この記事の監修:宮崎智広(Linux実務・教育歴20年以上・受講者3,100名超)
そう思っている方に向けて、今回は1ページで全工程を追える形でまとめます。
2026年4月にリリースされたUbuntu 26.04 LTS。私自身、検証用マシンで何度かインストールを繰り返しました。手順そのものは難しくありませんが、ISOの検証・USB作成・BIOS設定・パーティション設計と、地味につまずきポイントが点在しています。
この記事では、Ubuntu 26.04 LTSのISOダウンロードからデスクトップ起動までの全工程を、コマンド例と実出力を交えて解説します。Ubuntu 26.04 LTSの変更点を先に把握したい方は「Ubuntu 26.04 LTS 変更点まとめ」から先に読んでおくと、インストール中の選択がスムーズになります。
この記事のポイント
・ISOはreleases.ubuntu.comから入手しsha256sumで検証する
・USB作成はbalenaEtcher(GUI)かdd(CLI)でOS別に手順が変わる
・Secure BootはUbuntu署名済みなのでONのままで起動できる
・パーティションは/boot 1GB・/ 50GB・swap・/homeが基本構成
でも安心してください。プロのエンジニアはコマンドを暗記していません。
「現場で使える型」を効率よく使いこなしているだけです。
Ubuntu 26.04 LTSのISOダウンロード先と検証手順
最初の関門はISOの入手元です。検索すると怪しげなミラーサイトも出てきますが、必ず公式サイトから落とすようにしてください。ダウンロード先は以下の2択です。
・公式サイト:https://releases.ubuntu.com/26.04/
・日本のミラー:https://ftp.jaist.ac.jp/pub/Linux/ubuntu-releases/26.04/
回線が細い環境ならjaistミラーのほうが速いことが多いです。私は普段jaistを使っています。
ダウンロードしたISOはサイズが約5GB前後あります。途中で破損する可能性もゼロではないので、必ずsha256sumで検証してください。検証を飛ばしてUSBを作成し、後から「インストール中にエラーが出る」と気づくのが一番もったいないパターンです。
公式サイトには `SHA256SUMS` というハッシュ一覧ファイルが置かれています。これを使って検証します。
# ISOとSHA256SUMSをダウンロードしたディレクトリに移動する $ cd ~/Downloads # 単体ファイルのハッシュを確認する $ sha256sum ubuntu-26.04-desktop-amd64.iso e7d8f3c4b2a1...(64文字のハッシュ値) ubuntu-26.04-desktop-amd64.iso # SHA256SUMSと一括照合する $ sha256sum -c SHA256SUMS 2>&1 | grep -v 'No such' ubuntu-26.04-desktop-amd64.iso: OK
サーバー版とデスクトップ版の選び方
ISOには大きく2種類あります。・ubuntu-26.04-desktop-amd64.iso:GNOMEデスクトップ込み、GUIインストーラー
・ubuntu-26.04-live-server-amd64.iso:CUI、サーバー用途、最小構成
本記事はデスクトップ版を前提に進めます。サーバー版もインストーラーの画面が違うだけで流れはほぼ同じです。検証目的でデスクトップを試したい初心者の方は、迷わずデスクトップ版を選んでください。
Windows/macOS/LinuxでのインストールUSB作成手順
ISOを取得したら、次は起動可能なUSBメモリを作成します。最低8GB、できれば16GB以上のUSBメモリを用意してください。USB内のデータは全て消えるので、必ず空のもの、もしくは消えても困らないものを使ってください。私は何度か「ちょっと使ってないUSB」と思って差したら大事な検証データが消えていた経験があります。
1. WindowsでRufusを使う
Windowsで一番安定しているのはRufusです。https://rufus.ie/ から最新版をダウンロードします。インストール不要のexeファイルです。手順は以下の通りです。
・Rufusを起動
・「デバイス」欄でUSBメモリを選択
・「ブートの種類」で先ほど落としたISOを指定
・「パーティション構成」はGPT、「ターゲットシステム」はUEFIを選択
・「スタート」をクリック、「ISOイメージモードで書き込む」を選んでOK
書き込み完了まで5分から10分ほどかかります。「準備完了」と表示されたらUSBを安全に取り外してください。
2. macOSとLinuxでddコマンドを使う
macOSとLinuxはコマンドラインのddが最速です。GUIツールも使えますが、ddのほうがミスが少ないです。まずUSBのデバイス名を確認します。
# Linuxの場合 $ lsblk NAME MAJ:MIN RM SIZE RO TYPE MOUNTPOINTS sda 8:0 0 465.8G 0 disk ├─sda1 8:1 0 1G 0 part /boot/efi └─sda2 8:2 0 464.8G 0 part / sdb 8:16 1 28.7G 0 disk └─sdb1 8:17 1 28.7G 0 part # macOSの場合 $ diskutil list /dev/disk2 (external, physical): #: TYPE NAME SIZE IDENTIFIER 0: FDisk_partition_scheme *30.8 GB disk2 1: DOS_FAT_32 UNTITLED 30.8 GB disk2s1
# Linuxでddを実行する(デバイス名は必ずlsblkで確認したものを使う) $ sudo dd if=~/Downloads/ubuntu-26.04-desktop-amd64.iso of=/dev/sdb bs=4M status=progress conv=fdatasync # macOSの場合(diskではなくrdiskを使うと高速) $ diskutil unmountDisk /dev/disk2 $ sudo dd if=~/Downloads/ubuntu-26.04-desktop-amd64.iso of=/dev/rdisk2 bs=4m status=progress
3. balenaEtcherを使う場合(全OS対応)
