まず基本として押さえておきたいのは、LPICは「ベンダーニュートラルな資格」という点です。
AWSやAzureといった特定クラウドの認定資格とは異なり、Linuxそのものへの習熟度を示します。
そのため、「どのクラウドを使うか」よりも「Linuxの基盤をどう扱えるか」が評価される職場——社内インフラ、ISP、SIer、データセンター運用——などで特に評価されます。

「資格を取る前に自分が目指すエンジニア像を明確にする」という話は当たり前のようで、意外と飛ばしがちです。
Level2を目指すのか、Level3まで見据えるのか、あるいは別の資格との組み合わせを取るのか——答えは「どんな転職を実現したいか」によって変わります。

LPIC Level2は転職市場でどう評価されるか

率直に言います。
LPIC Level2は、転職市場で「足切り回避の資格」として機能することが多いです。
「持っていれば選考に進める」であって、「持っていれば内定が出る」資格ではありません。

書類選考の段階では、LPIC Level2の記載があることで「一定のLinux知識がある人材」と認識されます。
しかし面接では必ず「どんな環境で、どんなトラブルを解決しましたか?」という問いに変わります。
そこで答えられないと、資格は「ただの紙」になります。

私が支援した受講生の中に、LPIC Level2を取得後すぐに転職活動を始めた方がいます。
書類はほぼ通過するようになったのに、面接で落ち続けた。
原因を分析すると、「資格を持っているが、実務で使った経験がない」と面接官に見透かされていました。
その後、自分のPC上に仮想サーバーを立てて3ヶ月間運用し、同じ面接を受けたら通過率が大きく上がった。
資格は変わっていないのに、です。

20代でLinux転職を考えている方は、資格と実務経験の組み合わせ方が特に重要です。
20代Linux転職は売り手市場?未経験が狙うべきポジションでも解説していますが、20代は「育てられる人材」として見られるため、資格+意欲の見せ方が勝負どころです。

逆に、Level2を取得しながら以下のような経験がある方は、転職で有利に動きます。
・自分のPCや仮想環境(VirtualBox、AWS EC2など)でLinuxサーバーを構築・運用した経験
・Webサーバー(Apache/Nginx)やDBサーバーの設定をしたことがある
・シェルスクリプトでバッチ処理や自動化を組んだことがある

こういった「動かした経験」があれば、Level2の資格が一気に説得力を持ちます。
面接での質問に、自分の言葉で答えられるようになるからです。

LPIC Level3はキャリアの「差別化」になるのか

Level3は、転職市場での評価がLevel2とはやや異なります。
Level2が「エントリー~ミドルのLinuxエンジニア」を証明するのに対し、Level3は「高度なLinux専門家」を証明します。

ただ、正直なところを言うと、Level3を転職の武器として使える場面は限られます。

理由は2つあります。

1つ目は、求人票でLevel3を必須・歓迎にしている企業が少ないこと。
求人データを見ると、「LPIC Level2以上」という記載は多いですが、「Level3必須」という求人は相対的に少数派です。
Level3を正確に評価できる採用担当者がいる企業でなければ、差別化にならない場合があります。

2つ目は、Level3の専門トラック(Security、Virtualizationなど)が、クラウド認定資格(AWS/GCPなど)と競合していること。
例えばセキュリティ領域なら、CISSPやAWS Security Specialtyなどとの比較で見劣りするケースがあります。
仮想化・コンテナ領域なら、CKA(Certified Kubernetes Administrator)の方が求人市場では認知されているケースも多い。

つまり、Level3は「LPICの文脈で評価される職場」でこそ輝きます。
SIer、大手データセンター、ISP、官公庁系インフラなど、「Linuxの深い知識をピュアに評価する企業」に転職したい場合は有効な差別化武器になります。

40代でLinux転職を考えている方は、こういった「自分が評価される土俵」の選択が特に重要です。
40代未経験でLinux転職は可能か?成功者の共通点5つでも触れていますが、年齢が上がるほど「どの職場で戦うか」の選択が年収を大きく左右します。

年収インパクトの実態——取得前後のデータを読む

「Level2やLevel3を取ると年収がどう変わるか」——多くの方が知りたい情報ですが、資格単体の年収影響を切り出したデータは実は少ない。
ここでは私が把握している情報と、一般的な転職市場から読み解きます。

まず転職市場でのLinuxエンジニアの年収レンジを整理します。
・未経験~LPIC Level1相当: 350万~450万円
・LPIC Level2相当の実務経験あり: 450万~600万円
・シニアLinuxエンジニア(Level2以上+実務5年超): 600万~800万円
・Level3相当のスペシャリスト: 700万~900万円以上(企業・業種による)