ddのコマンドが不安な方はbalenaEtcherを使ってください。https://etcher.balena.io/ からダウンロードします。Windows・macOS・Linuxすべてに対応した同じインターフェースのGUIツールです。ISOを選び、USBを選び、「Flash」をクリックするだけです。ddよりは少し遅いですが、デバイス選択ミスを防ぐ仕組みがあるので安全です。
BIOS/UEFI起動設定とSecure Boot対応
USBが完成したら、対象のPCに差して起動します。ここでBIOS/UEFI設定の知識が必要になります。PCの電源を入れた直後に、メーカーごとに決まったキーを連打してBIOS/UEFI設定画面に入ります。
・Dell:F2 または F12
・Lenovo(ThinkPad):F1 または Enter→F1
・HP:F10
・ASUS:F2 または Delete
・自作機(多くのマザーボード):Delete
入れたら、起動順序(Boot Order)でUSBを最上位に持ってきます。一時的なら起動メニュー(Boot Menu、F12が多い)でUSBを選ぶだけでもOKです。
Secure BootはONのままでよい
Ubuntu 26.04 LTSはMicrosoftの署名を受けたshimブートローダーを使っているため、Secure BootをONにしたままでも起動します。昔のLinuxディストリビューションだと「Secure Bootを切ってください」と言われることが多かったので、今でも反射的にOFFにする方を見かけますが、Ubuntuに関してはONのままで問題ありません。Windowsとのデュアルブートを考えている場合は、ONのままにしておくほうが後々トラブルが少ないです。
ただし、サードパーティのカーネルモジュール(NVIDIA独自ドライバなど)を入れる場合は、MOK(Machine Owner Key)の登録という追加手順が発生します。最初のインストール時はSecure BootをONのままで進めて、必要が出てきたら対応する方針がおすすめです。
ライブセッション起動と日本語設定
USBから起動すると、最初に「Try Ubuntu」「Install Ubuntu」の選択画面が出ます。「Install Ubuntu」を選ぶとそのままインストーラーが立ち上がります。インストーラーの最初の画面で言語選択があります。「日本語」を選んでください。これでGUIが日本語になり、後の画面も全て日本語で進められます。
キーボードレイアウトの画面では、日本語キーボードを使っているなら「Japanese」→「Japanese」を選びます。USキーボードなら「English (US)」→「English (US)」です。ここで間違えると `@` や `:` の位置がずれて、ログイン時のパスワード入力でハマります。
ネットワーク接続の画面では、有線LANなら自動接続されます。Wi-Fiの場合はSSIDとパスワードを入力してください。インストール中にアップデートと追加ソフトウェア(コーデック等)をダウンロードするため、ネットに繋いでおいたほうが手戻りが少ないです。
「アップデートと他のソフトウェア」画面では「通常のインストール」と「サードパーティ製ソフトウェアをインストール」の両方にチェックを入れることをおすすめします。
パーティション設計(/boot・/・swap・/homeの分割例)
インストール画面で一番悩むのがパーティション設定です。「ディスクを削除してUbuntuをインストール」を選べば自動でやってくれますが、サーバー用途や長く使う予定なら手動でパーティションを切っておくと後が楽です。20年以上Linuxを触ってきた中で、私が普段使っている構成(500GB SSDの場合)はこうです。
・/boot/efi:1GB(fat32、UEFIブート用)
・/boot:1GB(ext4、カーネルイメージ用)
・/:50GB(ext4、システム本体)
・swap:16GB(メモリと同サイズが目安)
・/home:残り全部(ext4、ユーザーデータ用)
/homeを分けておく最大のメリットは、OSを入れ直す時に/homeのデータを残せることです。私のメインマシンは過去3回OS再インストールしていますが、/home分離のおかげで毎回データ移行が不要でした。
swapは「ハイバネート(休止状態)を使うならメモリ以上、使わないなら4から8GBで十分」が目安です。最近はメモリが潤沢なのでswapは小さめでも問題ありません。
インストーラーの「それ以外」を選ぶと手動パーティション画面に入ります。各パーティションを選んで「変更」をクリックし、サイズ・ファイルシステム・マウントポイントを指定していきます。
「ブートローダーをインストールするデバイス」は必ず物理ディスク全体(/dev/sdaなど)を選びます。パーティション(/dev/sda1など)を選ぶとブートできなくなります。これは私も最初の頃よくやらかしました。
ユーザー作成とSSH有効化までの初期画面
パーティション設定の次はユーザー情報の入力です。・あなたの名前:表示名(フルネームでも何でも可)
・コンピュータの名前:ホスト名(小文字英数字とハイフンのみ推奨)
・ユーザー名:ログインID(小文字英数字、ホームディレクトリ名にもなる)
・パスワード:強度の高いものを設定
「ログイン時にパスワードを要求する」を選ぶのがセキュリティ上の基本です。「自動的にログインする」は検証用マシンでも避けたほうがいいです。
ここで設定するユーザーは自動的にsudoグループに入ります。インストール後に追加ユーザーを作る時は、`adduser` の後に `usermod -aG sudo ユーザー名` でsudo権限を付ける必要があります。
インストール処理は20分から40分ほどかかります。終わったら「再起動」をクリックし、画面の指示に従ってUSBを抜いてEnterを押してください。
デスクトップ版でSSHを後から入れる手順
デスクトップ版にはSSHサーバーがデフォルトで入っていません。リモートからこのマシンに入れるようにしたい場合は、再起動後にターミナルから手動でインストールします。手順は3つだけです。# OpenSSHサーバーをインストールする $ sudo apt update $ sudo apt install -y openssh-server # サービスの起動と自動起動を有効化する $ sudo systemctl enable --now ssh # ポートが開いているか確認する $ sudo ss -tlnp | grep ssh LISTEN 0 128 0.0.0.0:22 0.0.0.0:* users:(("sshd",pid=1234,fd=3))
※サーバー版(live-server)を選んだ場合は、インストール中の画面に「Install OpenSSH server」のチェックボックスが出るので、そこをONにしておけば再起動後すぐSSH接続できます。デスクトップ版のような後付け作業は不要です。
インストール後すぐ確認する10コマンド
無事に再起動してデスクトップ画面が出たら、ターミナルを開いて以下のコマンドで動作確認をしてください。「インストールできた気はするけど、本当に26.04になってる?」を確実にするための10本です。# 1. ディストリビューションのバージョン確認 $ lsb_release -a Distributor ID: Ubuntu Description: Ubuntu 26.04 LTS Release: 26.04 Codename: (リリース時のコードネーム) # 2. カーネルバージョン確認 $ uname -r 6.14.0-15-generic # 3. アーキテクチャ確認 $ uname -m x86_64 # 4. CPU情報確認 $ lscpu | grep -E 'Model name|CPU\(s\)' Model name: Intel(R) Core(TM) i7-1165G7 @ 2.80GHz CPU(s): 8 # 5. メモリ確認 $ free -h total used free shared buff/cache available Mem: 15Gi 2.1Gi 10Gi 180Mi 3.2Gi 12Gi Swap: 16Gi 0B 16Gi # 6. ディスク使用状況 $ df -h / Filesystem Size Used Avail Use% Mounted on /dev/sda3 49G 8.2G 39G 18% / # 7. IPアドレス確認 $ ip a | grep inet inet 127.0.0.1/8 scope host lo inet 192.168.1.45/24 brd 192.168.1.255 scope global dynamic noprefixroute enp0s3 # 8. デフォルトゲートウェイ確認 $ ip route | grep default default via 192.168.1.1 dev enp0s3 proto dhcp metric 100 # 9. 起動済みサービス一覧 $ systemctl list-units --type=service --state=running | head # 10. アップデート可能パッケージの確認 $ sudo apt update && apt list --upgradable
ディスプレイサーバーが何で動いているか(WaylandかXorgか)を確認したい場合は以下のコマンドが使えます。
# 現在のセッションタイプを確認する $ echo $XDG_SESSION_TYPE wayland
本記事のまとめ
| 工程 | 要点 |
|---|---|
| ISOダウンロード | releases.ubuntu.comまたはjaistミラー、sha256sumで必ず検証 |
| USB作成 | Windows=Rufus、macOS/Linux=dd、迷ったらbalenaEtcher |
| BIOS/UEFI設定 | Secure BootはONのままでOK、起動順序でUSBを最上位に |
| 言語・キーボード | 日本語選択、JISキーボードならJapanese×2を必ず指定 |
| パーティション | /boot/efi 1GB・/boot 1GB・/ 50GB・swap 16GB・/home 残り |
| ユーザー設定 | 自動ログインは選ばない、初期ユーザーは自動でsudoグループ |
| 動作確認 | lsb_release・uname・ip a で26.04であることを必ず確認 |
インストールが終わったら、次はサーバーとして使うための初期設定(SSH鍵認証・UFW・自動更新など)が待っています。「Ubuntu 26.04 サーバー初期設定10項目|SSH・UFW・自動更新・タイムゾーンまで」の記事は近日公開予定です。
すでにUbuntu 24.04 LTSを使っていて、新規インストールではなくアップグレードで26.04に上げたい方は「Ubuntu 24.04から26.04へアップグレードする手順|do-release-upgrade失敗時の復旧方法も」の記事も近日公開予定です。クリーンインストールとアップグレード、それぞれメリットがあるので、用途に合わせて選んでください。
セミナーで指導してきた中で、Ubuntuのインストールでつまずく方の9割は「ISOの検証を飛ばす」「パーティションを自動に任せる」「Secure Bootを反射的にOFFにする」のいずれかが原因でした。今回紹介した手順を一度なぞっておけば、本番環境への投入もスムーズに進められるはずです。
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