ここで注意してほしいのは、「Level2取得=年収600万」ではないということです。
「Level2相当の実務経験」があって、その証明としてLevel2資格がある——という状態で初めて上記のレンジに入れます。

私の受講生の事例を話すと、Level2を取得した後に転職した方の初回年収アップは、平均で70万~130万円ほどが多かったです。
ただしこれは「Level2だから上がった」のではなく、「資格+実務経験+転職戦略」のパッケージで結果が出ていました。

Level3については、私の把握している事例では、資格取得だけでの年収変化は限定的でした。
ただし、Level3のSecurityトラックを持つエンジニアが、セキュリティ専門の部署やセキュリティベンダーに転職した場合、年収が100万~200万円単位で上がった例も複数あります。
Level3は「資格の価値が最大化される職場」を選ぶことが前提、というのはそういう意味です。

転職全体の成功確率を上げるためのアプローチは、失敗しないLinux転職の戦略【完全ガイド】で体系的にまとめています。
資格の話だけでなく、転職エージェントの使い方や面接対策まで含めて確認しておくことを勧めます。

Level2・Level3を取得すべき人・見送るべき人

ここまで読んでいただいた上で、「自分はどっちか」の判断基準を整理します。

Level2を優先すべき人
・現在Level1を保有しており、インフラエンジニアとしてのキャリアを積みたい
・30代まで(ポテンシャル採用の対象になれる年齢帯)で実務経験が1~2年以上ある
・SIer・ISP・データセンター系の求人を狙っている
・今の職場でLinux関連の業務に関わっており、スキルアップと資格取得を連動させられる

Level3を優先すべき人
・Level2取得済みで、インフラの上位スペシャリスト(セキュリティ・仮想化)として転職したい
・官公庁系・大手SIer・大手ベンダーなど「LPICを深く評価する企業」が転職先の候補に入っている
・すでに年収600万円以上で、さらにスペシャリストとして市場価値を上げたい明確な目標がある

取得を見送るべき人
・実務経験が全くなく、資格だけで転職をしようとしている
・クラウドエンジニア(AWS/GCP/Azure専門)として転職したい(その場合はクラウド認定資格を優先する方が合理的)
・アプリケーション開発エンジニアとしてのキャリアを歩みたい(Linuxの深い知識が必須でない職種)

「資格を取ること」は手段であって目的ではありません。
「どういうキャリアを作りたいか」が先に来て、そのためにLevel2やLevel3が必要かどうか——という順番で判断してください。
この判断を誤ると、半年~1年の勉強時間と受験費用が、転職成果に結びつかないまま消えます。

転職活動での活かし方と面接での伝え方

Level2・Level3を持っていても、面接でうまく伝えられなければ意味がありません。
ここでは実際の転職活動での動かし方を解説します。

書類(職務経歴書)での書き方
「LPIC Level2取得(202X年)」と記載するだけでは不十分です。
その下に1行、「Linuxサーバー(CentOS/Ubuntu)の構築・運用経験あり。Nginxによるリバースプロキシ設定、cronによる定期処理の実装を担当」のように、具体的な実務内容を添えることが重要です。
採用担当者は「資格を持っているか」ではなく「この人は何ができるか」で判断しています。

面接での伝え方
「LPIC Level2を持っています」という宣言より、「Level2の試験範囲で最も実務に直結していたのはネットワーク設定の部分で、実際に○○環境でNATの設定を行いました」という具体性の方が評価されます。
資格を「語るための足場」として使い、実際の経験を掘り下げて話す形が正解です。

Level3の場合
Level3のトラック(SecurityやVirtualization)は、面接官が「この人は何の専門家か」をすぐ判断できる強みがあります。
「Level3(Security)を持っていて、セキュリティ監査ツールの設定・運用経験があります」と一言で専門性が伝わります。
ただし、その専門性を必要としている企業・ポジションを事前にリサーチして応募することが前提です。
的外れな求人にLevel3をアピールしても、「うちでは必要ないスキルですね」で終わります。

転職エージェントへの見せ方
エージェントとの初回面談では、「LPIC Level2取得・Linux実務3年・サーバー構築から運用まで経験あり」のように、資格+経験年数+業務内容をセットで伝えると、適切な求人を紹介してもらいやすくなります。
Level2だけを前面に出しても、エージェントは紹介先を絞りきれないことが多い。
資格は「実務の裏付け」として位置づけて伝えることが大切です。

1人情シスとしてLinuxを独学で扱ってきた方も、その経験は十分に語れる実績になります。
「1人でサーバーを全部管理していた」という事実は、エンジニア採用担当者には刺さる話です。

よくある質問

LPIC Level2だけで転職できますか?

「Level2があれば転職できるか」という質問をよく受けますが、答えは「実務経験との組み合わせ次第」です。
Level2単体を「転職パスポート」として使おうとすると、書類は通過しても面接で止まりやすい。
自分のPCを使ったサーバー構築、クラウドでの実験環境、社内での運用業務など、何らかの「動かした経験」を並走させることを強く勧めます。
資格の勉強をしながら手を動かす——この両輪が揃ってはじめて、転職市場で戦えるようになります。

Level2取得にかかる期間と費用はどれくらいですか?

試験費用は1科目あたり税込17,000円前後(LPIの価格改定があるため最新情報を確認してください)。
Level2は2科目なので、試験費用だけで35,000円前後になります。
学習期間は、Level1を持っていてLinuxの基礎がある方なら、1日1~2時間の学習で3~6ヶ月程度が目安です。
実務経験がある方は短縮でき、全くの独学スタートの方は少し長くなります。
テキストや模擬試験の費用も合わせると、総額6万~8万円程度が現実的な見積もりです。

Level3まで取るより、AWS認定を取った方が年収が上がりますか?

これは「どんな企業で働きたいか」によります。
クラウドネイティブな企業・スタートアップ・WebサービスIT企業を狙うなら、AWS認定(特にSAAやSAP)の方が求人での評価が高いケースが多い。
一方、インフラ専業のSIer・ISP・データセンター・官公庁系を狙うなら、LPIC Level3が有効な差別化になります。
「市場で評価される資格」は職場の種類によって変わる——これが現実です。
どちらが正解かではなく、「自分が転職したい職場でどの資格が評価されるか」を先に調べることが出発点です。

LPIC Level2とLinuCはどちらが転職に有利ですか?

LinuC(Linux技術者認定試験)はLPICと別の試験体系で、日本国内の実情に合わせた内容が特徴です。
転職市場での知名度はLPICの方がわずかに高い印象がありますが、大きな差ではありません。
両方を持っている必要はなく、どちらか一方をしっかり取得する方が時間対効果は高い。
どちらを選ぶかより「Level2相当の技術を実務で使えるか」の方が、採用側には重要です。

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まとめ

LPIC Level2は、インフラエンジニアとしての転職において「有利に働く資格」ですが、それは実務経験とセットで使ったときの話です。
Level2単体では、書類選考の通過率を上げる効果はあっても、内定をもたらす力は限定的です。

Level3については、「LPICの文脈を深く評価する職場」に転職するための専門性の証明として有効です。
ただし、クラウド系の求人にはクラウド認定資格の方が効くケースが多い。
Level3を目指すかどうかは、「なりたいエンジニア像」と「狙う転職先の種類」から逆算してください。

年収インパクトとしては、Level2+実務経験で70万~130万円のアップが期待できるレンジです。
Level3はその上のスペシャリスト層への入口として機能しますが、それが活きる職場を選ぶことが前提です。

資格は「転職のゴール」ではなく「転職の道具」です。
道具を活かすためには、どんな転職戦略の中で使うかが問われます。
未経験からLinux転職する方法を詳しく解説しているピラー記事と合わせて読んでいただくと、「資格をどう転職に組み込むか」の全体像が見えてくると思います。

P.S
LPIC Level2・Level3は、正しい文脈で使えば確実にキャリアを押し上げてくれます。
ただ、資格を取ることより「取った後にどう動くか」の方が、年収を動かす力は大きい。
その戦略を一緒に考えたい方は、セミナーで直接話しましょう。
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宮崎 智広

この記事を書いた人

宮崎 智広(みやざき ともひろ)

株式会社イーネットマーキュリー代表。現役のLinuxサーバー管理者として20年以上の実務経験を持ち、これまでに累計3,100名以上のエンジニアを指導してきたLinux教育のプロフェッショナル。「現場で本当に使える技術」を体系的に伝えることをモットーに、実践型のLinuxセミナーの開催や無料マニュアルの配布を通じてLinux人材の育成に取り組んでいる。

趣味は、キャンプにカメラ、トラウト釣り。好きな食べ物は、ラーメンにお酒。休肝日が作れない、酒量を減らせないのが悩み。最近、ドラマ「フライトエンジェル」を観て涙腺が崩壊しました。


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